私にとって市川作品といえば「細雪」ですね。映画館で始まったとたんに「もう一度観たい」と感じてしまいました。
冒頭の雨に煙る嵐山のシーンでの微妙にずらされた4人姉妹のお膳の位置。そして花見のシーン。子供達の赤い帽子、燃えるような枝垂桜・・・。流れるヘンデルのラルゴ・・・。単純に色彩だけで涙が出そうになってしまったことが思い出されます。
戦争の足音が近づく中での束の間の平和。家の格式を守ろうとする長女、三女の縁談に気をもむ次女、自由な世界に憧れる四女、そして三女に微妙な感情を懐く次女の夫・・・・・。
やっぱり「吉兆」の仕出し弁当は美味しかった・・・・くだりなど、今となって笑いを誘うエピソードも入っていて。
「雪子ちゃん、ねばらはったなあ」 柔らかな大阪弁も心地良い映画でした。
あと「吾輩は猫である」もお気に入りです。
ご冥福をお祈りします。