今より歳をとるとこんな事は書けない。
かといって、若くてもこんな事、書けないと思う。
だから今、独り言として書いてしまおう。
はじめてひと・・・・
僕が18になる前のときだった。
相手は結婚して、家庭を持っていた。
「 家庭生活に愛情を感じない。」 と言って
僕を好きだと言った。
僕は、この人を幸せにしてあげる と真剣に考えた。
そして、おんなのひとを初めて知り
体にも溺れていった。
終わった後に、潮騒が聞こえた。
枕の向こう側に海があるように思えた。
海などないのに・・・・
その潮騒を聞くと、心が安らいだ。
そして、彼女を抱きしめて
まどろみのひとときを過ごした。
しばらく経つと、また乾きがきた。
そして、肉の乾きを潤していった。
やはり、その後潮騒が聞こえた・・・・
今思うと
僕は体良く食べられたちゃったのかな?と思う。
体良くだから、まぁいいとしておこう。
僕は
相手を憐れんで真剣にその後のことを考えた。
そして
欲望にも負けていった。
その人の家庭を壊そうと考えるようになった。
家庭に愛情を感じないなら、僕が幸せにしてみせる
ということで自分の欲望を正当化している。
自分をごまかしていることは、なんとなく分かっていた。
やがて、僕は家を出て船に乗った。
でも、心の中で葛藤は続いていた。
伊豆半島の石廊崎の沖を
航行中のことだったと思う。
早朝、右舷の見張りについていた。
まわりに船はなく、朝焼けの海をぼんやりみていた。
すると、こころのなかで声が響いた。
「 まあくん、 強くなれ、強くなりなさい・・・・ 」 と
その時
「 自分にうそはつけない 」 と思い、
握り続けていたものを放す決意をした。
辛かった。
それでも、決意したら少し楽になった。
キチンと前を見ることができるようになった。
しばらく前までは若気の至りという言葉で
このことを済んだことにしていた。
でも 最近
この頃の自分が懐かしく健気に見える ・・・・
思いのままに