《被処分者の会通信から》
◆ 第四次訴訟、一部勝訴が確定。ご支援ありがとうございました。
私は、2011年から2016年までの6年間で、卒業式・入学式に校長の職務命令に従わず「君が代」斉唱時に不起立をしたことを理由に10回の処分を受けた。
最初の3回までは戒告処分、4回目から10回目までは減給十分の一1ヶ月だった。
これらの処分のうち2013年までの5回の処分について、その取り消しを求めて「東京『君が代』裁判第四次訴訟」の原告14人の一人として2014年に提訴し、裁判を闘った。
今年の3月28日付で、最高裁第一小法廷は、東京都と私たち原告双方の上告受理申し立てを受理しないことを決定し、同時に、私たち原告の上告を棄却した。この決定により、「減給処分は裁量権の逸脱濫用である」として取り消しを命じた2018年4月の東京高裁判決が確定し、私の減給処分取り消しが確定した。
残念ながら、戒告処分は容認され、損害賠償請求は棄却されたが、これで「第四次訴訟」の減給および停職処分は全て取り消された。
東京都は、私についての減給処分取り消しに関してのみ、不服として上告受理申し立てをしていた。
私に対する減給処分は、2012年の「東京『君が代』裁判第一次訴訟」最高裁判決でほとんどの減給・停職処分が取り消された後にもかかわらず、「繰り返して職務命令に違反するものに対しては処分を重くする」との見せしめのように行った、「回数加重処分」というべき新たな加重処分だった。
2018年4月の高裁判決は、「第一次訴訟」最高裁判決の枠組みを踏襲したものであり、戒告処分を含めた全ての不当処分の取り消しを願っている私たちにとっては不十分だったが、減給処分取り消し判決が確定したことの意義は大きいと考えている。
控訴審では、私たちは地裁での審理と原告団や弁護団によって重ねられた議論とをもとに、控訴理由書を作った。
この控訴理由書では、原告となった教員一人一人による地裁での証言に基づき、それぞれがどのような思いで教育実践に臨み、どのように悩み、その結果としてなぜ不起立に至ったかという経緯を説明し、職務命令等が、児童・生徒に対しても「日の丸・君が代」の強制を目指して出されたことを分析的に述べた。
「通達」だけではなく、石原都政以降の約二十年の間に、都立学校の教育現場は大きく変わった。
都教委と校長によるトップダウンの強化、主幹教諭・主任教諭の導入などの職務職階制の強化、職員会議での採決を認めない、業績評価による給与の差別の強化、防災訓練やリクルート等における自衛隊との連携、オリンピック・パラリンピック教育。
この約二十年で、「日の丸・君が代」押し付けだけでなく、学校現場の組織自体が、より軍隊に近い上意下達の形態に変えられた。
5月に天皇代替が行われ、来年は東京オリンピック・パラリンピックも開催されようとしている。
これまで以上に、学校をはじめ多くの場所に「日の丸」が掲げられ、「君が代」を聞かされることが増えると予想される。そのような状況の中で、私たちがこの裁判を通じて主張し、証明し、勝ち取ったものは、どのような意味をもつのだろうか。
『被処分者の会通信 第123号』(2019.5.21)
◆ 第四次訴訟、一部勝訴が確定。ご支援ありがとうございました。
田中聡史
私は、2011年から2016年までの6年間で、卒業式・入学式に校長の職務命令に従わず「君が代」斉唱時に不起立をしたことを理由に10回の処分を受けた。
最初の3回までは戒告処分、4回目から10回目までは減給十分の一1ヶ月だった。
これらの処分のうち2013年までの5回の処分について、その取り消しを求めて「東京『君が代』裁判第四次訴訟」の原告14人の一人として2014年に提訴し、裁判を闘った。
今年の3月28日付で、最高裁第一小法廷は、東京都と私たち原告双方の上告受理申し立てを受理しないことを決定し、同時に、私たち原告の上告を棄却した。この決定により、「減給処分は裁量権の逸脱濫用である」として取り消しを命じた2018年4月の東京高裁判決が確定し、私の減給処分取り消しが確定した。
残念ながら、戒告処分は容認され、損害賠償請求は棄却されたが、これで「第四次訴訟」の減給および停職処分は全て取り消された。
東京都は、私についての減給処分取り消しに関してのみ、不服として上告受理申し立てをしていた。
私に対する減給処分は、2012年の「東京『君が代』裁判第一次訴訟」最高裁判決でほとんどの減給・停職処分が取り消された後にもかかわらず、「繰り返して職務命令に違反するものに対しては処分を重くする」との見せしめのように行った、「回数加重処分」というべき新たな加重処分だった。
2018年4月の高裁判決は、「第一次訴訟」最高裁判決の枠組みを踏襲したものであり、戒告処分を含めた全ての不当処分の取り消しを願っている私たちにとっては不十分だったが、減給処分取り消し判決が確定したことの意義は大きいと考えている。
控訴審では、私たちは地裁での審理と原告団や弁護団によって重ねられた議論とをもとに、控訴理由書を作った。
この控訴理由書では、原告となった教員一人一人による地裁での証言に基づき、それぞれがどのような思いで教育実践に臨み、どのように悩み、その結果としてなぜ不起立に至ったかという経緯を説明し、職務命令等が、児童・生徒に対しても「日の丸・君が代」の強制を目指して出されたことを分析的に述べた。
「通達」だけではなく、石原都政以降の約二十年の間に、都立学校の教育現場は大きく変わった。
都教委と校長によるトップダウンの強化、主幹教諭・主任教諭の導入などの職務職階制の強化、職員会議での採決を認めない、業績評価による給与の差別の強化、防災訓練やリクルート等における自衛隊との連携、オリンピック・パラリンピック教育。
この約二十年で、「日の丸・君が代」押し付けだけでなく、学校現場の組織自体が、より軍隊に近い上意下達の形態に変えられた。
5月に天皇代替が行われ、来年は東京オリンピック・パラリンピックも開催されようとしている。
これまで以上に、学校をはじめ多くの場所に「日の丸」が掲げられ、「君が代」を聞かされることが増えると予想される。そのような状況の中で、私たちがこの裁判を通じて主張し、証明し、勝ち取ったものは、どのような意味をもつのだろうか。
『被処分者の会通信 第123号』(2019.5.21)
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