◆ 「君が代」裁判全面勝訴
都教委の不当処分に6連勝
都立学校の入学式や卒業式で「君が代」を起立して歌わなかったとして、処分されだり退職後の再雇用を拒否された教員らが、違憲・違法として都教育委員会を訴えた2つの裁判(5月)で、いずれも原告が全面勝訴しました。
2013年12月以来、都教委がかかわった事件の訴訟は都教委が6連敗し、都の教湾行政の”異常さ”が際立つことになりました(表参照)。
裁判闘争によってつくりだされた新しい流れが今後、注目されます。
◆ 逆転で処分取消し
教員らが勝訴した裁判の一つは5月28日の東京高裁判決。1審判決を変更しての逆転勝訴判決です。
07年の卒業式で都立養護学校の教員(当時)と、市立中学校の教員(当時)が訴えた裁判。「君が代」斉唱時に起立しなかったとして、それぞれ停職3カ月、6カ月の処分を受けました。2人は違憲、違法として処分の取消と損害賠償を求めていたものです。1審は養護学校教員の停職3カ月の処分取り消しを認めましたが、中学教員の停職6カ月処分は適法としました。
今回の判決は、都教委の処分が「裁無権の逸脱・濫用」であり、「違法」として2人の処分を取り消し、精神的苦痛に対する慰謝料各10万円の支払いを命じています。
最大の注目点は、都教委が不起立を繰り返すたびに処分し、戒告→減給→停職というように重くなっていく「累積加重処分」をはっきりと否定したことです。
判決は「君が代」斉唱について、国旗国歌法制定の国会審議の政府答弁などをていねいに引用。憲法が保障する思想・良心の自由との関係で微妙な問題を含むもので、「間接的な制約がある」と指摘。処分する場合には総合的、慎重に考え、適切に判断すぺきと強調。
その上で、不起立を繰り返すたびに処分を機械的に加重していくと免職か思想・信条を捨てるか、の選択に迫られことになり、憲法が保障する思想・良心の自由への「実質的な侵害につながる」と指摘しています。
◆ 再雇用拒否は違法
もう一つの勝訴判決は5月25日に出た東京地裁の判決です。
07~09年度に、「君が代」斉唱時の不起立を理由に再雇用を拒否された元都立高校教員22人が訴えたもの。都教委の処分は違法として、それぞれ211~260万円の損害賠償を命じました(全額5370万円と遅延損害金)。
判決は、再雇用が教職員の90~95%以上も採用されている実態をあげ、教職員には再雇用を期待する権利(期待権)があり「法的保護に殖する」ものとしました。
そして都教委が「不起立」のみをもって再雇用しなかったことは、教職員の期待権を「大きく侵害」するもので違法と判断。
「不起立」処分は憲法で保障れた思想・信条の自由の「間接的な制約」となり再雇用を拒否する根拠にはならないと断じました。
都教委は「判決は大変遺憾」(中井敬三教育長)などと言い、控訴しました。
◆ 新しい流れつくる
東京「君が代」裁判原告団事務局長の近藤徹さんは、都教委が6連敗した情勢の変化を次のよう言っています。
「生徒のために自由な教育活動をすすめるのではなく、処分で学校現場を型萎縮させてきたこれまでの都教委の教育行政が、司法の常識から見てもあまりにもひどすぎるということなのです。「君が代」を強制する10・23通達以来12年間、苦しみを続けてきた学校現場の教職員を大きく励ますものであり、新しい流れです。今後のたたかいに大きな影響を与えるでしょう」
『東京民報』(2015/6/14)
都教委の不当処分に6連勝
都立学校の入学式や卒業式で「君が代」を起立して歌わなかったとして、処分されだり退職後の再雇用を拒否された教員らが、違憲・違法として都教育委員会を訴えた2つの裁判(5月)で、いずれも原告が全面勝訴しました。
2013年12月以来、都教委がかかわった事件の訴訟は都教委が6連敗し、都の教湾行政の”異常さ”が際立つことになりました(表参照)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/c5/900f5de5d691a6641a0fdc08d4d2c38a.jpg)
◆ 逆転で処分取消し
教員らが勝訴した裁判の一つは5月28日の東京高裁判決。1審判決を変更しての逆転勝訴判決です。
07年の卒業式で都立養護学校の教員(当時)と、市立中学校の教員(当時)が訴えた裁判。「君が代」斉唱時に起立しなかったとして、それぞれ停職3カ月、6カ月の処分を受けました。2人は違憲、違法として処分の取消と損害賠償を求めていたものです。1審は養護学校教員の停職3カ月の処分取り消しを認めましたが、中学教員の停職6カ月処分は適法としました。
今回の判決は、都教委の処分が「裁無権の逸脱・濫用」であり、「違法」として2人の処分を取り消し、精神的苦痛に対する慰謝料各10万円の支払いを命じています。
最大の注目点は、都教委が不起立を繰り返すたびに処分し、戒告→減給→停職というように重くなっていく「累積加重処分」をはっきりと否定したことです。
判決は「君が代」斉唱について、国旗国歌法制定の国会審議の政府答弁などをていねいに引用。憲法が保障する思想・良心の自由との関係で微妙な問題を含むもので、「間接的な制約がある」と指摘。処分する場合には総合的、慎重に考え、適切に判断すぺきと強調。
その上で、不起立を繰り返すたびに処分を機械的に加重していくと免職か思想・信条を捨てるか、の選択に迫られことになり、憲法が保障する思想・良心の自由への「実質的な侵害につながる」と指摘しています。
◆ 再雇用拒否は違法
もう一つの勝訴判決は5月25日に出た東京地裁の判決です。
07~09年度に、「君が代」斉唱時の不起立を理由に再雇用を拒否された元都立高校教員22人が訴えたもの。都教委の処分は違法として、それぞれ211~260万円の損害賠償を命じました(全額5370万円と遅延損害金)。
判決は、再雇用が教職員の90~95%以上も採用されている実態をあげ、教職員には再雇用を期待する権利(期待権)があり「法的保護に殖する」ものとしました。
そして都教委が「不起立」のみをもって再雇用しなかったことは、教職員の期待権を「大きく侵害」するもので違法と判断。
「不起立」処分は憲法で保障れた思想・信条の自由の「間接的な制約」となり再雇用を拒否する根拠にはならないと断じました。
都教委は「判決は大変遺憾」(中井敬三教育長)などと言い、控訴しました。
◆ 新しい流れつくる
東京「君が代」裁判原告団事務局長の近藤徹さんは、都教委が6連敗した情勢の変化を次のよう言っています。
「生徒のために自由な教育活動をすすめるのではなく、処分で学校現場を型萎縮させてきたこれまでの都教委の教育行政が、司法の常識から見てもあまりにもひどすぎるということなのです。「君が代」を強制する10・23通達以来12年間、苦しみを続けてきた学校現場の教職員を大きく励ますものであり、新しい流れです。今後のたたかいに大きな影響を与えるでしょう」
『東京民報』(2015/6/14)
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