国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

21世紀以降の日本と中国

2010年06月28日 | 中国
アヘン戦争以前の中国では、基本的に遊牧民族は攻め込む側であり、農耕民族は攻め込まれる側であった。しかしながら、漢の武帝が匈奴や西域に派兵したのを皮切りに、漢民族王朝も何度も遊牧民族領土に攻め込んでいる。また、シルクロードの交通路であった西域のウイグル地区は何度も漢民族王朝によって軍事支配されている。遊牧民族が攻め込む頻度よりは少ないが、漢民族側も遊牧民族側に攻め込んでいるのである。同様のことが21世紀以降の東アジアでも起こると思われる。中国の対外貿易ルートとして重要なのは、インド洋に至る南シナ海と、北米に至る日本近海である。従って、この二つの海域の支配を巡る海洋民族と中国の争いが重要になってくると思われる。現在の中国が陸軍力を減らし海軍力を増強しているのは、第一には台湾の回復が目的であるが、究極的には対外貿易ルートである日本近海・南シナ海の支配が目的であると考えて間違いないだろう。 では、中国はランドパワーであることを止めてしまったのだろうか?そうではないと思われる。中国にとって陸地は資源の産地として重要であると思われる。ウイグル・チベット・内モンゴルなどの人口希薄で資源豊富な地域には多数の中国人が送り込まれ、先住民族が少数民族化している。これが中国の対外膨張の方法である。中国の北側にはモンゴル・シベリアというやはり人口希薄で資源豊富な地域が拡がっており、今後多くの中国人を送り込んでいく戦略を中国は考えていると思われる。ただ、大陸方面の領土拡大よりも海洋方面の領土拡大が優先されるであろう。香港回復→台湾回復→南シナ海・日本近海支配権樹立→モンゴル・シベリア進出という順序になるのではないだろうか? 海洋勢力と大陸勢力の争いの焦点はやはり台湾になると思われる。ここを支配した側が東アジア全体の覇権を握ることになるだろう。かつて宋と遼が北京周辺の領土(燕雲十六州)を巡って争った歴史からも分かるように、北京は軍事拠点として非常に重要な場所にある。同様に、軍事拠点としての台湾は今後数百年の間、海洋勢力と大陸勢力の争いの場になると思われる。 . . . 本文を読む
コメント (3)