《Peace Philosophy Centre》から
「主権回復の日」式典、反対したのは沖縄だけではない
:国会議員は半数以下、都道府県知事も半数近くが出席せず。
★ 「予定外」の時代錯誤的「万歳」。
主権回復61年で式典<ロイター>
記録のために記しておこう。
ほとんどの報道では、4月28日の政府による「主権回復」式典の写真は、檀上に座る天皇夫妻の横でスピーチを読み上げる安倍首相のものが多いが、29日朝刊の「琉球新報」の第一面には、二人を前にしほぼ満場が「万歳」の姿勢をしている写真が掲載されていた。
この「万歳」の行為はほとんど報道されていないが、最初に知ったのは海外報道、トムトン・ロイターズによる記事だった。Stanley White 記者はこう書いている。
"Giving added weight to the ceremony was the presence of Emperor Akihito, 79, and Empress Michiko. Participants, mostly men in dark suits, threw their hands up into the air and cried “banzai!” or long life, to send the royal couple off."
訳:「式典により重みを加えたものは天皇明仁(79歳)と皇后美智子であった。ダークスーツに身を包んだほとんどが男性である参加者たちは、空中に両手を挙げ「バンザイ!」(長命を)と叫び、ロイヤル・カップルを見送った。」
日本政府の式典ではいまだにこんなことをやっているのかと驚いた。
そうしたら日本経済新聞の29日記事「政府式典で予定外の『陛下万歳』唱和 公明代表が苦言」を読んで、ああこれは予定外だったのか、と知った。
この記事では、「政府の主権回復式典が終了して天皇、皇后両陛下が退席される際、出席者が『天皇陛下万歳』と発声し、国会議員や政府関係者が予定外の唱和をする場面があった。公明党の山口那津男代表は式典後、党本部で記者団に『憲法に国民主権がはっきりと規定されている中で日本の独立が認められた日だ。その意義を十分に踏まえた行動だったか問われる』と疑問を呈した。」とある。
この「万歳」シーンの写真は冒頭にも書いたように琉球新報の紙面で見ただけであったが、ネット上に同様のものがあったのでここに置いておく。(上)
しかしこの安倍首相(左端)の嬉しそうな「万歳」ポーズの完璧さと会場のほとんどの同調を見たらこれは予定外とはとても思えない。最初から誰かが言いだすことが計画されていたのではないかと疑ってしまう。
しかしこのシーンが新憲法下における日本の占領解除を記念する儀式かと思うと首を傾げざるを得ない。公明党山口代表の懸念はまっとうなものである。案の定、安倍首相はその演説(全文がここにある)において日本国憲法の三本の柱のうちの、主権在民(天皇でも国家でもなく)と戦争放棄については全く触れていない。人権への言及も十分とは言えない。
戦争への反省も全くない。まるである日、日本にエイリアンのような侵略があって7年間不当な占領を受けた挙句やっと解放されたと言わんばかりの演説であった。そもそもどうして占領される事態を招いたかとの責任感覚もゼロである。
上の写真を見ると正直言って戦前への逆戻りの場面にしか見えない。いや、安倍首相が目指すのはまさしくそれなのだから、彼の思い通りの式典が行えたということなのだろう。
しかしこれは国民に支持されていたものなのか。サンフランシスコ平和条約で切り捨てられた沖縄の反対(沖縄タイムスの世論調査では7割が式典に反対)は無論であるが、日本本土の支持を得ていたかも甚だ疑問が残る。
私は報道されている式典の参加人数や沖縄の新聞で報道された都道府県知事の参加状況などから単純計算をして以下のようにツイートしたら4年間やってきた中で最大のリツイート数を受けて驚いたのでここにもコピーしておく。
(ここから)
主権回復式典約390人が出席したという。都道府県は全部知事や代理を出しているのでそれを引くと約340人。国会議員は700人以上いることを鑑みると国会議員の半数以上はボイコットしているということである。要するに、これは国を真っ二つに切り裂いた政治的イベントであったということだ。
そんなことメディアは全く言わない。日本本土のメディアはほとんどが沖縄県知事の欠席と副知事の代理出席を報じているが、知事を出した都道府県が26しかなかったことに触れていない。反対しているのは沖縄だけのような印象を与え、この問題をまた「沖縄問題」として演出している。
国会議員は半数以上がボイコットし都道府県も半数近くが知事を出さないことで対応した「主権回復の日」。安倍政権はこの式典をやることで却って「主権回復の日」は国民的合意でもなんでもないことを証明してしまったのだ。これは沖縄問題だけじゃなくて全国の問題なんだという明確な意思表示があったのだ。
(ここまで。@PeacePhilosophy のツイートより)
沖縄への「配慮」とされた首相の言葉についてはこうツイートした。
※主権回復式典 首相「希望と決意の日に」 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130428/k10014246501000.html
安倍「日本に主権が戻ってきた日に、奄美、小笠原、沖縄の施政権は日本から切り離れた。沖縄の人々が耐え忍ばざるをえなかった戦中、戦後の苦労に対し、通り一遍のことばは意味をなさない。若い世代の人々に特に呼びかけつつ、沖縄が経てきた辛苦に、深く思いを寄せる努力をすべきだと訴えようと思う」
「切り離れた」「耐え忍ばざるをえなかった」「経てきた辛苦」-主体が欠如した表現の連続に絶句する。一体誰の責任だったのか。誰が切り離したのか。誰が辛苦を強いたのか。自分たちではないか。私たち日本ではないか。この責任認識の完全欠如に、この式典の最大の暴力性が表れている。
@PeacePhilosophy
※参考資料:照屋寛徳衆議院議員が3月26日に提出した
「いわゆる4.28「主権回復の日」政府式典に関する質問主意書」質問と答弁
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a183039.htm
※追記:琉球新報4月29日26面の記事「響く『天皇陛下、万歳』」によると
(引用開始)
・・・厳かな雰囲気に包まれた式典が終わり、天皇皇后両陛下が退席しようとする中、突然、不規則発言が響いた。
「天皇陛下、万歳!」
一人の出席者が大声を上げると、臨席した国会議員らの約3分の1が一斉に「万歳」と続き、式次第になかった万歳三唱が会場にこだました。
(引用終わり)
とのことである。
『Peace Philosophy Centre』(Monday, April 29, 2013)
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/04/blog-post_29.html
※動画『「主権回復の日」で政府式典、万歳三唱も』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=WtcWy2xvWkU
「主権回復の日」式典、反対したのは沖縄だけではない
:国会議員は半数以下、都道府県知事も半数近くが出席せず。
★ 「予定外」の時代錯誤的「万歳」。
主権回復61年で式典<ロイター>
記録のために記しておこう。
ほとんどの報道では、4月28日の政府による「主権回復」式典の写真は、檀上に座る天皇夫妻の横でスピーチを読み上げる安倍首相のものが多いが、29日朝刊の「琉球新報」の第一面には、二人を前にしほぼ満場が「万歳」の姿勢をしている写真が掲載されていた。
この「万歳」の行為はほとんど報道されていないが、最初に知ったのは海外報道、トムトン・ロイターズによる記事だった。Stanley White 記者はこう書いている。
"Giving added weight to the ceremony was the presence of Emperor Akihito, 79, and Empress Michiko. Participants, mostly men in dark suits, threw their hands up into the air and cried “banzai!” or long life, to send the royal couple off."
訳:「式典により重みを加えたものは天皇明仁(79歳)と皇后美智子であった。ダークスーツに身を包んだほとんどが男性である参加者たちは、空中に両手を挙げ「バンザイ!」(長命を)と叫び、ロイヤル・カップルを見送った。」
日本政府の式典ではいまだにこんなことをやっているのかと驚いた。
そうしたら日本経済新聞の29日記事「政府式典で予定外の『陛下万歳』唱和 公明代表が苦言」を読んで、ああこれは予定外だったのか、と知った。
この記事では、「政府の主権回復式典が終了して天皇、皇后両陛下が退席される際、出席者が『天皇陛下万歳』と発声し、国会議員や政府関係者が予定外の唱和をする場面があった。公明党の山口那津男代表は式典後、党本部で記者団に『憲法に国民主権がはっきりと規定されている中で日本の独立が認められた日だ。その意義を十分に踏まえた行動だったか問われる』と疑問を呈した。」とある。
この「万歳」シーンの写真は冒頭にも書いたように琉球新報の紙面で見ただけであったが、ネット上に同様のものがあったのでここに置いておく。(上)
しかしこの安倍首相(左端)の嬉しそうな「万歳」ポーズの完璧さと会場のほとんどの同調を見たらこれは予定外とはとても思えない。最初から誰かが言いだすことが計画されていたのではないかと疑ってしまう。
しかしこのシーンが新憲法下における日本の占領解除を記念する儀式かと思うと首を傾げざるを得ない。公明党山口代表の懸念はまっとうなものである。案の定、安倍首相はその演説(全文がここにある)において日本国憲法の三本の柱のうちの、主権在民(天皇でも国家でもなく)と戦争放棄については全く触れていない。人権への言及も十分とは言えない。
戦争への反省も全くない。まるである日、日本にエイリアンのような侵略があって7年間不当な占領を受けた挙句やっと解放されたと言わんばかりの演説であった。そもそもどうして占領される事態を招いたかとの責任感覚もゼロである。
上の写真を見ると正直言って戦前への逆戻りの場面にしか見えない。いや、安倍首相が目指すのはまさしくそれなのだから、彼の思い通りの式典が行えたということなのだろう。
しかしこれは国民に支持されていたものなのか。サンフランシスコ平和条約で切り捨てられた沖縄の反対(沖縄タイムスの世論調査では7割が式典に反対)は無論であるが、日本本土の支持を得ていたかも甚だ疑問が残る。
私は報道されている式典の参加人数や沖縄の新聞で報道された都道府県知事の参加状況などから単純計算をして以下のようにツイートしたら4年間やってきた中で最大のリツイート数を受けて驚いたのでここにもコピーしておく。
(ここから)
主権回復式典約390人が出席したという。都道府県は全部知事や代理を出しているのでそれを引くと約340人。国会議員は700人以上いることを鑑みると国会議員の半数以上はボイコットしているということである。要するに、これは国を真っ二つに切り裂いた政治的イベントであったということだ。
そんなことメディアは全く言わない。日本本土のメディアはほとんどが沖縄県知事の欠席と副知事の代理出席を報じているが、知事を出した都道府県が26しかなかったことに触れていない。反対しているのは沖縄だけのような印象を与え、この問題をまた「沖縄問題」として演出している。
国会議員は半数以上がボイコットし都道府県も半数近くが知事を出さないことで対応した「主権回復の日」。安倍政権はこの式典をやることで却って「主権回復の日」は国民的合意でもなんでもないことを証明してしまったのだ。これは沖縄問題だけじゃなくて全国の問題なんだという明確な意思表示があったのだ。
(ここまで。@PeacePhilosophy のツイートより)
沖縄への「配慮」とされた首相の言葉についてはこうツイートした。
※主権回復式典 首相「希望と決意の日に」 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130428/k10014246501000.html
安倍「日本に主権が戻ってきた日に、奄美、小笠原、沖縄の施政権は日本から切り離れた。沖縄の人々が耐え忍ばざるをえなかった戦中、戦後の苦労に対し、通り一遍のことばは意味をなさない。若い世代の人々に特に呼びかけつつ、沖縄が経てきた辛苦に、深く思いを寄せる努力をすべきだと訴えようと思う」
「切り離れた」「耐え忍ばざるをえなかった」「経てきた辛苦」-主体が欠如した表現の連続に絶句する。一体誰の責任だったのか。誰が切り離したのか。誰が辛苦を強いたのか。自分たちではないか。私たち日本ではないか。この責任認識の完全欠如に、この式典の最大の暴力性が表れている。
@PeacePhilosophy
※参考資料:照屋寛徳衆議院議員が3月26日に提出した
「いわゆる4.28「主権回復の日」政府式典に関する質問主意書」質問と答弁
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a183039.htm
※追記:琉球新報4月29日26面の記事「響く『天皇陛下、万歳』」によると
(引用開始)
・・・厳かな雰囲気に包まれた式典が終わり、天皇皇后両陛下が退席しようとする中、突然、不規則発言が響いた。
「天皇陛下、万歳!」
一人の出席者が大声を上げると、臨席した国会議員らの約3分の1が一斉に「万歳」と続き、式次第になかった万歳三唱が会場にこだました。
(引用終わり)
とのことである。
『Peace Philosophy Centre』(Monday, April 29, 2013)
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/04/blog-post_29.html
※動画『「主権回復の日」で政府式典、万歳三唱も』
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=WtcWy2xvWkU
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