《リベルテから》
◎ 東京「君が代」第3次訴訟
学校に自由と人権を取り戻す闘いは最高裁へ
(1)3次訴訟とは
07・08・09年の被処分者50名を原告として、2010年3月2日に提訴。2015年1月16日に一審判決、12月4日に双方の控訴を棄却する二審判決が出た。都側は上告を断念し、原告側は49名が上告して、闘いの舞台は最高裁に移った。
(2)累積加重処分全取消の意義
①都側が控訴した5人の処分取消も確定
都側が減給処分以上の「相当性を基礎付ける具体的事情」としてあげた「過去の処分歴」(2~6回)や「不起立前後の態度」(事情聴取拒否、反省のない受講報告書、生徒への内心の自由告知など)は、「いずれも積極的な妨害ではないから、加重事由として重視するのは相当でなく」と却下された。都は負けを認めざるを得なく、上告せず26人31件の処分取消が確定した。
②判例の積み重ねから見えてくるもの
2012年の最高裁判決以降、「累積加重処分」を争った8つの裁判は、今回を含めすべて取消を勝ち取り、既に55人65件の取消が確定している。「減給以上の処分は許容される」としてきた都の解釈の誤りはもはや明白であり、都の処分方針転換は不可避となった。
(3)高裁判決文の問題点
①偽装された「目的」と、真の「目的」
判決文では、教育課程の適正実施という名目に隠れた都教委の下心を見抜けていない。教員に対し不利益処分を以てその信念等に反する行為を強制することを通して、生徒へ「愛国心」を刷り込むことこそ、通達・職務命令の「真の目的」である。
②「儀式的行事における儀礼的所作」という安直な免罪符
卒業式等における起立斉唱等の行為は、思想・良心・宗教の自由のいずれをも侵害せず国際条約にも違反しない理由として、綿密な検討もなしに「儀式的行事における儀礼的所作」という決まり文句で片付けてしまう。
③不起立行為等は「重大な非違行為」ではない
中西裁判長は「軽微な非違行為・・・ということはできない」としたが、最高裁判決の「動機・原因」「性質・態様」「結果・影響」の認定に基づくなら「重大とは評価できない」となるはずである。再雇用2次控訴審柴田判決も、河原井・根津裁判控訴審須藤判決もそのように評価している。
④最高裁が処分の加重を抑止した理由が理解できていない
最高裁判決が、処分の「累積加重」に「慎重な考慮」を必要とした理由は、職務命令は間接的とはいえ人権の「制約」であり、懲戒処分により短期間に反復継続的に不利益が拡大する特質を持つからである。その点で「定型的に処分を加重(する方針が)・・・不合理とは言えない」一般的犯罪行為(体罰・セクハラ等)と同列には論じられないのに、中西裁判長はその違いが区別できていない。
⑤戒告処分の不利益は小さいくない
判決文では「従前よりその影響は大きくなった」と認めつつも「戒告処分自体による不利益ではない」と、勤勉手当の減額等を"勘案"から除外した。しかし最高裁判決では、「勤勉手当への影響を"勘案"しても・・・」と、判断の条件にしていた。"勘案"の作業をスルーした中西判決は不備である。
(4)最高裁に向けて
判決直後の報告集会では、弁護団から解説された判決文の余りの無内容さに、会場は声を失い静まりかえってしまうほどだった。しかし怒りを希望に換えて、原告団臨時総会では気を取り直して、以下の課題を確認し上告を決めた。
目標は、大法廷で憲法判断を求め、戒告処分の撤回と損害賠償を勝ち取ること。そして何よりも、「10・23通達」を撤回させ、都立高に自由と人権、平和で民主的な教育を蘇らせることである。弁護団はとびきりの上告理由書を作成中である。最高裁へ向けて、要請署名を始めた。要請行動にも取り組んでいく。私たちは諦めない。早速ですが、署名へのご協力をよろしくお願いします。
『リベルテ 第42号』(2016/1/23)
※ 3次訴訟最高裁要請署名用紙ダウンロード
『被処分者の会HP』http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/
上部フレームをスクロールすると、一番下にあります。
最高裁要請署名用紙 ○個人用、○団体用、○裏面の説明(個人・団体共通)
ご面倒でも、用紙記載の宛先までご郵送下さい。欄が埋まらなくても構いません。
◎ 東京「君が代」第3次訴訟
学校に自由と人権を取り戻す闘いは最高裁へ
(1)3次訴訟とは
07・08・09年の被処分者50名を原告として、2010年3月2日に提訴。2015年1月16日に一審判決、12月4日に双方の控訴を棄却する二審判決が出た。都側は上告を断念し、原告側は49名が上告して、闘いの舞台は最高裁に移った。
(2)累積加重処分全取消の意義
①都側が控訴した5人の処分取消も確定
都側が減給処分以上の「相当性を基礎付ける具体的事情」としてあげた「過去の処分歴」(2~6回)や「不起立前後の態度」(事情聴取拒否、反省のない受講報告書、生徒への内心の自由告知など)は、「いずれも積極的な妨害ではないから、加重事由として重視するのは相当でなく」と却下された。都は負けを認めざるを得なく、上告せず26人31件の処分取消が確定した。
②判例の積み重ねから見えてくるもの
2012年の最高裁判決以降、「累積加重処分」を争った8つの裁判は、今回を含めすべて取消を勝ち取り、既に55人65件の取消が確定している。「減給以上の処分は許容される」としてきた都の解釈の誤りはもはや明白であり、都の処分方針転換は不可避となった。
(3)高裁判決文の問題点
①偽装された「目的」と、真の「目的」
判決文では、教育課程の適正実施という名目に隠れた都教委の下心を見抜けていない。教員に対し不利益処分を以てその信念等に反する行為を強制することを通して、生徒へ「愛国心」を刷り込むことこそ、通達・職務命令の「真の目的」である。
②「儀式的行事における儀礼的所作」という安直な免罪符
卒業式等における起立斉唱等の行為は、思想・良心・宗教の自由のいずれをも侵害せず国際条約にも違反しない理由として、綿密な検討もなしに「儀式的行事における儀礼的所作」という決まり文句で片付けてしまう。
③不起立行為等は「重大な非違行為」ではない
中西裁判長は「軽微な非違行為・・・ということはできない」としたが、最高裁判決の「動機・原因」「性質・態様」「結果・影響」の認定に基づくなら「重大とは評価できない」となるはずである。再雇用2次控訴審柴田判決も、河原井・根津裁判控訴審須藤判決もそのように評価している。
④最高裁が処分の加重を抑止した理由が理解できていない
最高裁判決が、処分の「累積加重」に「慎重な考慮」を必要とした理由は、職務命令は間接的とはいえ人権の「制約」であり、懲戒処分により短期間に反復継続的に不利益が拡大する特質を持つからである。その点で「定型的に処分を加重(する方針が)・・・不合理とは言えない」一般的犯罪行為(体罰・セクハラ等)と同列には論じられないのに、中西裁判長はその違いが区別できていない。
⑤戒告処分の不利益は小さいくない
判決文では「従前よりその影響は大きくなった」と認めつつも「戒告処分自体による不利益ではない」と、勤勉手当の減額等を"勘案"から除外した。しかし最高裁判決では、「勤勉手当への影響を"勘案"しても・・・」と、判断の条件にしていた。"勘案"の作業をスルーした中西判決は不備である。
(4)最高裁に向けて
判決直後の報告集会では、弁護団から解説された判決文の余りの無内容さに、会場は声を失い静まりかえってしまうほどだった。しかし怒りを希望に換えて、原告団臨時総会では気を取り直して、以下の課題を確認し上告を決めた。
目標は、大法廷で憲法判断を求め、戒告処分の撤回と損害賠償を勝ち取ること。そして何よりも、「10・23通達」を撤回させ、都立高に自由と人権、平和で民主的な教育を蘇らせることである。弁護団はとびきりの上告理由書を作成中である。最高裁へ向けて、要請署名を始めた。要請行動にも取り組んでいく。私たちは諦めない。早速ですが、署名へのご協力をよろしくお願いします。
(3次訴訟原告団事務局 花輪紅一郎)
『リベルテ 第42号』(2016/1/23)
※ 3次訴訟最高裁要請署名用紙ダウンロード
『被処分者の会HP』http://www7a.biglobe.ne.jp/~hishobunshanokai/
上部フレームをスクロールすると、一番下にあります。
最高裁要請署名用紙 ○個人用、○団体用、○裏面の説明(個人・団体共通)
ご面倒でも、用紙記載の宛先までご郵送下さい。欄が埋まらなくても構いません。
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