再発防止「専門研修」差し止め訴訟の判決文のうち、三代川三千代裁判官のものを入手しました。
この場で紹介されていた、根津さんの「専門研修受講報告」を読んだ後に、改めて判決文を読み直すと、色々考えさせられる点があります。
○三代川判決文のうち、理解を示している部分(研修が「二重処分」となる恐れもある)
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第2 当裁判所の判断
2(2) 確かに,本件専門研修が,職務命令に違反した教職員に対し「服務事故の再発防止に向け,教育公務員としての自覚を促し,自己啓発に努め,モラルの向上を図る」ことを目的として行われる再発防止研修であり,短時間のものにすぎないとしても,その目的を逸脱し,その方法,内容,態様等において,当該教職員の思想・信条に反する見解を表明するよう強要し,あるいは,思想・信条の転向を強いるなど,その内心の自由に踏み込み,当該教職員に著しい精神的苦痛を与えるようなものであるときには,そのような研修を命じる職務命令は,受講者に対し重大な損害を生じさせるものであって,同法25条2項により効力等が停止されるべき「処分」に当たると判断される。
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○しかしながら、却下している部分(上記の恐れは、昨年の例から考えられない)
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(3) しかしながら,現時点において,本件専門研修については,前記1(5)のとおり,実施される日時・場所,予定時間が2時間40分であることが明らかにされているのみである。
もっとも,卒業式、入学式における国歌斉唱の際に起立しなかったことが職務命令に違反する等として減給の懲戒処分を受けた教職員に対する再開研修は平成16年度にも実施されており,本件研修命令後,平成16年度の場合と同様に甲立人らに対し事前課題の提出が指示され,その問題が平成16年度と全く同一であることや,意見書における相手方の主張も踏まえると,■本件専門研修も,平成16年度に行われた上記専門研修とほぼ同様の方法,内容,態様で実施されると考えられる。■
ところで,前記1(7)のとおり,平成16年度の専門研修は,研修課の教授による説諭及び服務指導並びに研修課の課長による事前課題に関連した指導を受け,その終了後,「研修内容」とそれに対する「所感」について報告書を作成するというものであった。個別に個室において行われ5名の者が同席するが,受講者に対し,直接に指導するのは教授及び課長の2名であって,他の指導主事2名は司会又は記録を担当していたにとどまり,また,指導も,項目ごとに教授又は課長のいずれかと受講者とが1対1の関係で行われ,報告書作成時には,教授,課長及び学校長は退室して,研修運営を担当する指導主事2名が同席していたにすぎない。■そして,受講者が,教授や課長の質問に対し回答することを拒んだ場合でも,執拗に回答を強要されることなく研修が終えられ■,また,報告書を短時間で作成したため,予定時間よりも早く研修が終了している(甲11~14)。
以上のような平成16年度専門研修の内容等に鑑みると,これとほぽ同様の内容等で実施されると考えられる本件専門研修が,前述したように申立人らの内心の自由に踏み込み,著しい精神的苦痛を与えるようなものになるとは解されない。
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○そして今回の、根津さんの「報告」には、次のような文言がありました。
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*「3回答えました。わかると答えるまで、その回答を強要するのですか。認識については答えられません」と、私。
*「確認を重ねていくのが研修の仕方です」とのたまいました。「要求した答えをするまで追及するぞ」と同じ響きを持って聞こえました。
*都教委の望む答えをするまで重ねて聞くというこの「研修」は懲罰研修であり、転向を迫る以外の何物でもありません。「研修」に出席させられての実感です。
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これは明らかに、裁判所が却下した理由(■~■の部分)を、現実に実行してしまっているのではないでしょうか。裁判所が「やってはいけない」としていることが行われてしまっています。
今後、根津さん自身が、本訴の中で証言していく、ないし、根津さんの受講態度が都教委にはお気に召さなかったようなので、それこそ都教委から追加研修(処分)を科せられかねませんが、その時こそこの判決文を引用して、都教委の「命令研修」が、違憲・違法のものであることを、明確にして、「廃止」に追い込んでいくことが出来そうな気がします。
それとも、三代川判決文は、ただのリップサービスに過ぎないのでしょうか。その見極めも、この研修の実態により明らかになるでしょう。
この場で紹介されていた、根津さんの「専門研修受講報告」を読んだ後に、改めて判決文を読み直すと、色々考えさせられる点があります。
○三代川判決文のうち、理解を示している部分(研修が「二重処分」となる恐れもある)
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第2 当裁判所の判断
2(2) 確かに,本件専門研修が,職務命令に違反した教職員に対し「服務事故の再発防止に向け,教育公務員としての自覚を促し,自己啓発に努め,モラルの向上を図る」ことを目的として行われる再発防止研修であり,短時間のものにすぎないとしても,その目的を逸脱し,その方法,内容,態様等において,当該教職員の思想・信条に反する見解を表明するよう強要し,あるいは,思想・信条の転向を強いるなど,その内心の自由に踏み込み,当該教職員に著しい精神的苦痛を与えるようなものであるときには,そのような研修を命じる職務命令は,受講者に対し重大な損害を生じさせるものであって,同法25条2項により効力等が停止されるべき「処分」に当たると判断される。
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○しかしながら、却下している部分(上記の恐れは、昨年の例から考えられない)
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(3) しかしながら,現時点において,本件専門研修については,前記1(5)のとおり,実施される日時・場所,予定時間が2時間40分であることが明らかにされているのみである。
もっとも,卒業式、入学式における国歌斉唱の際に起立しなかったことが職務命令に違反する等として減給の懲戒処分を受けた教職員に対する再開研修は平成16年度にも実施されており,本件研修命令後,平成16年度の場合と同様に甲立人らに対し事前課題の提出が指示され,その問題が平成16年度と全く同一であることや,意見書における相手方の主張も踏まえると,■本件専門研修も,平成16年度に行われた上記専門研修とほぼ同様の方法,内容,態様で実施されると考えられる。■
ところで,前記1(7)のとおり,平成16年度の専門研修は,研修課の教授による説諭及び服務指導並びに研修課の課長による事前課題に関連した指導を受け,その終了後,「研修内容」とそれに対する「所感」について報告書を作成するというものであった。個別に個室において行われ5名の者が同席するが,受講者に対し,直接に指導するのは教授及び課長の2名であって,他の指導主事2名は司会又は記録を担当していたにとどまり,また,指導も,項目ごとに教授又は課長のいずれかと受講者とが1対1の関係で行われ,報告書作成時には,教授,課長及び学校長は退室して,研修運営を担当する指導主事2名が同席していたにすぎない。■そして,受講者が,教授や課長の質問に対し回答することを拒んだ場合でも,執拗に回答を強要されることなく研修が終えられ■,また,報告書を短時間で作成したため,予定時間よりも早く研修が終了している(甲11~14)。
以上のような平成16年度専門研修の内容等に鑑みると,これとほぽ同様の内容等で実施されると考えられる本件専門研修が,前述したように申立人らの内心の自由に踏み込み,著しい精神的苦痛を与えるようなものになるとは解されない。
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○そして今回の、根津さんの「報告」には、次のような文言がありました。
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*「3回答えました。わかると答えるまで、その回答を強要するのですか。認識については答えられません」と、私。
*「確認を重ねていくのが研修の仕方です」とのたまいました。「要求した答えをするまで追及するぞ」と同じ響きを持って聞こえました。
*都教委の望む答えをするまで重ねて聞くというこの「研修」は懲罰研修であり、転向を迫る以外の何物でもありません。「研修」に出席させられての実感です。
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これは明らかに、裁判所が却下した理由(■~■の部分)を、現実に実行してしまっているのではないでしょうか。裁判所が「やってはいけない」としていることが行われてしまっています。
今後、根津さん自身が、本訴の中で証言していく、ないし、根津さんの受講態度が都教委にはお気に召さなかったようなので、それこそ都教委から追加研修(処分)を科せられかねませんが、その時こそこの判決文を引用して、都教委の「命令研修」が、違憲・違法のものであることを、明確にして、「廃止」に追い込んでいくことが出来そうな気がします。
それとも、三代川判決文は、ただのリップサービスに過ぎないのでしょうか。その見極めも、この研修の実態により明らかになるでしょう。
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