◎ 卒業式における「日の丸・君が代」不当処分
および再処分に抗議する声明
および再処分に抗議する声明
3月26日、東京都教育委員会(都教委)は定例会を開催し、卒業式での「君が代」斉唱時の不起立(8回目)を理由に特別支援学校の教員1名に対する懲戒処分(減給処分10分の1・1カ月)を決定し、3月30日、該当者に対する処分発令を強行した。
これは、「懲戒権者の裁量権の範囲を超え、違法」として減給以上の処分を取り消した最高裁および確定した下級審判決の趣旨をないがしろにする暴挙である。
同時に、去る1月16日の地裁判決が減給処分の取り消しを命じ、都教委自らが控訴できずに処分取り消しを確定させた原告21名の内、現職9名の再処分を企み、そのうち1名(3月31日付退職予定者)に、改めて戒告処分を発令した。
私たちは、命令と処分によって教育現場を意のままに操ろうとするやり方に、断固として抗議する。
また都教委は、2012年から質量ともに強化した服務事故再発防止研修を、被処分者に課した。これは、「繰り返し同一内容の研修を受けさせ、自己の非を認めさせようとするなど、公務員個人の内心の自由に踏み込み、著しい精神的苦痛を与える程度に至るものであれば、そのような研修や研修命令は合理的に許容される範囲を超えるものとして違憲違法の問題を生じる可能性がある」とした東京地裁決定(2004.7)にも反するものである。
私たちは、2003年の「10・23通達」以来延べ465名に及ぶ、大量の不当な処分発令(別紙参照)に満身の怒りを込めて抗議し、不当処分の撤回及び憲法違反の服務事故再発防止研修の中止を求める。
東京「君が代」裁判一次訴訟および二次訴訟における最高裁判決には、「すべての関係者によってそのための具体的な方策と努力が真摯かつ速やかに尽くされていく必要がある」(櫻井裁判官2012.1.16一次訴訟)、「謙抑的な対応が教育現場における状況の改善に資するものというべき」(鬼丸裁判官2013.9.6二次訴訟)など、かつてなく多くの補足意見が付された。「10・23通達」をめぐる紛争そのものが異常な状態であり、解決が求められているのである。
にもかかわらず、都教委は再三にわたる被処分者の会、原告団の要請を拒んで紛争解決のための話し合いの席に着こうともせず、最高裁判決の趣旨を無視して「職務命令」を出すよう各校長を指導し、全ての都立学校の卒業式で例外なく各校長が「職務命令」を出し続けている。
それどころか、最高裁判決によって減給処分の取り消しが確定した7名(二次訴訟の原告のうち現職者)に対し、改めて戒告処分を発するなど、司法の裁きにも挑戦するがごとき都教委の姿勢は、都民に対して信用失墜行為を繰り返していると言わざるを得ない。
三次訴訟(原告50名06年周年行事から09年処分)では、地裁判決で23件の減給処分取消が確定した。「10・23通達」発出以降、取消が確定した処分はすでに56件47名に及ぶ。二次訴訟原告の再処分の被処分者は処分取消を求めて東京都人事委員会に不服審査を申し立てている。さらに、昨年3月には原告14名が四次訴訟(10年~13年処分)を提訴した。今回処分された該当者も、不当処分取消・撤回を求めて最後まで闘い抜く決意である。
国政では、教育基本法を改悪した安倍政権が近隣諸国との「対立」をも醸成しながら集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、自衛隊の活動を大幅に広げる安保関連法の制定を目論んでいる。「教育再生」と称して教科書制度・教育委員会制度の改悪・道徳の教科化など、戦後の民主的な教育制度を根本から覆そうとしているのは、そのための教育再編にほかならない。
東京の学校現場は、「10・23通達」はもとより、'06年4月の職員会議の挙手採決禁止「通知」、主幹・主任教諭などの新たな職の設置と業績評価システムによって、教職員が口を塞がれている。「もの言わぬ教師」が作りだされるとき、平和と民主主義は危機を迎える。
私たちは、黙らない。都教委の「暴走」をやめさせ、自由で民主的な教育を甦らせるまで。生徒が主人公の学校を取り戻すため、全国の仲間と連帯して「日の丸・君が代」強制に反対し、不当処分撤回まで闘い抜く。この国を「戦争をする国」にさせず、「教え子を再び戦場に送らない」ために!
2015年3月31日
「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会・東京「君が代」裁判原告団
共同代表 岩木 俊一 星野 直之
連絡先:事務局長 近藤 徹 携帯:090-5327-8318 e-mail:qq947sh9@vanilla.ocn.ne.jp
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