◆ 13日の都庁前チラシ配りと定例会傍聴の報告です
河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会の根津公子です。
遅くなってしまった報告ですが、いくつかのMLにお送りします。
6月13日に行いました、当会恒例の都庁前チラシ配りと都教育委員会定例会の傍聴の記です。
長い報告ですが、ご容赦ください。
8時から出勤する都庁職員にチラシを配りました。今回は撒き手が7人と少なかったので、400枚ほどしか渡せませんでした。
チラシの内容は表面が「都教委は、「君が代」不起立教員に対する半年にも及ぶ「服務事故再発防止研修」を直ちに止めよ!―「君が代」不起立は都教委による教育破壊への抵抗です―」、
裏面が教育委員会定例会の傍聴報告「①条件附採用教員の実質首切りに思う」と「②体罰調査報告についての委員の発言」について。
再発防止研修について。
卒業式、入学式ともに不起立をした田中さん(板橋特別支援学校)について都教委は、最高裁判決が原則禁止したはずの「戒告を超えるより重い処分」である減給1ヶ月処分に乗り出しただけでなく、再発防止研修も4月5日の都教職員研修センターへ呼び出しての研修に始まり、9月17日に予定している同研修センターでのそれまでの間に、都教委(人事部管理主事、指導部、支所、研修センター)が学校を訪問して4回(6/10,7/9,8/5,8/30)、校長によって12回の再発防止研修を予定しています。
半年間・18回に及ぶ再発防止研修は、研修に名を借りたすさまじい思想転向の強要であり、しかも、それにとどまらず、それでも屈しなければ(=不起立を続ければ)「反省がない」から「(都教委の)秩序維持ができない」「不起立前後の態度が悪い」として減給1ヶ月「を超えるより重い処分」や分限免職の材料とする危険性が十分予測されます。
今春、田中さんに不起立4回で減給1ヶ月処分を出したことを見れば、その先も予測できるので、重い処分を出させないよう皆さん声をあげていただきたいと思います。
②は、竹花教育委員が「(部活動での)死ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今ぐらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範疇だ」(趣旨)と発言したこと、さらにこの発言に頷く委員はいたけれど、反論する委員が一人もいなかったことについてです。
これでは体罰もいじめも再生産され続けると思います。
さて、10時からは定例会を当会は3名で傍聴しました。3つの報告のうちの2つについて報告します。
①「平成25年度アスリートの学校派遣事業~夢と未来を結ぶ『一日校長先生』~の実施について」
②「規範意識の育成(『生活指導統一基準』)について」
①について。
「東京都教育委員会は、子供の体力低下、学習指導要領改訂、スポーツ祭東京2013及び平成26年度インターハイの開催、2020年オリンピック・パラリンピック招致等の状況を踏まえ、スポーツ教育を推進している。スポーツ教育のより一層の推進と、2020年オリンピック・パラリンピックの招致機運の高揚を目指し、…実施する」というものです。
都教委が選定したマネジメント会社一社にすべての企画運営を任せ、今年度は各地教委から上がった小中62校で実施し、費用は4500万円に上る。平成22年度から始め、5年間で100校が実施ということでした。
「(実施して)いじめられた子が元気になれるかも」(内館委員)の発言には唐突感しかありませんでしたが、
「結果が出ていない選手を採用したり、ここにあがっていない種目の選手を入れることも考えてほしい。入札も考えていいのではないか」(山口委員)や
「スポーツが得意な先生ばかりではない。有名なアスリートが来るのだから事前授業がなされるといい。事前授業の資料を都教委の方で用意したら、現場の先生は助かるのではないか。細かく出し過ぎると足かせになるが。」(乙武委員)の発言には、教育の現場に立脚していることが感じられ、共感できるものがありました。
しかし、国体開催やオリンピック誘致を宣伝し浸透させるために学校教育=子どもたちを使うことについての議論が全くありませんでした。
オリンピック誘致については人びとの間で議論のあるところなのに、それを無視して学校教育に持ち込むことは政治の介入ではないか、そのことに関する発言が教育委員からまったく上がらなかったのはなぜと感じました。
②について
都立高校生の規範意識が低下し、生徒の素行に関する苦情が増加している(自転車の2人乗り、喫煙、電車のマナー違反など 平成19年度27件→平成24年度76件)。
教育庁指導部はこの状況を改善するために
ア.都立高校が毅然とした生活指導を組織的に行うこと(組織的に、が大事と念を押す)
イ.生徒の「規範意識」や「公共の精神」等の育成
ウ.指導にかかわる校内規定に、法令に基づいた対応(懲戒処分)を加えること、が必要と考え、
都教委として昨年度、A「身につけさせる規律・規範作りと各校への明示」に取り組んだ。今年度はB「懲戒処分を含む『特別指導の指針』の策定」に取り組む。
また、先行実施として今年度は18校がAの設定と指導を行う。来年度は校数を拡大し、Bに取り組む。27年度から全校で実施するとのことでした。懲戒処分には、停学や退学が含まれます。
「先生は教科指導だけしていればいいのか。生活指導はすべての先生たちの仕事であることを発信していってほしい。先生が一番問題なのだ。先生がよくなれば、子どもがよくなる」(竹花委員)
「生活指導が苦手な教員が高校の教員に多いのは現実。大人の規範意識を生徒に押し付けることにならないように。外部指導者を利用しながら、という方法も考えてほしい。」(山口委員)
「子どもに責任を取らせ、その上で指導するのはよい。しかし、責任を取らせ退学となると指導が途切れ、結果的に指導放棄になる。放り出して終わりではなく、退学後も指導していくのが大事では。」(乙武委員)
指導部は委員の意見を踏まえ対処していくと答弁しました。
大学で教員志望の学生を教えている山口氏、教員経験のある乙武氏、両委員の発言には、“大人の規範意識を押し付けることになりはしないか、「退学後の指導」が見えにくい”との取り組みに対する懸念が感じられたのですが、この件も報告は通過しました。
委員の皆さんは、発言はするが、そこまで、とことん突き詰めません。突き詰める前に納得されるのだろうか。そんな疑問を感じている間に、報告は承認されました。
1970年代後半からの「荒れ」の中で、厳罰主義が効果をあげないという教訓から懲戒処分をしない方向に進んできた経過があったはずですが、それは忘れ去られたかのようでした。
将来に対する不安の中にいる生徒たちに、不安にふたをするのではなく、不安の元となっている政治・社会問題に切り込み、視野を広げ、そこに生きる一人の人間として知り考えることを促す授業等の取り組みをすることこそが、自分を見つめる機会となり、結果的に「生徒の素行」をよくする道なのではないか。そう私は考えるのですが…。
河原井さん根津さんらの「君が代」解雇をさせない会の根津公子です。
遅くなってしまった報告ですが、いくつかのMLにお送りします。
6月13日に行いました、当会恒例の都庁前チラシ配りと都教育委員会定例会の傍聴の記です。
長い報告ですが、ご容赦ください。
8時から出勤する都庁職員にチラシを配りました。今回は撒き手が7人と少なかったので、400枚ほどしか渡せませんでした。
チラシの内容は表面が「都教委は、「君が代」不起立教員に対する半年にも及ぶ「服務事故再発防止研修」を直ちに止めよ!―「君が代」不起立は都教委による教育破壊への抵抗です―」、
裏面が教育委員会定例会の傍聴報告「①条件附採用教員の実質首切りに思う」と「②体罰調査報告についての委員の発言」について。
再発防止研修について。
卒業式、入学式ともに不起立をした田中さん(板橋特別支援学校)について都教委は、最高裁判決が原則禁止したはずの「戒告を超えるより重い処分」である減給1ヶ月処分に乗り出しただけでなく、再発防止研修も4月5日の都教職員研修センターへ呼び出しての研修に始まり、9月17日に予定している同研修センターでのそれまでの間に、都教委(人事部管理主事、指導部、支所、研修センター)が学校を訪問して4回(6/10,7/9,8/5,8/30)、校長によって12回の再発防止研修を予定しています。
半年間・18回に及ぶ再発防止研修は、研修に名を借りたすさまじい思想転向の強要であり、しかも、それにとどまらず、それでも屈しなければ(=不起立を続ければ)「反省がない」から「(都教委の)秩序維持ができない」「不起立前後の態度が悪い」として減給1ヶ月「を超えるより重い処分」や分限免職の材料とする危険性が十分予測されます。
今春、田中さんに不起立4回で減給1ヶ月処分を出したことを見れば、その先も予測できるので、重い処分を出させないよう皆さん声をあげていただきたいと思います。
②は、竹花教育委員が「(部活動での)死ね、殺す、出て行け、という強い発言、…今ぐらいのことは精査しなくていい。こんなのは指導の範疇だ」(趣旨)と発言したこと、さらにこの発言に頷く委員はいたけれど、反論する委員が一人もいなかったことについてです。
これでは体罰もいじめも再生産され続けると思います。
さて、10時からは定例会を当会は3名で傍聴しました。3つの報告のうちの2つについて報告します。
①「平成25年度アスリートの学校派遣事業~夢と未来を結ぶ『一日校長先生』~の実施について」
②「規範意識の育成(『生活指導統一基準』)について」
①について。
「東京都教育委員会は、子供の体力低下、学習指導要領改訂、スポーツ祭東京2013及び平成26年度インターハイの開催、2020年オリンピック・パラリンピック招致等の状況を踏まえ、スポーツ教育を推進している。スポーツ教育のより一層の推進と、2020年オリンピック・パラリンピックの招致機運の高揚を目指し、…実施する」というものです。
都教委が選定したマネジメント会社一社にすべての企画運営を任せ、今年度は各地教委から上がった小中62校で実施し、費用は4500万円に上る。平成22年度から始め、5年間で100校が実施ということでした。
「(実施して)いじめられた子が元気になれるかも」(内館委員)の発言には唐突感しかありませんでしたが、
「結果が出ていない選手を採用したり、ここにあがっていない種目の選手を入れることも考えてほしい。入札も考えていいのではないか」(山口委員)や
「スポーツが得意な先生ばかりではない。有名なアスリートが来るのだから事前授業がなされるといい。事前授業の資料を都教委の方で用意したら、現場の先生は助かるのではないか。細かく出し過ぎると足かせになるが。」(乙武委員)の発言には、教育の現場に立脚していることが感じられ、共感できるものがありました。
しかし、国体開催やオリンピック誘致を宣伝し浸透させるために学校教育=子どもたちを使うことについての議論が全くありませんでした。
オリンピック誘致については人びとの間で議論のあるところなのに、それを無視して学校教育に持ち込むことは政治の介入ではないか、そのことに関する発言が教育委員からまったく上がらなかったのはなぜと感じました。
②について
都立高校生の規範意識が低下し、生徒の素行に関する苦情が増加している(自転車の2人乗り、喫煙、電車のマナー違反など 平成19年度27件→平成24年度76件)。
教育庁指導部はこの状況を改善するために
ア.都立高校が毅然とした生活指導を組織的に行うこと(組織的に、が大事と念を押す)
イ.生徒の「規範意識」や「公共の精神」等の育成
ウ.指導にかかわる校内規定に、法令に基づいた対応(懲戒処分)を加えること、が必要と考え、
都教委として昨年度、A「身につけさせる規律・規範作りと各校への明示」に取り組んだ。今年度はB「懲戒処分を含む『特別指導の指針』の策定」に取り組む。
また、先行実施として今年度は18校がAの設定と指導を行う。来年度は校数を拡大し、Bに取り組む。27年度から全校で実施するとのことでした。懲戒処分には、停学や退学が含まれます。
「先生は教科指導だけしていればいいのか。生活指導はすべての先生たちの仕事であることを発信していってほしい。先生が一番問題なのだ。先生がよくなれば、子どもがよくなる」(竹花委員)
「生活指導が苦手な教員が高校の教員に多いのは現実。大人の規範意識を生徒に押し付けることにならないように。外部指導者を利用しながら、という方法も考えてほしい。」(山口委員)
「子どもに責任を取らせ、その上で指導するのはよい。しかし、責任を取らせ退学となると指導が途切れ、結果的に指導放棄になる。放り出して終わりではなく、退学後も指導していくのが大事では。」(乙武委員)
指導部は委員の意見を踏まえ対処していくと答弁しました。
大学で教員志望の学生を教えている山口氏、教員経験のある乙武氏、両委員の発言には、“大人の規範意識を押し付けることになりはしないか、「退学後の指導」が見えにくい”との取り組みに対する懸念が感じられたのですが、この件も報告は通過しました。
委員の皆さんは、発言はするが、そこまで、とことん突き詰めません。突き詰める前に納得されるのだろうか。そんな疑問を感じている間に、報告は承認されました。
1970年代後半からの「荒れ」の中で、厳罰主義が効果をあげないという教訓から懲戒処分をしない方向に進んできた経過があったはずですが、それは忘れ去られたかのようでした。
将来に対する不安の中にいる生徒たちに、不安にふたをするのではなく、不安の元となっている政治・社会問題に切り込み、視野を広げ、そこに生きる一人の人間として知り考えることを促す授業等の取り組みをすることこそが、自分を見つめる機会となり、結果的に「生徒の素行」をよくする道なのではないか。そう私は考えるのですが…。
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