国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

イスラエルロビーの力 -地政学を英国で学ぶ 8/5-

2006年08月05日 | イスラエルロビー批判論文の日本語訳
●イスラエルロビーの力 -地政学を英国で学ぶ 8/5-

今日のイギリス南西部は午後になってから少しだけ暖かくなりました。夏よ、復活してくれ。

さて、中東情勢が相変わらず混沌としておりますが、今日届いたエコノミストを見て面白い記事があったので簡単に紹介しておきます。これけっこうこれから話題になりそうな。

エコノミストというのは基本的に欧米ユダヤ系のプロパガンダ広報誌的な役割を果たしている雑誌なんですが、けっこう立場的に無敵なのをよいことに、けっこう過激なことを書いていることもあります。ちなみにスタンスは反日的なのが多いんですが。

で、今日発売のアメリカ関連の記事の中にイスラエルとアメリカの関係についての記事があります。ネットでも無料でみれますので以下に貼り付けてみますが、

Why is America so much more pro-Israeli than Europe? The most obvious answer lies in the power of two very visible political forces: the Israeli lobby (AIPAC) and the religious right. AIPAC, which has an annual budget of almost $50m, a staff of 200, 100,000 grassroots members and a decades-long history of wielding influence, is arguably the most powerful lobby in Washington, mightier even than the National Rifle Association.

“Thank God we have AIPAC, the greatest supporter and friend we have in the whole world,” says Ehud Olmert, Israel's prime minister. The lobby, which is the centrepiece of a co-ordinated body that includes pressure groups, think-tanks and fund-raising operations, produces voting statistics on congressmen that are carefully scrutinised by political donors. It also organises regular trips to Israel for congressmen and their staffs. (The Washington Post reports that Roy Blunt, the House majority whip, has been on four.)

年間50億円の予算と200人のスタッフ、それに首相の「AIPACさんありがとう」発言はいいですね(笑

たしかにこのようなデーターは驚くべきことじゃないのかも知れませんが、わざわざこの雑誌にこういう記事が載ったという事実のほうが私としては面白かったです。

で、この記事なんですが、最後にどういう結論に至るかというと、

But the biggest reason why Americans are so pro-Israel may be cultural.

などといって「文化的な理由」に逃げようとしているんですな。おいおい。

しかも最後には

Many of these anxieties are expressed by the “realist faction”. Chuck Hagel, a Republican maverick, has given warning that America's relationship with Israel “cannot be at the expense of our Arab and Muslim relationships”. Richard Haass, a State Department official under George Bush senior who now heads the Council on Foreign Relations, has laughed publicly at the president's “birth of a new Middle East” optimism about the crisis.

とリアリストの中にイスラエルロビーの権化のようなリチャード・ハースを入れてみたりして、まったく支離滅裂なことをしております。

なんだか確信犯的な(笑

http://geopoli.exblog.jp/d2006-08-05

【関連情報】
●地政学を英国で学ぶ : ハースとダボスの演習
http://geopoli.exblog.jp/4621328

●To Israel with love -The Economist 8/3-
http://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/573821814306020a866660a2f817e04c

●東京財団コラム: ブッシュ政権の対イラク戦略(抜粋)
CFRの現在の会長は、ブッシュ政権第一期にコリン・パウエル国務長官の下で同省の政策企画室長をつとめたリチャード・ハースである。ハースは政権を去った後、イラク戦争を「選択の戦争」と呼び、国家安全保障上どうしてもやらなければならない「必要の戦争」ではなかった、との認識を明らかにし、ブッシュ政権の対イラク政策には辛口のコメントをしてきた。またCFRに集まる会員たちの多くは、ブッシュ政権の対イラク政策には批判的な見方をしてきた外交問題のプロばかりである。

http://www.tkfd.or.jp/mt/archives/200601/post_1335.php


【私のコメント】
 「イスラエルロビーの権化のようなリチャード・ハース」とのmasa氏のコメントが注目される。リチャード=ハースは第一次ブッシュ政権でイラク戦争の計画に深く関与していたと考えられる人物であり、現在の米国外交の中心の一人と見て良いのだろう。ネットで検索した情報を見る限り、ネオコンではない様だし、イラク戦争にかつて関与しつつ今はそれに批判的という不思議な立場をとっている様だ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« To Israel with love -The Ec... | トップ | ロシアが北方領土の対日返還... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿