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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

少人数学級導入をめぐる文科省と外務省のガチンコバトル

2020年11月23日 | こども危機
  《The Interschool Journal から》
 ◆ 少人数学級めぐり財務省が「担任外教員」に育休者含む試算 財政審資料
   平松けんじ

左・文部科学省(平松けんじ撮影)、右・財務省(石川遥樹撮影)

 新型コロナウイルス感染症の世界的流行の中、少人数学級導入を予算で「事項要求」として要求した文部科学省と少人数学級に否定的な財務省
 財務省が少人数学級導入に否定的な資料を提出し、文科省がそれに対する反論を翌日ホームページ上に掲載するなど「ガチンコバトル」の様相を呈している。
 財務省は、10月26日に行われた財務省の財政制度等審議会(財政審)の歳出改革部会で「最近の新しいデータを使った研究ほど、学級規模の縮小の効果はないか、あっても小さいことを示している研究が多い」「学級規模の縮小単体で大きな効果を発揮するとは考えにくい」などと記載した資料を提出。
 しかし財務省は資料の裏付け調査を行ったかどうかについて「出典から引用した」と回答するばかり。明確な回答はなかった。
 また、財務省は資料中で「教職員定数が児童生徒数ほど減少していない」「児童生徒数あたりの教職員数を1989(平成元)年度と同水準とした場合、実質的に教職員定数は20万人増えている」と指摘しているが、「特別支援学校・特別支援学級に通う生徒数の増加を考慮していない」(同省広報室)という。
 文科省「教職員定数が児童生徒数ほど減少していないのは特別支援学校・特別支援学級に通う児童生徒数の増加によるものが大きい」と反論。特別支援学校・特別支援学級の生徒増を除くと2006(平成18)年と昨年を比較して約2%程度の教職員定数増にとどまっているとした。
 ◆ 「担任外教員」に育休中の教員を含める財務省

 財務省は資料の中で「日本は教員1人当たりの児童生徒数は主要先進国並み」で、「1クラス当たりの学級担任外教員が多い」と指摘している一方、「学級担任外教員」に育児休業中の教員や通級指導担当の教員の人数を含めていることを認めている。
 文科省「そもそも学校に勤務していない教員(育児休業者約1.7万人、教委勤務の指導主事約3千人)が含まれている」と指摘している。
 また、財務省は「学級担任外教員」とされる教員の役割などについて把握していないという。
 このほか、財務省の資料には新型コロナウイルス感染症など感染症対策の面からの少人数学級導入について記述が一切ない。
 萩生田文科相は「今回、少人数学級に舵を切る前提は、ソーシャルディスタンスを保つ学級規模が必要なんじゃないかっていうところから始まっている」と述べているが、財務省は「資料説明の時間を踏まえ、総合的に判断」(同省広報室)し、財政審の資料に記載しなかったという。
 子どもの命にもかかわる感染症対策を資料から「総合的判断」を理由に省く財務省ーそこまでして教育予算を削りたいのか
 教育は国家百年の計とよく言われるが、我が国は将来ある学生を大切にしていない。このような国に果たして未来があるのだろうか。
 【参考】財務省が調査・確認した研究文献一覧(財務省広報室の回答より)
1 Akabayashi, H., & Nakamura, R. (2014). Can small class policy close the gap? An empirical analysis of class size effects in Japan. Japanese Economic Review, 65(3), 253-281.
2 Hojo, M. (2013). Class-size effects in Japanese schools: A spline regression approach. Economics Letters, 120(3), 583-587.
3 Ito, H., Nakamuro, M. and Yamaguchi, S., (2020). Effects of class-size reduction on cognitive and non-cognitive skills. Japan and the World Economy, Vol.53, p.100977.
4 伊藤大幸, (2017),「クラスサイズと学業成績および情緒的・行動的問題の因果関係」, 教育心理学研究, Vol.65, p.451-465.
5 妹尾渉・篠崎武久・北條雅一(2013)「単学級サンプルを利用した学級規模効果の推定」,『国?教育政策研究所紀要』第 142 集,pp. 161-173
6 妹尾渉・北條雅一・篠崎武久・佐野晋平(2014), 「回帰分断デザインによる学級規模・効果の推定?全国の公立小中学校を対象にした分析?」,『国立教育政策研究所紀要』第143集, pp. 89-101.
7 妹尾渉・北條雅一 (2016) ,「学級規模の縮小は中学生の学力を向上させるのか―全国学?・学習状況調査(きめ細かい調査)の結果を活用した実証分析―」,『国立教育政策研究所紀要』, 第 145 集,2016, pp. 119-128.
8 中室牧子, (2017), 「少人数教育はいじめ・暴力・不登校を減らすのか」, RIETIディスカッションペーパー, 17-J-014.
9 二木美苗,(2012),「学級規模が学力と学習参加に与える影響」,『経済分析』186 号,pp. 30-49.

『The Interschool Journal』(2020年11月19日)
http://interschooljournal.officeblog.jp/24800939archives/20201119html#more
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