◆ 自衛官命令服従義務不存在確認訴訟<自衛官安保法制違憲訴訟>
学習会の報告 (予防訴訟をひきつぐ会通信)
5月20日(日)東京中央法律事務所での学習会でした。自衛官安保法制違憲訴訟の原告代理人の三角俊文(みかどとしふみ)弁護士からレクチャーを受けて質疑応答を行いました。参加者は加藤文也弁護士と予防訴訟をひきつぐ会事務局メンバーと練馬在住で自衛隊問題に関心を持つ平和運動家のお二人でした。
1.この訴訟の請求内容は、「平和安全法制は憲法9条等に反し違憲であり、自衛隊法76条1項2号による防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める」
2.東京地裁では門前払い 「現に存立危機事態が発生する明白なおそれがあると認めるに足らないので、防衛出動命令が発令される事態に現実的に直面していない。該当自衛官は、戦闘部隊に所属していないので、現時点で該当自衛官に防衛出動命令が発令される具体的・現実的可能性はない」
地裁段階では、代理人なしの本人訴訟でしたが、原告は控訴して、三角弁護士を代理人にたてました。
三角弁護士は、以前から訴訟の相談を受けていたようですが、勝ち目のない訴訟なので止めておいた方が良いというような助言をしていたそうです。まさに、私たちの予防訴訟が、提訴の頃は無謀訴訟と言われていたのと同じです。
しかし、控訴段階では三角弁護士が代理人を引き受け、私たちの国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟の最高裁判決を研究して、引用しながら、無名抗告訴訟「公義務不存在確認(出動命令服従義務不存在確認)」として主張しました。
3.高裁判決では、この命令に服従する義務のないことの確認を求める訴えを無名抗告訴訟として認め、訴訟要件としては、「重大な損害の要件」と「補充性の要件」(他の形式の訴訟に変えられない)を満たす必要があるとし、自衛官が防衛出動命令に基づく職務命令に従わなかった場合、極めて厳しい社会的非難を受け、懲戒処分、刑事罰を受けることになるから、「重大な損害」の要件を満たし、このような損害については、取消訴訟等の事後的な手段によっては容易に救済を受けることはできないので、補充性の要件を満たすと判示し、門前払いをした地裁に差し戻しました。
4.高裁判決では、存立危機事態が生じることや防衛出動命令が発令されることがおよそ想定できないとの国の主張について、「平和安全法制整備法による自衛隊法の改正が平成27年にされていることに照らし、採用することができない」と判示しています。
国は、一般国民に対しては、北朝鮮からミサイルが飛んでくるなどの危機を煽り「存立危機事態」などと想定しておきながら、自衛官一人ひとりの生命と身体に注目すると、「存立危機事態」が生じ防衛出動命令の発令など、およそ想定できないなどと二枚舌を使っています。
高裁裁判官も、この国側の二枚舌に呆れたのではないでしょうか。
5.国側は最高裁に上告受理申し立てを行ったので、今後は最高裁の判断となります。
いずれにしても、私たちが闘った予防訴訟が、安保法制下での自衛官一人ひとりの生命と身体に注目した安保法制違憲訴訟に繋がって来ていることに注目し、私たち自身の問題として、問題意識を持ち続けたいと思います。
(片山)
『いまこそ(予防訴訟をひきつぐ会通信) No.16』(2018年5月29日)
学習会の報告 (予防訴訟をひきつぐ会通信)
5月20日(日)東京中央法律事務所での学習会でした。自衛官安保法制違憲訴訟の原告代理人の三角俊文(みかどとしふみ)弁護士からレクチャーを受けて質疑応答を行いました。参加者は加藤文也弁護士と予防訴訟をひきつぐ会事務局メンバーと練馬在住で自衛隊問題に関心を持つ平和運動家のお二人でした。
1.この訴訟の請求内容は、「平和安全法制は憲法9条等に反し違憲であり、自衛隊法76条1項2号による防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求める」
2.東京地裁では門前払い 「現に存立危機事態が発生する明白なおそれがあると認めるに足らないので、防衛出動命令が発令される事態に現実的に直面していない。該当自衛官は、戦闘部隊に所属していないので、現時点で該当自衛官に防衛出動命令が発令される具体的・現実的可能性はない」
地裁段階では、代理人なしの本人訴訟でしたが、原告は控訴して、三角弁護士を代理人にたてました。
三角弁護士は、以前から訴訟の相談を受けていたようですが、勝ち目のない訴訟なので止めておいた方が良いというような助言をしていたそうです。まさに、私たちの予防訴訟が、提訴の頃は無謀訴訟と言われていたのと同じです。
しかし、控訴段階では三角弁護士が代理人を引き受け、私たちの国歌斉唱義務不存在確認等請求訴訟の最高裁判決を研究して、引用しながら、無名抗告訴訟「公義務不存在確認(出動命令服従義務不存在確認)」として主張しました。
3.高裁判決では、この命令に服従する義務のないことの確認を求める訴えを無名抗告訴訟として認め、訴訟要件としては、「重大な損害の要件」と「補充性の要件」(他の形式の訴訟に変えられない)を満たす必要があるとし、自衛官が防衛出動命令に基づく職務命令に従わなかった場合、極めて厳しい社会的非難を受け、懲戒処分、刑事罰を受けることになるから、「重大な損害」の要件を満たし、このような損害については、取消訴訟等の事後的な手段によっては容易に救済を受けることはできないので、補充性の要件を満たすと判示し、門前払いをした地裁に差し戻しました。
4.高裁判決では、存立危機事態が生じることや防衛出動命令が発令されることがおよそ想定できないとの国の主張について、「平和安全法制整備法による自衛隊法の改正が平成27年にされていることに照らし、採用することができない」と判示しています。
国は、一般国民に対しては、北朝鮮からミサイルが飛んでくるなどの危機を煽り「存立危機事態」などと想定しておきながら、自衛官一人ひとりの生命と身体に注目すると、「存立危機事態」が生じ防衛出動命令の発令など、およそ想定できないなどと二枚舌を使っています。
高裁裁判官も、この国側の二枚舌に呆れたのではないでしょうか。
5.国側は最高裁に上告受理申し立てを行ったので、今後は最高裁の判断となります。
いずれにしても、私たちが闘った予防訴訟が、安保法制下での自衛官一人ひとりの生命と身体に注目した安保法制違憲訴訟に繋がって来ていることに注目し、私たち自身の問題として、問題意識を持ち続けたいと思います。
(片山)
『いまこそ(予防訴訟をひきつぐ会通信) No.16』(2018年5月29日)
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