パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

●第2回公判[2005/5/12]報告

2005年07月08日 | 板橋高校卒業式
         真摯に真実を見よ!        
                                     事務局 Z・T

 曇り空、5月だというのに寒い。だが、104号法廷内の空気は熱かった。5月12日、板橋高校卒業式事件第2回公判。開廷は13時30分。1時間半前に出来始めた傍聴券配布を待つ列は、12時55分には定数を越えた。先着順のため、13時に来た人は傍聴できないということになった。事件への関心の高さ、支援者たちの熱い思いが伝わる。傍聴者は、退職・現職教員、板高卒業生、保護者、市民など幅広い層にわたり、マスコミ十数社も含め100名の傍聴席は埋まった。

◆またも、異常な警備体制

 第1回と同様、傍聴席に入るまでにひと騒ぎ。玄関の所持品検査、金属探知機のゲート。104号法廷前で、所持品は預かると職員が立ちはだかり、さらに金属探知機を身体にあてられ、通過するとウス暗く狭い廊下で待たされる。収容所にでも入れられたような錯覚に襲われた。藤田氏を応援する人々がテロリストにでも見えるというのか。とても善良なる市民への扱いとは思えない。日本の裁判所は、まだまだ開かれた裁判所には程遠い状況だ。
 13時30分、村瀬裁判長のもと、開廷。藤田氏入廷、傍聴席に向って-礼、着席。横山弁護人、小沢弁護人が冒頭陳述。弁護側の冒頭陳述は、証拠調べなどの終了後行われるのが通例だが、公訴棄却請求など事件の争点を明らかにし、弁護側の主張を早期に立証するための措置であった。
 冒頭陳述は、①被告人の経歴と板橋高校での勤務状況②被告人の本件卒業式出席までの経緯③本件卒業式のスケジュール上の特異性④被告人の本件卒業式当日の行動の4項目に沿い、2人の弁護人が約20分にわたって展開した。

◆開式の遅れは想定内

 03年度卒業生は、藤田氏が最後に教えた学年であり、とりわけ登校時に見守った視覚障害のある生徒がピアノ伴奏をすることを知った藤田氏が、北爪校長に申し出て来賓として招かれていた。都立高校の卒業式は、10・ 23通達以降、君が代斉唱時に教職員は起立を強要され、従わない場合には処分が科せられるほど異常な事態になっていた。自由な校風を築き上げてきた従来の都立高校にはなかった状況が作られていた。
 藤田氏は、こうした状況を報じた週刊誌コピーを、開式前に保護者に配布、説明したのであって、当日の式の進行状況を考え合わせても「君が代斉唱」ならびにその際の生徒の起立を妨害する意図は全くなかったことは明瞭である
 卒業式開式の遅れは、当日の特異な事情によるものであった。当日、来賓の土屋都議を取材対象としてTBSテレビカメラが入った。テレビクルーは開式5分前に会場付近から退去することになってはいたが、卒業生撮影は好ましくないとの教職員の配慮により、卒業生の整列は例年の待機場所よりも遠くに設定された。
 そのため10時開式予定の遅れは当初より予想されていた。

◆当日、そこには犯罪行為はなかった

 小沢弁護人からは、8時頃の板橋高校到着から9時45分に体育館を退出するまでの藤田氏の行動が時系列で述べられた。
 教室で卒業生と雑談後9時30分式場へ。保護者席のかなりは空席で、開式前の談笑の時間といった雰囲気。「サンデー毎日」コピーを配布。制止されることは一切なかった。「国歌斉唱時に、教職員が立って歌わないと処分されます。云々」と約1分間、保護者に語りかけたのち来賓席に向おうとした時、教頭が来て藤田氏の腕をつかむ。その後校長が「退場せよ」と怒鳴る。
 しかし、藤田氏は来賓として参加するつもりで来校しており、この要求は不当と考えたので退場要求は不当であるという趣旨の抗議の発言。保護者への語りかけは既に平穏に終了しており、退場を要求する正当な理由は存在しない。管理職の方が大声を発したわけである。検察側は藤田氏の発言を「威力業務妨害」としているが、管理職の行為への抗議の声であり、防御的言動である。
 藤田氏は管理職に物理的に抵抗することもなく、体育館出入口へ向かう。その間、教頭の「おとなしくするんだな」の言に、来賓として参加が認められたと思い再度来賓席へ向かおうとした。この間10数秒で大声でのやりとりはない。体育館後方まで進むと校長が前にたちはだかる。「教頭が参加を許可した」と説明すると、校長は絶句。その時、校長の後方にいた土屋都議が「管理者は校長だ」と怒鳴り、校長は再び「退去せよ」と叫んだのだ。
 藤田氏は抗議しつつも卒業式への参加をあきらめ、9時45分ころ体育館を退出。退出する際、大声で怒鳴りながら近づいて来た保護者の男性に、藤田氏は自分が元板橋高校職員であることなどを話し、なだめ、管理職と対話した後会場を後にした。二度目の抗議発言の開始から体育館退出までの時間は、約30秒である。

◆式は粛々と進行、妨害者はだれだ?

 TBS取材のため、9時45分には体育館至近の格技棟廊下に卒業生整列完了は予定されてはおらず、TBSカメラが体育館退出後、生徒は至近の格技棟廊下へ向けて移動開始の予定であった。それゆえ格技棟廊下での卒業生整列は9時50分には間に合わず、入場が遅れ開式は10時2、3分だった。
 開式後の卒業式は極めて順調に進んだが、君が代斉唱時に大多数の卒業生が着席したため、校長、教頭、土屋都議が、起立・ 斉唱を求める怒鳴り声を発した。教頭は「思想信条のある者以外は立ちなさい」と叫び、土屋都議はカメラ付携帯電話で撮影し、生徒のプライバシーを侵害した。「国歌斉唱」の発声から実際の斉唱まで1分以上要したのは管理職が起立を促したためで、学校管理者の判断による式運営であった。
 開式が10時2、3分であったことは式典の進行の支障ではない。都立高校の卒業式の開式が式次第の予定時間より数分程度ずれることは、社会的認識としては卒業式進行の支障ではない。また、ほとんどの卒業生は式が妨害されたとの感想をもっていない。視覚障害のあるYさんのピアノ伴奏による「旅立ちの日に」は感動的ですばらしかったと言い、多くの保護者も式の進行が妨害されたとの感想はもっていない。

◆証拠開示申立

 警察・検察側が押収、また任意提出された証拠物件は、検察側が審理を有利に進めるため隠匿しておくことがよくある。藤田裁判でも重要な証拠は開示されていない。大山弁護人がこの点を追及した。
「捜索差押許可状、藤田氏をはじめ6氏の供述書、検察側の証拠として提出されたICレコーダーのB、C、Dフォルダーなど9点を開示申立。これらは検察側に証拠として確保されていることは、明らかであり、その中には藤田氏の行為が、犯罪に該当するものではないことを証明するものが含まれている。」

◆証拠はすべて開示せよ

 続いて、弁護側、検察側双方から証拠に対する意見が述べられた。加藤弁護人が「板橋高校旧3年担任の供述書は、検察側に不利なものであることから開示されていないと考えられる」と述べ、続いて小沢弁護人が「当日の藤田氏と管理職とのやり取りを録音したICレコーダーはAフォルダーだけが検察側から証拠として提出されている。録音者は、当日都から監視役として派遣された鯨岡氏だが、すべてのフォルダーの開示を求める。またAフォルダーについては、証拠とすることに異議を申し立てる。ICレコーダーの機能上正確な録音は期せず、作為的な要素が含まれることがある」と証拠のすべての開示を求めた。
 弁護側の申し立てに対し検察官は、裁判長に「大きな声で」と注意されるほど自信なげであった。テレビドラマに登場する検事は正義の味方、堂々たるものなのだが、この検事氏は「悪いクジをひいた」と思っているのだろう、公判の維持さえ自信なさそうであった。それもその筈、犯罪行為が発生していないところに事件を作ったのだから。この裁判の勝ちは見えてきたのではないかと思った。
 同意書証の取調べでは、検察側提出のビデオについて、藤田氏が加藤弁護人とともに確認。いつ岡本氏から受領したのか、時刻のカウントのあるビデオがあるはずだが等を質した。裁判長は「後で調査して答えてください」と検察側に求めた。

◆生徒の思想・信条は尊重されなければ

 14時40分休廷、15時再開。検察側証拠として提出されている、岡本教諭撮影卒業式記録ビデオ上映。開式から終了までスムーズに進行する様子が映し出された。「国歌斉唱」では多くの生徒が着席。それを咎める管理職と土屋都議。その場面だけが異常な事態であり、卒業生の歌う「旅立ちの日に」には感動を覚えたほどである。
 続いて弁護側がTBS「報道特集」ビデオを証拠として提出。検察側不同意、裁判所採用し上映。都教委の「君が代」伴奏強制で病に倒れる教職員の姿、起立しないと処分という状況下で実施される卒業、入学式の異常さが事件の背景にあることがわかる。藤田氏が式場から連れ出される場面等みられた。
 第2回公判のおよそ半分の時間はビデオ上映。裁判長は退屈そうに見ていたが、真摯にこの状態を受け止めれば、藤田氏に有罪という判決は下せないと確信した。
 公判終了後、弁護士会館で記者会見、報告集会。会場には椅子が不足するほど支援者が結集した。

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