20世紀イギリス短篇選(下)
下巻は戦後発表作を中心とした構成。この時代となると様々な出自の作家が登場し、これまた様々な人生の断片を描いてくれています。
読み応えがあったのは「女だけの旅」。貨物船に旅客として乗り込んだ女2人組みのお話です。開放的でエキゾチックな船旅の途中での不器用な男女の駆け引きなんかがあったりして印象に残りました。ちょっと調べてきたら、貨物船には12人までなら旅客を乗せてもいいという規定があるそうです。専門に貨物船ツアーを扱うエージェンシーもあるみたい。
「蠅取紙」はちょっとぞっとする話。「欠損家庭」は現代のイライラ感を上手くあしらった作品。善意が悪意にすりかわるドライな出来事が描かれます。「再開」は別れた男女がとあるレストランで再開するしっとりとした作品。
「あいつらのジャズ」ジーン・リース
「確実な人生」ショーン・オフェイロン
「この四十年」ノーら・ロフツ
「レディだけの旅」オリヴィア・マニング
「届かない花束」ウィリアム・サンソン
「蝿取紙」エリザベス・テイラー
「豪華な置時計」ミュリエル・スパーク
「愛の習慣」ドリス・レッシング
「欠損家庭」ウィリアム・トレヴァー
「再会」マーガレット・ドラブル
「別れられる日」スーザン・ヒル