東京都教育委員会教育長 中村正彦 殿
千代田区教育委員会教育長 若林尚夫 殿
東京都教育委員会による「教育への不当な支配」干渉の暴挙に、強く抗議する声明
東京都教育委員会は、8月30日、突然、千代田区立九段中の増田先生に「戒告」処分を発令し、さらに「来年3月31日まで」として教壇から強制的に引き離す「隔離研修」命令を出した。この処分及び研修命令は、次の二点において、違法、不当なものであり、とうてい認めることができない。
第一に「処分」の「理由」にはなり得ないものを、「処分理由」としている点である。
増田先生は社会科の授業で、古賀俊昭都議(自民党・日野)が文教委員会で「わが国の侵略戦争云々というのは、私はまったく当たらないと思います。じゃ、日本は一体いつどこをいつ侵略したのかという、どこをいつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたい」と発言した議事録を引用し、さらに扶桑社「つくる会」教科書とも「歴史偽造主義」と批判した。都教委は、これを以って「不適切な文言」に該当するというのである。しかし、小泉首相の8・15談話を待つまでもなく「我が国が侵略と植民地支配」を行って「アジア各国に多大な被害を与えた」ことは、我が国政府が内外に表明しているところであり、これを否定しようとする公的発言・教科書を批判するのは、社会科教員にとっては当然のことである。もし、増田先生の発言を処分の対象とするのであれば、全国の多くの社会科教師が処分されなければならないことになるだろう。
また都教委は、生徒達が書いた韓国ノ・ムヒョン大統領への手紙を、増田先生が、一括して大統領宛に出したことをもって個人情報漏洩に仕立てあげようともした。授業内容に対する、このような行政の直接介入は教育基本法十条の明らかな違反であり、教育活動の自由を否定するものである。
古賀都議は昨年十月都議会で、わざわざ増田先生を取り上げ「今でも教壇を去るどころか、退散すべき教壇にいまだに立ち続けている。都教委も、この教員に関心を持ち続けてもらいたい」と、露骨に学校現場からの排除を迫った。これを受けるように都教委は「戒告」処分に続いて、来年3月末までの都研修センターでの長期研修命令を発令したのであるが、これは正に、この処分の本質が、古賀都議と都教委、つまり政治家と教育行政が一体となって、教育に対する「不当な支配」を企んだことによる「現場外し=隔離研修」以外の何者でもないことを証明している。
第二に「処分手続き」においても適正手続きがとられていない点である。
地方公務員法上の処分である「戒告」は、これまでの慣行として教育委員会を開かずには出したことはない。にもかかわらず、今回は教育委員会を開かずに「事務当局」のみで決定するという極めて異例な方法をとった。しかも「内規上、教育委員会を開かずに決定できる」とプレス発表した。従来の慣行を一方的に破る暴挙である。これは、教員処分手続きを一般行政職と同一の扱いに簡略化し、今後、教員処分を乱発することをねらった新たな攻撃とも言うべきことであり、教員の身分の尊重を定めた教育基本法六条を蹂躙する不当な行為である。
しかも、現場の監督者である校長ですら「事故報告書」には「(教材が)妥当であるかどうかは問題とされる可能性がある」と記載するのみである。つまり校長は、増田先生が作成した教材の文言自体が問題行動である「事故」として、報告すべきか否かを疑問視しており、末尾の「すべて千代田区教委の指示を受けながら、対応を行っている」という記載に、千代田区教委の強力な指導がうかがえるのである。この事実は、所属長の申し出による「事故報告」の形状すら取れないまま処分発令したと疑念を抱かせるのであり、都教委・区教委が上から一方的に「処分」を強行したと考える。
このような暴挙をこのまま許すならば、今後教育行政による教育内容への介入がますます増えていき、教員への不当処分が安易になされることとなるだろう。
我々は、都教委が処分を撤回し、増田先生を即時現場復帰させることを強く要求する。
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
呼びかけ人:大内裕和、小森陽一、高橋哲哉、三宅晶子
千代田区教育委員会教育長 若林尚夫 殿
東京都教育委員会による「教育への不当な支配」干渉の暴挙に、強く抗議する声明
東京都教育委員会は、8月30日、突然、千代田区立九段中の増田先生に「戒告」処分を発令し、さらに「来年3月31日まで」として教壇から強制的に引き離す「隔離研修」命令を出した。この処分及び研修命令は、次の二点において、違法、不当なものであり、とうてい認めることができない。
第一に「処分」の「理由」にはなり得ないものを、「処分理由」としている点である。
増田先生は社会科の授業で、古賀俊昭都議(自民党・日野)が文教委員会で「わが国の侵略戦争云々というのは、私はまったく当たらないと思います。じゃ、日本は一体いつどこをいつ侵略したのかという、どこをいつ、どの国を侵略したかということを具体的に一度聞いてみたい」と発言した議事録を引用し、さらに扶桑社「つくる会」教科書とも「歴史偽造主義」と批判した。都教委は、これを以って「不適切な文言」に該当するというのである。しかし、小泉首相の8・15談話を待つまでもなく「我が国が侵略と植民地支配」を行って「アジア各国に多大な被害を与えた」ことは、我が国政府が内外に表明しているところであり、これを否定しようとする公的発言・教科書を批判するのは、社会科教員にとっては当然のことである。もし、増田先生の発言を処分の対象とするのであれば、全国の多くの社会科教師が処分されなければならないことになるだろう。
また都教委は、生徒達が書いた韓国ノ・ムヒョン大統領への手紙を、増田先生が、一括して大統領宛に出したことをもって個人情報漏洩に仕立てあげようともした。授業内容に対する、このような行政の直接介入は教育基本法十条の明らかな違反であり、教育活動の自由を否定するものである。
古賀都議は昨年十月都議会で、わざわざ増田先生を取り上げ「今でも教壇を去るどころか、退散すべき教壇にいまだに立ち続けている。都教委も、この教員に関心を持ち続けてもらいたい」と、露骨に学校現場からの排除を迫った。これを受けるように都教委は「戒告」処分に続いて、来年3月末までの都研修センターでの長期研修命令を発令したのであるが、これは正に、この処分の本質が、古賀都議と都教委、つまり政治家と教育行政が一体となって、教育に対する「不当な支配」を企んだことによる「現場外し=隔離研修」以外の何者でもないことを証明している。
第二に「処分手続き」においても適正手続きがとられていない点である。
地方公務員法上の処分である「戒告」は、これまでの慣行として教育委員会を開かずには出したことはない。にもかかわらず、今回は教育委員会を開かずに「事務当局」のみで決定するという極めて異例な方法をとった。しかも「内規上、教育委員会を開かずに決定できる」とプレス発表した。従来の慣行を一方的に破る暴挙である。これは、教員処分手続きを一般行政職と同一の扱いに簡略化し、今後、教員処分を乱発することをねらった新たな攻撃とも言うべきことであり、教員の身分の尊重を定めた教育基本法六条を蹂躙する不当な行為である。
しかも、現場の監督者である校長ですら「事故報告書」には「(教材が)妥当であるかどうかは問題とされる可能性がある」と記載するのみである。つまり校長は、増田先生が作成した教材の文言自体が問題行動である「事故」として、報告すべきか否かを疑問視しており、末尾の「すべて千代田区教委の指示を受けながら、対応を行っている」という記載に、千代田区教委の強力な指導がうかがえるのである。この事実は、所属長の申し出による「事故報告」の形状すら取れないまま処分発令したと疑念を抱かせるのであり、都教委・区教委が上から一方的に「処分」を強行したと考える。
このような暴挙をこのまま許すならば、今後教育行政による教育内容への介入がますます増えていき、教員への不当処分が安易になされることとなるだろう。
我々は、都教委が処分を撤回し、増田先生を即時現場復帰させることを強く要求する。
教育基本法の改悪をとめよう!全国連絡会
呼びかけ人:大内裕和、小森陽一、高橋哲哉、三宅晶子
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