パワー・トゥ・ザ・ピープル!!アーカイブ

東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

●第3回公判[2005/5/30]報告

2005年07月08日 | 板橋高校卒業式
      早くも立件を左右する山場   
                                           事務局 K・H


 五月雨の降り濡つ中、第三回公判も、傍聴席は埋め尽くされた。初めての朝から夕まで丸一日の公判だったが、報告集会で澤藤弁護士が語ったように、「日本の民主主義になりかわって闘っている藤田さんを応援する」、そんな思いがこの裁判を支えている。  

裁判長からの注意~傍聴人のマナー

 翌朝の共同通信と産経新聞に、開廷前のやり取りだけが取り上げられた。
 裁判長が傍聴席に向かって、「ICレコーダの持ち込みと、法定内の静粛」を呼びかけたのに対し、澤藤弁護士が「レコーダの持ち込みが静粛を乱したかのような言い方はおかしい」と反論した。
 少なくとも過去二回、傍聴席は全く静粛で注意など受けたことはない。数人のレコーダ持ち込みを以て傍聴者全体の不心得の如く表現したことへの抗議だったと思うが、案の定マスコミは注意そのものを異例として記事にした。
 重ねて傍聴者全体はきわめて紳士的であり、むしろ過剰な警備(過去2回の傍聴記に詳しい)にもよく忍耐しているというのが実態ではないか。なぜか裁判長の傍聴人に対する予断は最初から根深いものがあるようで、危険人物視(?)される傍聴人の側にも不満が蓄積している。

鯨岡証言~本日のメインテーマ

 20人も用意されているという検察側証人のトップバッターは、鯨岡広隆指導主事(当時)。
 彼が、個人所有のICレコーダに板橋高校卒業式の様子を録音したものを、検察側が証拠申請したのに対し弁護側が不同意だった。そこで最終的に裁判長が採否を判断するための証言である。

主尋問から~客観性を強調

 指導主事が、卒業式に参加する目的は、祝意を述べると共に、適正に実施されているかどうか、「状況把握」すること。(弁護団の反対尋問で「監視」という言葉を使うと、すかさず検察が「異議」を唱える。「状況把握」か「監視」か、大変ナーバスになっている。)
 「適正」とは、「学習指導要領」及び「10・23通達」に基づいて実施していること。
 指導主事の出席は、元々2名の予定が、数日前に5名に増員され、鯨岡氏も急遽出席することになった。増員の理由は、不測の事態が予想されたから。
 ICレコーダは、個人所有。職務で録音したのではない。鯨岡氏が警察の事情聴取の折に任意提出したもの。都教委内で再生したこともない。(反対尋問の中で、都教委内の検討会に呼ばれたこともないと証言していた。)
 開式前から終了後まで、一度も中断することなく録音した。その後、編集・改ざんなど一切していない。2月1日に購入したばかりで、操作そのものに不慣れである。
 個々の録音内容の特定のため、検察側が再生を希望するが、弁護側が未採用の証拠と強く抗議。裁定で、書面化された「IC解析一覧表」に基づき質問を続行。藤田氏の行動を事細かに証言させるのが、検察側のねらいだったと思われる。昼食休憩を挟み、14:10まで延々と。

反対尋問から~証拠能力への懐疑

 録音の許可について、校長からも、教育庁の上司からも、式参列の生徒・保護者・来賓からも許可は取っていない。事前に誰にも相談もしていない。
 指導主事の職務と権限について、適正実施の状況把握が職務であり、管理権はない。被告人の資料配付を目撃したが、職務外なので注意もしていない。土屋都議から「何やっているんだ」「この男を排除せよ」と言われたことは、記憶にない。
 10・23通達には、生徒・保護者・来賓などに関する記述はない。しかし、どんな人でも、式の間中は学校長の管理下に入ると考えている。
 ICレコーダの性能(ハイクオリティでも300~4000Hz、人間の耳は20~18000Hz)について、マイクに直接話すのと遠くの音とでは違うし、人間の耳で聞くのと違っていることは感じていた。
 証人は、官僚訓練(?)を積んだ立派な(?)官僚で、すり替え、はぐらかし、しらを切るなど、ふてぶてしい態度で、加藤弁護人も辟易していた。傍聴席もムカムカがつのった。

◆怪しげなやり取りと偽証

 したたかな証人も、何回か口を滑らせていた。
 一つは、録音内容特定のため「IC解析一覧表」を示された時。「初めて見る」と言い切ったものの、検察側が困って遠回しに誘導して「見たことがありました」と、訂正した場面。
 二つめは、藤田氏敷地外退去の後、式場に戻った時間を「9:50」と一旦言ったが、ここでも検察官から「9:50で間違いありませんか」と誘導されて、訂正した場面。
 そしてもう一つ、「10・23通達」以前の卒業式の様子を聞かれて、武蔵村山と駒場の様子を証言したが、同じ駒場に在籍していた者が傍聴席にいるとは思いも寄らなかったのだろう。聞いていて唖然とする全くの嘘っぱちの偽証であった。証人は、君が代斉唱へ向けて校長の強い意志と教職員の強い反対の対立から互譲して、開式前に君が代を実施したと思う、とヌケヌケと言ってのけた。ところが、彼が在籍していた96年3月以前(つまり「国旗国歌法」成立以前、「旧通達」以前)に、駒場の卒業式会場に君が代はおろか日の丸もなかったことは、当時の職員なら誰でも知っていることで、記録にも残っていることだ(駒場での戦後最初の君が代は2000年4月の入学式である)。10・23通達以前は、不起立も常に二桁以上あって、それが都立高の実態だったのだ。
 うまく立ち回っているつもりが、しゃべりすぎは自滅の元だ。

◆次回の見所

 ~6月21日(火)10:00~16:30
 午前中は、鯨岡証人への反対尋問が続く。録音内容の編集・偽造の疑惑も追及される。加藤弁護人に続く、メカに詳しそうな小沢弁護人・大山弁護人の補充質問にも期待。
 午後からは、今回新たに召喚が決まった加治司法警察員の証人尋問。これは、公安提出の「資料入手報告書」に、「Aフォルダにしか録音はない」と明記されていたのに、偶然のきっかけからB・Cフォルダにも録音があることが発覚したことに関して、その責任者に対し、不実記載や記録本体への改ざんの疑惑も含めて審理される、重要な証人となる。
 第二回公判で流された「映像」は、「正常な卒業式」を明確に印象づけるものであった。これに対し、検察側が「異常」を立証する最大の決め手がICレコーダである(他の供述調書は食い違いも多くあいまい)。この証拠能力が、「威力業務妨害罪」の立件を左右する。既に4回目にして、この裁判の「山場」が来ている、と澤藤弁護人が強調していた。ぜひ次回も、多数傍聴にお運びいただき歴史の証人になっていただきたい。

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