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東京都の元「藤田先生を応援する会」有志によるブログ(2004年11月~2022年6月)のアーカイブ+αです。

教育現場に国際レベルの人権適用を求めた国連勧告

2014年12月26日 | 人権
  =1220学習会資料=
  君が代裁判を闘うNGOからのレポートに国連が応えた
 ◆ 国連勧告パラグラフ22


 <国連自由権規約委員会 第6回日本審査『総括所見』パラグラフ22 (2014/7/24)>
 「公共の福祉」を理由とした基本的自由の制約

 22 本委員会は、「公共の福祉」の概念は、曖昧で、制限がなく、規約の下で許容されている制約を超える制約を許容するかもしれないという懸念を改めて表明する。(2条、18条、19条)
   委員会は、以前の最終所見(CCPR/C/JPN/CO/5、パラ10)を想起し、規約18条・19条のそれぞれ第3項に規定された厳しい条件を満たさない限り、締約国が、思想・良心・宗教の自由や表現の自由の権利に対していかなる制約を課すことをも差し控えるように強く要請する
 Restriction of fundamental freedoms on grounds of "public welfare"
 22. The Committee reiterates its concern that the concept of "public welfare" is vague and open-ended and may permit restrictions exceeding those permissible under the Covenant (arts. 2, 18 and 19).
   The Committee recalls its previous concluding observations (CCPR/C/JPN/CO/5, para. 10) and urges the State party to refrain from imposing any restriction on the rights to freedom of thought, conscience and religion or freedom of expression unless they fulfil the strict conditions set out in paragraph 3 of articles 18 and 19. 
 1,国連に訴えてきた簡単ないきさつ

 ○ 2008年10月 CCPR、第5回日本審査『総括所見』発表
   「公共の福祉」概念の使い方に3回目の懸念表明。
 ○ 2011年7月 板橋高校卒業式事件最高裁上告棄却。
   「憲法21条1項も、表現の自由を絶対無制限に保障したものではなく、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限を是認するものであって、たとえ思想を外部に発表する手段であっても、その手段が他人の権利を不当に害するようなものは許されないと言うべきである。」(立川ビラ入れ、葛飾ビラ入れ最高裁判決文も全く同一文言)
 ○ 2012年4月 日本政府第6回審査『報告書』提出。
   公共の福祉の判例として「板橋高校卒業式事件」引用。
 ○ 2013年7月 板橋の会が『カウンターレポート』を提出。
           すすめる会も『カウンターレポート』を提出。
 ○ 2013年10月 CCPR事前審査。2つの会も参加。
 ○ 2013年11月 CCPRが、『List of Issues』を発表。
   「問17 委員会の前回最終勧告に照らし、「公共の福祉」の概念を定義し、・・・立法をとることを予定しているか否か、明らかにしていただきたい。教員及び学校職員が、学校行事の際、国歌の起立斉唱を拒んだために、減給、停職及び解雇を含む制裁の対象となってきたという報告に関してコメントを願いたい。」
 ○ 2014年2月 日本政府が、『List of Issuesの回答』提出
   主旨は、人権と言えども絶対無制約ではなく公共の福祉の制約を受ける。君が代裁判では2011年最高裁判決(再雇用拒否1次)で、人権制約が許容されている。
 ○ 2014年6月 2つの会が、『追加レポート』提出
 ○ 2014年7月 CCPR本審査。2つの会も参加。
 ○ 2014年7月 CCPR、第6回日本審査『総括所見』発表


 2,この勧告の大事な意味

 (1)「公共の福祉」概念は、国際基準に合致しないから、人権制約に用いてはならない。
  これまで何度も懸念を表明してきて、今回も締約国から説明があったが、結論はハッキリしてきた。どうやら「公共の福祉」概念は、規約の「人権制約許容条件」(18条・19条の各々3項)に当てはまらない。
 (2)締約国として、特に「思想・良心・宗教の自由」と「表現の自由」に対する人権制約は直ちに差し控えるべきだ。
  NGOから18条(思想・良心・宗教の自由)と19条(表現の自由)について出されたレポートを検討してみると、各々第3項の「厳しい条件」に照らした形跡はないし、おそらく条件を満たしていないであろう。
◎ 最高裁判決は、国際基準を満たしていない、と判定されたに等しい。

 3,締約国の義務として、直ちに履行すべきこと

 (1)都教委は、国際基準を満たさない「通達」「命令」「処分」を廃止せよ。
  規約18条3項の条件を満たさない「思想・良心・宗教の自由」に対するいかなる制約も控えよと勧告されている。
 東京都の「10・23通達」に基づく「職務命令」「懲戒処分」「再発防止研修」は、規約18条3項のいずれの条件にも該当せず不当な人権侵害であるから、ただちに中止・撤回すべきである。
 (2)文科省は、勧告を都道府県教委に研修などを通して周知すると同時に、人権制約を止める指導を行うこと。
  法的拘束力のある自由権規約を遵守すると同時に、国際機関からの勧告は確実に履行することこそ、真に「国際社会で尊敬され、信頼される日本人として成長していくため」に何よりも大切なことである。
  日本政府の回答が受け入れられなかったことを謙虚に受けとめ、国際人権を普及推進すべき責任官庁として、国際基準を満たさない人権制約行為を点検し、あれば速やかに是正措置を執り、国際理解教育及び人権教育の模範を率先して示すべきである。
 (3)裁判所は、条約を裁判規範として用い、審査基準の国際標準化を行え
  「日の君裁判」における「思想・良心・宗教の自由」侵害審査に当たっては、国際人権基準である規約18条3項に照らして「厳格な審査」を行え
 ● 自由権規約第18条(思想・良心・宗教の自由)
 1 すべての者は、思想、良心及び宗教の自由についての権利を有する。この権利には、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由並びに、単独で又は他の者と共同して及び公に又は私的に、礼拝、儀式、行事及び教導によって、その宗教又は信念を表明する自由を含む。
 2 何人も、自ら選択する宗教又は信念を受け入れ又は有する自由を侵害するおそれのある強制を受けない。
 3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
 4 この規約の締結国は、父母及び場合により法定保護者が、自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
 ● 自由権規約第19条(意見及び表現の自由)
 1 すべての者は、干渉されることなく意見を持つ権利を有する。
 2 すべての者は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
 3 2の権利の行使には、特別の義務及び責任を伴う。従って、この権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
    (a)他の者の権利又は信用の尊重
    (b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
(3次原告 花輪紅一郎)


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