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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

第8回「日の丸・君が代」問題等全国学習・交流集会資料から(7)

2018年07月30日 | 日の丸・君が代関連ニュース
 ★ 2017年度大阪再任用拒否国賠訴訟報告
梅原 聡

 今年、2月に提訴した再任用拒否に対する国賠訴訟について簡単に報告します。
 大阪の卒業式・入学式における「君が代」不起立者の再任用に関しては、「今後入学式・卒業式における国歌斉唱時の起立斉唱の職務命令を含む上司の職務命令に従います」という文言に対し、首を縦に振るかどうかといういわゆる「意向確認」が大きな要素をしめていることが特徴です。
 今回の裁判ではこの間題に焦点を当てるために、再任用拒否が違法であることの根拠として「意向確認」を問題にすると共に、「意向確認」を行ったことそのものも違法行為として国家賠償を求めています。
 ★ 訴状の概要
 訴状では、まず、「意向確認」が憲法19条、地公法13条・15条、大阪府の個人情報保護条例などに違反して、思想良心の自由を侵し、精神的苦痛を与えた代償として50万円の損害賠償を求めています。
 次いで、再任用の拒否が裁量権の逸脱濫用に当たるものとして、1年分の報酬相当額として約400万円を請求し、諸費用を合わせて、総額549万7921円の支払いを求めました。
 府教委の裁量権の濫用・逸脱の部分では、再任用制度が再任用を前提とした制度であること・退職前後の地位の継続性から再任用されることに対する期待権があること、選考要綱に基づいた適正公正な審査を受ける権利を有することなどから、府教委の裁量権が制限されることを主張しています。
 そして、「君が代」斉唱時の起立斉唱の「意向確認」ができなかった者を特異に扱い不合格とすることは平等原則に反し、裁量権の逸脱濫用にあたるとしました。
 このあたりは先行する不起立解雇(再任用取消)裁判等と大きく変わりませんが、今回の訴訟では、再任用の是非の判断にあたって「意向確認」という踏み絵を踏ませる行為を要求している点を、思想良心の自由を侵すものとして大きく取り上げました。
 これに関し、昨春、大阪府商工労働部が府教委に対し、「意向確認」は採用選考に関する不適切な質問である指摘したことから、考慮すべきでない「意向確認」の結果を重大に捉えて行った再任用拒否は裁量権を逸脱濫用したものであるとしました。
 ★ 府教委答弁書
 府教委の答弁書では、事実関係についてはあまり争いがありませんが、「再任用を拒否したのではなく、たんに再任用しなかっただけである」などと主張に関しては全面的に争うものとなっています。
 特に意向確認に関しては「意向確認によって今後職務命令に従う意向が確認できた者については職務命令違反の可能性は高くないと評価して採用し、他方、法令遵守意識が希薄であり、上司の職務命令を遵守することが期待できない者は成績良好とはいえないとして不採用としており…」と述べる一方で、「本件意向確認は『再任用されたければ君が代斉唱時に起立斉唱すると言え』との趣旨で述べているものではないし、起立斉唱をすると言わない限り再任用されず職を失うという制裁を背景にして回答を迫るたぐいのものでもない」と矛盾した記述があります。
 また、商工労働部の指摘については、「単なるアドバイスである」とはぐらかしていますが、この指摘の後、「意向確認」の文言から「…国歌斉唱の職務命令を含む」の部分をこっそりと府教委自らが削除したという事実が、彼ら自身「意向確認」に問題があることを認めていることを示しています。
 ★ 今後の方向性
 府教委の答弁書は私から見ても非常に雑なものに思えますが、広範な裁量権という一点に寄りかかって、手を抜いた結果ではないかとも思えます。
 第2回期日に向けて提出したこちらの準備書面では、裁量権は大きな制約を受けることを、先行する不起立解雇裁判の一審の内藤判決批判として出された岡田意見書をもとに詳細に主張しました。
 また、今後は「意向確認」の文言について、商工労働部の指摘した内容や、文言の変更に伴って今年度不起立処分者が再任用されたことなどをいかして、不当性を追求していきたいと考えています。
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