●中東TODAY No.382 「イスラエル・レバノン・パレスチナは戦争中」 2006年07月25日
報告者:東京財団 シニアー・リサーチ・フェロー 佐々木 良昭
何時ものことだが、中東出張から帰って友人たちに言われることは「中東は暑かったでしょう」というねぎらいと、「中東は危険でしょう」という言葉だ。
しかし、そのいずれもが不正解だ。いまの時期、中東の国のほとんどは猛暑だ。毎日40度前後の日々が続く。しかし、日陰に入りそよ風でも吹こうものなら、日本より数段快適だ。それは湿気が無いからだ。
出来ればアラブの夏、日陰で扇風機でも回しながら昼寝をしたら、どんなに快適だろうと思えてならないし、それが出来ているアラブの人たちが、うらやましいと思えてならない。
もうひとつの問いかけ「中東は危険でしょう」について言えば、日本人のほとんどはその危険の意味が分かっていない。イラク以外の国では日常生活において、日本よりも数段安全であろう。泥棒や暴力事件もほとんど無い、というのが実情だ。
しかし、イラクの情況は全く別でイラク人は危険と死と背中合わせで、日々を送っているのだ。
加えて、レバノン・パレスチナはいま戦争中なのだ。日本人は現在のレバノン・パレスチナの情況をテロが頻発している、武力衝突が起こっている、という程度に捉えているが、現状は間違いなく戦争状態であり、全てのアラブ諸国もイスラエルも、現状を戦争と認識している。この日本人の勘違いは平和ボケの産物であろう。
その戦争だが、私はいまイスラエルもレバノンもパレスチナも、非常に危険な情況に向かいつつあるのではないか、と強い不安を抱いている。
イスラエルは自国の兵士が誘拐されたことが原因で、パレスチナと武力衝突を起こし、次いでレバノンに軍事攻撃を掛け始めた。レバノン側がミサイル攻撃を仕掛けてきて、現在のような戦争状態になった、とイスラエルは説明する。
他方、レバノンのヘズブラやパレスチナに言わせれば、そもそもの発端はイスラエルによる、ガザの海岸で夏を楽しんでいたパレスチナ人家族に対する、イスラエル軍による攻撃が発端だということになる。
いずれが発端であるかを言っても、今あまり意味が無い。そこで現状が今後どう推移していくか、ということが大事だと思うのだが、私には極めて暗い予測しか出来ない。
イスラエルは国連軍の派兵では、ヘズブラのイスラエルに対する攻撃を阻止出来ないと考えており、NATO軍に出動を要請している。しかし、NATO軍でレバノンとイスラエルの国境に、応分の軍事力を持つ規模と装備の軍隊を派遣できる国は限られていよう。
述べるまでも無く、最も派遣してくれそうなアメリカとイギリスは、イラクとイランでいま手一杯であろうし、フランスとドイツは派兵を望まないのではないか。つまるところ、派兵できる環境にあるNATO参加国は、トルコだけであろう。
しかし、いまトルコとイスラエルとの関係が、必ずしもしっくりしていないこと、イスラエルがレバノンに攻撃を加えたことに対して、トルコ政府が批判的であることなどから、トルコ軍の派兵も難しいのではないか。
結局こうした状況のなかで、イスラエルはヘズブラという軍隊ではないゲリラとの戦いに、相当な消耗を覚悟しなければならない状態にある、ということになる。もし、一方的にイスラエルが戦闘を停止し撤退すれば、アラブの多くの国の若者たちが、ヘズブラがイスラエルに勝利したと受け止めて、ヘズブラのイスラエルとの戦いへの参加に動くだろう。
これと同じような情況が、1967年の第三次中東戦争後起こっている。
アラブ各国の軍が、おしなべて敗北を喫したにもかかわらず、故アラファト議長率いるパレスチナのファタハ組織の戦闘部隊が、それなりの勝利を遂げることが出来たのだ。
その後、ファタハ組織がヨルダンの国内で国内国家を形成するに至り、ヨルダン軍と衝突し、アラブ連盟とエジプトの故ナセル大統領の仲介で、レバノンに追い出されることになった。
ファタハ組織がレバノンに移動すると、多くのアラブの若者がファタハの義勇兵としてレバノンに集まったのだ。
イスラエルはいま、レバノンのヘズブラに対する攻撃を、止めることも拡大することも非常に困難であろう。そもそも、イスラエル軍がアラブ軍に対して強かったのは、正規軍同士での戦闘であり、ゲリラ戦ではなかったのだ。
一部には、PLO との戦いはゲリラ戦だったというだろうが、PLOは極めて政治的なゲリラ組織であり、ゲリラ闘争は政治闘争の前提であった。しかし、ヘズブラの場合は宗教的ゲリラ組織であり、全く意味合いを異にしている。
さて、それではアラブが優位にあるかといえばそうでもない。アラブの若者たちは、ヘズブラの敢闘を喜んでいるが、アラブ各国政府は苦しい立場に追い込まれている。アラブ各国はイスラエルとの戦争に、とても参加することは出来ない状態にあるからだ。
ヘズブラもアメリカとイスラエルによる武器供給国に対する締め付けから、次第に武器の不足が起こってくるのではないか。これまでシリアやイランが武器、兵器をヘズブラに供給していたが、今後は非常に困難になろう。
イスラエルは建国以来、いま最も複雑で危険な戦争に引き込まれたし、ヘズブラもやはり苦しい情況に追い込まれていくのではないか。
そして、ヘズブラが苦しい情況に追い込まれていく中で、アラブの大衆のなかにテロリスト志願者が増え、イスラエルとアメリカに対するテロが、世界の各地で起こるようになるのではないか。
イスラエルにとって最も好都合な状態は、イスラエルがシリアに攻撃を加え、アメリカがイランに攻撃をかけ、シリア・イラン両国がヘズブラの軍事行動を止めるよう働きかける状態が生まれることではないか。
しかし、それもそう簡単には実現出来ないのではないか。結果的に、今回始まったレバノン戦争は、イスラエルとレバノン、そして、その他のアラブ諸国を、ずるずると深みに引き込んでいくのではないかと懸念される。
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20060725_1.shtml
●中東新地図は実現可能か [2006年07月26日(水)]
東京財団の中東TODAYのNO378ですでにご紹介したが、アメリカの将校であるラルフ・ピーターズ中佐が、今後の中東世界がどう変わるべきか、という内容の論文をアームド・フォース・ジャーナルで発表している。
そもそも、この論文があることを知ったのは、トルコのザマン紙が簡単な記事を紹介していたのに気が付いてのことだった。述べるまでもなく、トルコはクルド問題を抱えており、クルドに関する情報には世界で最も敏感に反応する国だ。
新生のクルド国家は、トルコ領土の20パーセント程度を領有し、黒海にまで広がる。その結果、クルド国家は黒海への港のアクセスを持つことになり、アメリカが長い間望んできた、黒海に軍港を確保することが出来ることも予想される。
イギリスやフランスが確定した現在の中東地図ではなく、中東には新しい地図が必要であり、その構想では人種、宗教、宗派の分布状況に合わせた新たな国境線が引かれるべきであり、それがテロ問題の解決に役立つとしている。
この構想に基づいた新中東地図を見ると、サウジアラビアやイランは産油地帯を失い、イラクから分離独立し新たに設立される、シーア派のイラク国家には、サウジアラビアとイランの産油地帯が含まれることになっている。
ヨルダンは拡大するが、そのヨルダン領土が現在のハーシム王家のものになるのか、パレスチナ人のものになるのかは不明だ。あるいは、新たに計画されているメッカ、メジナを中心とするソフト・イスラム国家に、ヨルダンの王家は移住させられるのかもしれない。
アラブ諸国ばかりではなく、西アジアにも大きな変化が生まれるというこの計画が、著者個人の構想なのか、アメリカ国防省の計画なのかは不明だが、相当な抵抗が起こるであろうことが予想される。
その新中東地図を添付するのでみなで考えてみたい。そして、この構想が現実的に進んでいく場合、どのような利害が日本に及んでくるのか、どう対応するべきかも考えてみたい。
http://blog.canpan.info/tkfd/archive/15
【私のコメント】
前にも触れたが、イスラエルがガザとレバノンの南北二正面作戦を開始したことは、第二次世界大戦でユダヤ金融資本に操られた日本軍とドイツ軍が自殺的な二正面作戦を開始したことを想像させる。現在のイスラエル政府もまた、ユダヤ金融資本の命令で戦争を開始させられたのだろう。しかし、日独とイスラエルの違いは、日独は先住民族だがイスラエルは侵略民族であることだ。イスラエルの敗北は、現在イスラエルに居住する何百万人ものユダヤ人の難民化、あるいは絶滅を避けられないものにするだろう。
中東の新地図は実に興味深い。ユダヤ金融資本の支配下にあるヨルダン、米国と友好関係を結んだインドは領土を維持ないし拡大させ、ユダヤ金融資本の命令に従順でないトルコやイラン、サウジ、シリア等は分割して油田地帯を分離して米国が属国として支配するという形式だ。逆に言うと、このような国境線の引き直を行わない限り、中東の油田地帯を米国を介してユダヤ金融資本が支配し続けることによる石油ドル体制の維持は不可能ということだろう。そして、イラク一国すら占領できない米国に、中東全体の国境線の引き直しなど出来るわけがない。ユダヤ金融資本-米国-中東油田地帯という世界統治システムの崩壊はもはや避けられないことが確実になっている。
報告者:東京財団 シニアー・リサーチ・フェロー 佐々木 良昭
何時ものことだが、中東出張から帰って友人たちに言われることは「中東は暑かったでしょう」というねぎらいと、「中東は危険でしょう」という言葉だ。
しかし、そのいずれもが不正解だ。いまの時期、中東の国のほとんどは猛暑だ。毎日40度前後の日々が続く。しかし、日陰に入りそよ風でも吹こうものなら、日本より数段快適だ。それは湿気が無いからだ。
出来ればアラブの夏、日陰で扇風機でも回しながら昼寝をしたら、どんなに快適だろうと思えてならないし、それが出来ているアラブの人たちが、うらやましいと思えてならない。
もうひとつの問いかけ「中東は危険でしょう」について言えば、日本人のほとんどはその危険の意味が分かっていない。イラク以外の国では日常生活において、日本よりも数段安全であろう。泥棒や暴力事件もほとんど無い、というのが実情だ。
しかし、イラクの情況は全く別でイラク人は危険と死と背中合わせで、日々を送っているのだ。
加えて、レバノン・パレスチナはいま戦争中なのだ。日本人は現在のレバノン・パレスチナの情況をテロが頻発している、武力衝突が起こっている、という程度に捉えているが、現状は間違いなく戦争状態であり、全てのアラブ諸国もイスラエルも、現状を戦争と認識している。この日本人の勘違いは平和ボケの産物であろう。
その戦争だが、私はいまイスラエルもレバノンもパレスチナも、非常に危険な情況に向かいつつあるのではないか、と強い不安を抱いている。
イスラエルは自国の兵士が誘拐されたことが原因で、パレスチナと武力衝突を起こし、次いでレバノンに軍事攻撃を掛け始めた。レバノン側がミサイル攻撃を仕掛けてきて、現在のような戦争状態になった、とイスラエルは説明する。
他方、レバノンのヘズブラやパレスチナに言わせれば、そもそもの発端はイスラエルによる、ガザの海岸で夏を楽しんでいたパレスチナ人家族に対する、イスラエル軍による攻撃が発端だということになる。
いずれが発端であるかを言っても、今あまり意味が無い。そこで現状が今後どう推移していくか、ということが大事だと思うのだが、私には極めて暗い予測しか出来ない。
イスラエルは国連軍の派兵では、ヘズブラのイスラエルに対する攻撃を阻止出来ないと考えており、NATO軍に出動を要請している。しかし、NATO軍でレバノンとイスラエルの国境に、応分の軍事力を持つ規模と装備の軍隊を派遣できる国は限られていよう。
述べるまでも無く、最も派遣してくれそうなアメリカとイギリスは、イラクとイランでいま手一杯であろうし、フランスとドイツは派兵を望まないのではないか。つまるところ、派兵できる環境にあるNATO参加国は、トルコだけであろう。
しかし、いまトルコとイスラエルとの関係が、必ずしもしっくりしていないこと、イスラエルがレバノンに攻撃を加えたことに対して、トルコ政府が批判的であることなどから、トルコ軍の派兵も難しいのではないか。
結局こうした状況のなかで、イスラエルはヘズブラという軍隊ではないゲリラとの戦いに、相当な消耗を覚悟しなければならない状態にある、ということになる。もし、一方的にイスラエルが戦闘を停止し撤退すれば、アラブの多くの国の若者たちが、ヘズブラがイスラエルに勝利したと受け止めて、ヘズブラのイスラエルとの戦いへの参加に動くだろう。
これと同じような情況が、1967年の第三次中東戦争後起こっている。
アラブ各国の軍が、おしなべて敗北を喫したにもかかわらず、故アラファト議長率いるパレスチナのファタハ組織の戦闘部隊が、それなりの勝利を遂げることが出来たのだ。
その後、ファタハ組織がヨルダンの国内で国内国家を形成するに至り、ヨルダン軍と衝突し、アラブ連盟とエジプトの故ナセル大統領の仲介で、レバノンに追い出されることになった。
ファタハ組織がレバノンに移動すると、多くのアラブの若者がファタハの義勇兵としてレバノンに集まったのだ。
イスラエルはいま、レバノンのヘズブラに対する攻撃を、止めることも拡大することも非常に困難であろう。そもそも、イスラエル軍がアラブ軍に対して強かったのは、正規軍同士での戦闘であり、ゲリラ戦ではなかったのだ。
一部には、PLO との戦いはゲリラ戦だったというだろうが、PLOは極めて政治的なゲリラ組織であり、ゲリラ闘争は政治闘争の前提であった。しかし、ヘズブラの場合は宗教的ゲリラ組織であり、全く意味合いを異にしている。
さて、それではアラブが優位にあるかといえばそうでもない。アラブの若者たちは、ヘズブラの敢闘を喜んでいるが、アラブ各国政府は苦しい立場に追い込まれている。アラブ各国はイスラエルとの戦争に、とても参加することは出来ない状態にあるからだ。
ヘズブラもアメリカとイスラエルによる武器供給国に対する締め付けから、次第に武器の不足が起こってくるのではないか。これまでシリアやイランが武器、兵器をヘズブラに供給していたが、今後は非常に困難になろう。
イスラエルは建国以来、いま最も複雑で危険な戦争に引き込まれたし、ヘズブラもやはり苦しい情況に追い込まれていくのではないか。
そして、ヘズブラが苦しい情況に追い込まれていく中で、アラブの大衆のなかにテロリスト志願者が増え、イスラエルとアメリカに対するテロが、世界の各地で起こるようになるのではないか。
イスラエルにとって最も好都合な状態は、イスラエルがシリアに攻撃を加え、アメリカがイランに攻撃をかけ、シリア・イラン両国がヘズブラの軍事行動を止めるよう働きかける状態が生まれることではないか。
しかし、それもそう簡単には実現出来ないのではないか。結果的に、今回始まったレバノン戦争は、イスラエルとレバノン、そして、その他のアラブ諸国を、ずるずると深みに引き込んでいくのではないかと懸念される。
http://www.tkfd.or.jp/news/today/1_20060725_1.shtml
●中東新地図は実現可能か [2006年07月26日(水)]
東京財団の中東TODAYのNO378ですでにご紹介したが、アメリカの将校であるラルフ・ピーターズ中佐が、今後の中東世界がどう変わるべきか、という内容の論文をアームド・フォース・ジャーナルで発表している。
そもそも、この論文があることを知ったのは、トルコのザマン紙が簡単な記事を紹介していたのに気が付いてのことだった。述べるまでもなく、トルコはクルド問題を抱えており、クルドに関する情報には世界で最も敏感に反応する国だ。
新生のクルド国家は、トルコ領土の20パーセント程度を領有し、黒海にまで広がる。その結果、クルド国家は黒海への港のアクセスを持つことになり、アメリカが長い間望んできた、黒海に軍港を確保することが出来ることも予想される。
イギリスやフランスが確定した現在の中東地図ではなく、中東には新しい地図が必要であり、その構想では人種、宗教、宗派の分布状況に合わせた新たな国境線が引かれるべきであり、それがテロ問題の解決に役立つとしている。
この構想に基づいた新中東地図を見ると、サウジアラビアやイランは産油地帯を失い、イラクから分離独立し新たに設立される、シーア派のイラク国家には、サウジアラビアとイランの産油地帯が含まれることになっている。
ヨルダンは拡大するが、そのヨルダン領土が現在のハーシム王家のものになるのか、パレスチナ人のものになるのかは不明だ。あるいは、新たに計画されているメッカ、メジナを中心とするソフト・イスラム国家に、ヨルダンの王家は移住させられるのかもしれない。
アラブ諸国ばかりではなく、西アジアにも大きな変化が生まれるというこの計画が、著者個人の構想なのか、アメリカ国防省の計画なのかは不明だが、相当な抵抗が起こるであろうことが予想される。
その新中東地図を添付するのでみなで考えてみたい。そして、この構想が現実的に進んでいく場合、どのような利害が日本に及んでくるのか、どう対応するべきかも考えてみたい。
http://blog.canpan.info/tkfd/archive/15
【私のコメント】
前にも触れたが、イスラエルがガザとレバノンの南北二正面作戦を開始したことは、第二次世界大戦でユダヤ金融資本に操られた日本軍とドイツ軍が自殺的な二正面作戦を開始したことを想像させる。現在のイスラエル政府もまた、ユダヤ金融資本の命令で戦争を開始させられたのだろう。しかし、日独とイスラエルの違いは、日独は先住民族だがイスラエルは侵略民族であることだ。イスラエルの敗北は、現在イスラエルに居住する何百万人ものユダヤ人の難民化、あるいは絶滅を避けられないものにするだろう。
中東の新地図は実に興味深い。ユダヤ金融資本の支配下にあるヨルダン、米国と友好関係を結んだインドは領土を維持ないし拡大させ、ユダヤ金融資本の命令に従順でないトルコやイラン、サウジ、シリア等は分割して油田地帯を分離して米国が属国として支配するという形式だ。逆に言うと、このような国境線の引き直を行わない限り、中東の油田地帯を米国を介してユダヤ金融資本が支配し続けることによる石油ドル体制の維持は不可能ということだろう。そして、イラク一国すら占領できない米国に、中東全体の国境線の引き直しなど出来るわけがない。ユダヤ金融資本-米国-中東油田地帯という世界統治システムの崩壊はもはや避けられないことが確実になっている。
ハマスはどんな案配なんでしょうか?
やはり今後世界大戦になるんでしょか?