英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

大荒れ!ブランディングズ城

2007-11-20 | イギリス

日曜日の夕方、いつもの様に「ちびまる子ちゃん」と「サザエさん」を何気なく観ていて、ふと気付きました。「携帯電話が出てこない・・・」
ちびまる子は昭和40年代後半の設定ですから当然ですが、サザエさんも磯野家の中は昭和のままの姿です。廊下に置いてある電話は、ダイヤル式の黒電話ですね。磯野家の家電品はスポンサーの関係上かつては明らかに東芝製のものが描かれてましたけど、最近の作品ではその辺も曖昧になっているように思われます。車もパソコンもFAXもない家庭、かたや6人家族と7人家族。時間を止めた2つの家族に我々は癒されながらも次の日からの憂鬱な週明けに向けて逃避場所を求めるのでしょうか?
時間が止まった逃避場所と言えば・・・・・・・
P・G・ウッドハウスの作品も私にとってはある意味逃げ場所。どっぷりスープに浸かった時にどっぷり読み浸ると、あらら奇跡の回復・・・・・なんですね。

P・G・ウッドハウス
「ブランディングズ城の夏の稲妻」

国書刊行会からの新しいウッドハウスシリーズはブランディングス城もの。
先発の文芸春秋刊「エムズワース卿の受難録」が短編集でしたが、こちらは待望の長編となっています。愛すべきエムズワース卿の城には毎度の如く様々なトラブルメーカー達がこれでもかと集っております。世の貴族社会を震撼させる暴露本を目下執筆中のギャリー伯父さんに、階級の壁を乗り越えて劇場のコーラスガールと恋に落ちてしまった甥っ子ロナルド・フィッシュ。そして城の秘書と密かに婚約中の姪っ子ミリセントに、女帝レディ・コンスタブル・キーブル・・・・・。これにかつて追い出された城に戻ろうと画策する前秘書バクスターが加わり、さらにチャンピオン豚エンプレスが行方不明になって、城は大騒動に!
城の中、ロンドンでもと騒動は拡大し続けるこのお話。雷鳴とどろく夜に明かされる事実とは・・・。そしてエムズワース卿の下した決断?とは・・・・。
広大なブランディングズ城の庭園風景とコーラスガールのスー・ブラウンがとっても魅力的。そして破天荒なギャリー伯父さんもいい味をだしています。