P・G・ウッドハウス「ドローンズ・クラブの英傑伝」
文芸春秋社から「ジーヴズの事件簿」が刊行されたのが2005年。今年それが文庫化(2分冊)されたのに続いて未訳のドローンズ・クラブ物を集めたのがこの短編集です。バーティ・ウースターも通ったドローンズ・クラブのヘンテコなメンバーたちのドタバタ劇。あの悪友ビンゴくんも健在です。それとペキネーズ犬が大いに笑わせてくれます。ウッドハウスの作品にはペキネーズ犬が多く登場しますが、調べてみると・・・、ペキネーズはアヘン戦争のときに、紫禁城の中でイギリス軍が発見、数匹をイギリスに持ち帰り、その内1匹をヴィクトリア女王に献上したのがイギリスでのデビューエピソードだそうです。以後しばらくは貴族の愛玩犬として高貴なる方々のお側に仕えていた様です。
イギリス人の犬好きは有名ですが、ハイドパークを散歩するときには気をつけないとフンを踏んじゃいますよ。遠目には綺麗な公園ですが、けっこうフンだらけなのもイギリスらしさかな。
巻末に収録された「マック亭のロマンス」は、一転下町の庶民階級でのお話。下町で大繁盛する食堂のちょっとやさしいエピソードが描かれています。