=立川テント村通信=
☆ 朝雲レポート(7/27~9/14)
★廣瀬陽子(慶応大総合政策学部教授)がコラム「春夏秋冬」でロシアはウクライナ戦争に際してエネルギーと食糧を武器に世昇に影響を与え続けてきたと述べる。「両方とも禁じ手のはず」と述べているが、総力戦になった現代の戦争では両方武器になる。
戦争が起きた要因がその二つに起因している場合も多い。日本のように食糧自給率が低い国は、大量破壊兵器なんか使わなくてもすぐに敗戦だ。食料もエネルギーも自給自足ではどこもやっていけないのが現代だ。だから戦争を絶対に避ける方策を考えるべきなのだ。(7月27日)
★「時の焦点」で政治評論家の夏川明雄はPFASの問題について語る。2015年に日米地位協定に環境補足協定を加えたが、日本側に通報すべき事案かどうかは米側に裁量権がある。
しかし基地周辺などでは住民の不安があり、その解消に努めるべきだとしている。消火剤の漏出があったことはすでに横田基地で発表しているが、基地のある限り住民の不安は消えないだろう(7月27日)
★今年度版の防衛白書の概要が1面。筆で描かれた表紙の「防衛白書」の文字は初めて現役自衛官の揮毫だという。気合いを示そうというのか。
内容は中国の軍事動向を「これまでにない最大の戦略的挑戦」と大きく問題視している。しかし貿易でも観光でも中国は最大級のお得意さんでもあるはず。このあたりはダブルスタンダードにしか思えない。(8月3日)
★7面一番下の小さいコラム「小休止」でかわぐちかいじの「沈黙の艦隊」実写版映画が完成した記事が載る。同じ原作者の実写版「空母いぶき」は国際問題になることを懸念してか、原作では敵国が中国のところを仮想国家に変えていた。さらに登場する自衛官はやけに日本国憲法のことを気にしていた。今度はどんな変更点があるのだろうか(8月3日)
★8月10日号は小野田政務官のポーランド訪問、浜田防衛相のサウジ外相会談、サイバー防衛隊司令のエストニアで開かれたサイバーコマンダーズフオーラム(CCFNATOとポーランド共催)参加、遠洋練習航海部隊(練習艦2隻)による南米親善訪問とペルーやチリの海軍との親善訓練などの記事が並ぶ。
もはやPKO活動なんかなくても世界中を自衛隊は飛び回り各国の軍隊や要人と活発に接触・協議・演習をしている。もちろん色々な情報収集も行っているのだと思う。
★同じ号の8面に防衛研究所の研究幹事である兵頭慎治が「ウクライナ戦争広がる余波」を載せている。戦争の長期化で第三国もそこに巻き込まれる懸念を書き、米国の供給したクラスター弾は国際的には過半数の国が使用禁止にしていることを触れている。
反転攻勢が成功するかどうかは西側の支援次第というが、米国も予算不足気味で野党共和党は支援に消極的な空気が強い。日本がすべきは停戦へのあらゆる努力と難民支援だ。
★8月17同号の「春夏秋冬」は元防衛事務次官の黒江哲郎が「77万人の衝撃」と題して厚労省の発表した出生者数が77万人にとどまったことについて語る。要するに自衛隊も企業などと若い人材の奪い合いになるので、定員規模の縮小、持続可能な体制作りが必要という。
AIや無人装備活用などだが、今でもいやになってやめる自衛官は多い。五ノ井里奈さんの受けたセクハラ・パワハラは昔から多い。自衛隊の定員割れは永遠に続くだろう。
★8月31日号1面左は「初の日伊共同訓練」。大きな写真付きで、イタリア空軍のF35A戦闘機や空中給油機、早期警戒機や輸送機など人員160名が来日して共同訓練を小松基地でやった。
同じ動きはフランスともあり、新田原基地に戦闘機のラファールや空中給油機がやってきて7月26日からーヶ月以上も共同訓練をやっている。欧州派兵の可能性を考えているのだろうか。
★9月7日号では「防衛費過去最大7兆7385億円」の大きな見出しが躍る。常設の統合司令部を来年度市ヶ谷に発足し、陸海空幕僚長と同格の将官を配置するという。領域横断作戦を実施できる統合運用体制の構築を目指すという。しかしやめる自衛官も多くいつも定員割れだ。その矛盾はどう解決する気なのか。
『立川テント村通信』(2023年10月1日)
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