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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

「働き方改革」というけれど誰のため?サービス残業が増える矛盾

2018年02月21日 | 格差社会
 ◆ 「働き方改革」の矛盾
   ~時短ハラスメントに
(東京新聞)

 「働き方改革」の掛け声の下、多くの企業が残業時間の削減に取り組む。しかし単に労働時間を短くしようとすると、働く人にしわ寄せがいく。業務見直しのないまま、残業を認めず、「生産性を向上させろ」とだけ迫る事態「時短ハラスメント」と呼ぶ向きもある。専門家は問題解決には、仕事の量や役割分担の見直しも必要と訴える。(寺本康弘)
 ◆ 残業削減の陰で サービス残業
 「『生産性を上げろ』と言われて、精神的につらい」。都内のIT企業に派遣されている五十代のシステムエンジニア(SE)の男性は嘆く。
 男性はSE歴約三十年。約二年前から、他の派遣SEとチームで新しい文書管理システムを作っている。業務量は多く、男性のようなベテランでさえ、「残業しないと達成できない」という。
 その一方で会社は残業を認めない。男性も派遣元を通じて申し入れたが断られた。直接、派遣先にお願いすると、「働き方改革に伴って残業は認められない」「業務量は適正。時間内に終わる」と取り付く島もない。
 男性の勤務時間は午前九時から午後五時半。強制消灯になる前の午後六時まで残業するが、報告書では午後五時半で作業が終わったことになっている。
 始業前は会社から注意を受けないため、午前八時すぎに出社している。昼休みの一時間も出社前に買ったパンをかじりながらパソコンに向かう。チームの仲間も同じように早朝出社で業務にあたっている。
 男性は「残業時間に時給を単純に掛けた場合、未払い残業代は月十万円にはなる」と話す。「引き受けた以上、しっかりやり遂げたいが、あまりに理不尽。働き方改革というけれど誰のため」と疑問を呈す。
 いわゆる「サービス残業」だが、会社に請求できないのか。
 労働問題に詳しい名古屋北法律事務所の白川秀之弁護士労働時間と認められるかがポイントと指摘。
 「会社が労働時間と認めなくても、期間を定めて命じられた一定量の業務に対し、労働者が勤務時間内には達成できないと申し出ていれば、労働時間として認められる場合がある」
 具体的には、業務を達成できなかった場合、給与額を減らすなどの不利益がある▽「達成不可能」との労働者の申し出に企業が対策を講じなかった▽早出や休憩時間内の労働を会社が認識していたーなどの場合は労働時間として認められる場合もあるという。
 ◆ 記録残しておいて
 今回の男性SEはどんな対策を取ればいいか。まず派遣元に改善を求め、なされない場合は労働基準監督署に申告する。
 一方で日々の動務実態の詳細をメモしておき、「勤務時間内では業務が終了しない」などと申し出ていた派遣先へのメールも残す。
 白川弁護士は「争いになった場合、記録を残して提出することが大切になる」と話す。
 本来は健康を守るための残業時間削減の動きが、結果として労働者にサービス残業を強いることについて、働き方評論家の常見陽平さんは、管理者が部下の労働をよく知ろうともせず労働時間だけ削減しろという「時短ハラスメントが起きている」と指摘する。
 「仕事の絶対量が減らない中、現場の創意工夫だけでは限界がある。結果、サービス残業が誘発される。仕事の絶対量と役割分担を見直すという発想をしなくては、問題は解決されない」
『東京新聞』(2018年2月12日)

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