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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

都内公立小中、学校事務共同実施試行の問題

2012年07月26日 | 暴走する都教委
 ■ 学校事務の共同実施へ
   ~2区市で試行、課題の検証も


 都教育委員会は、学校事務職員の人材不足等を背景に、都内公立小中学校での学校事務の共同実施を検討中だ。学校事務の共同実施は、公立小中学校の事務の一部に関し、拠点校を設けて集約して行う仕組み。現在、江東区と武蔵村山市で試行しているが、学校事務の現場からは、業務への支障など疑問の声も上がっている。今後、都教委はモデル校での実施を通じ、課題の検証を行うことになる。
 ■ 業務の集約・切り分け検討
 学校事務の共同実施は、1998年の中教審答申での提言がもとになっている。特定の学校に複数の事務職員を集中的に配置して複数校を兼務させることや、学校事務を共同実施するセンター的組織の設置などが方向性として示された。現在、37府県で実施されており、そうした中で都教委も学校事務の共同実施に乗り出した。
 今年度から、江東区の中学校6校、武蔵村山市の小・中学校4校をグループ化。5月にそれぞれ東京都公立小中学校事務改善連絡協議会が立ち上げられ、現在、どのような業務を拠点校で集中して行うのか、業務の切り分けの検討を始めている。
 今後は、週のうち何日かは拠点となる学校で勤務し、残りを担当する学校で勤務するという形で、実際に学校事務職員の移動が伴うことになる。
 都教委が学校事務の共同実施の検討を始めた背景には、学校事務職員の人材不足や人材育成での課題がある。
 都内の公立小中学校は約2千校あり、各校にそれぞれ1人の学校事務職員が置かれている。しかし、その過半数は50代後半の職員や60代の再任用職員で占められているという年齢構成になっている。
 定年退職や再任用の最終年度を迎え、辞めていく職員が今後5年間にわたって毎年150人以上いると見込まれている。
 一方で、一人職場は新人の育成に適さないとの総務局人事部の考えから若手の配置は控えられている現状があり、学校事務の現場では、20代や30代前半の層は格段に薄い。
 30代後半から40代の層は一定程度いるものの、子育てや介護など家庭の事情から自宅と近接した職場を希望した他局からの異動が中心となっている。
 このため、都教委では、複数の学校事務職員がグループを作って相互に補完し合いながら勤務する共同実施のスタイルに着眼した。
 都教委は「グループ化することで、ベテラン職員を中心に教育体制が整い、若手や中堅だけでなく、初めて学校現場に配属された職員もOJTを通じて働きやすくなる。新規採用に適した職場環境にする狙いもある。加えて業務の効率化を図ることも可能だ」とメリットを話す。
 都教委は今月上旬、学校事務の共同実施の先進例である大分県を視察した。同県では、離島の一村を除き、全17市町で共同実施が行われている。
 同県の標準的なモデル例では、拠点校に学校事務支援室長を置き、それを補佐する係長級のベテランの事務職員を配置。グループ化した連携校から拠点校に集まってきた事務職員が総務や給与、学務、財務などを担当し、週の大半をそこで勤務している。
 同県別府市は、さらに進んでおり、通常は学校の教員が行うような修学旅行や卒業制作の企画立案などについても、拠点校に置かれた学校支援センターで学校事務職員らが行ったという。
 都教委は「都でも将来的には、拠点校の学校事務の事務局が教員の業務の一部を引き受けて教員が子供と触れ合う時間を確保したり、さらには学校経営に対して有効な情報提供をするなど一歩踏み込んだ内容を目指している」と説明する。
 ただ、学校事務の現場からは疑問の声も上がる。
 モデル実施されている江東区のある事務職員は「例えば週4日ほど拠点校に勤務することになれば、自分の担当校に顔を出す機会が極端に減り、日頃、教員から依頼される備品の取り寄せなどの業務に支障が生じかねない」と指摘。
 「担当校での会議への出席や運動会、学芸会、卒入学式などへの参加もしにくくなる。生徒の家庭の事情を知ってこそ適切な対応ができるはずの就学援助の業務などもどうなるのか」とも訴える。
 こうした声に対して、都教委では「モデル実施を通じて、課題の検証も行っていきたい」との考えを示している。
『都政新報』(2012/7/17)
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