国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

プーチン新大統領が北方領土問題の最終解決に意欲

2012年03月04日 | ロシア・北方領土
●朝日新聞デジタル:北方領土「最終決着させたい」 プーチン首相が会見 - 国際 2012年3月2日11時58分

ロシア大統領への返り咲きが確実視されているプーチン首相が1日夜(日本時間2日未明)、モスクワ郊外の首相公邸で朝日新聞の若宮啓文主筆ら日欧などの主要紙編集トップと会見した。日ロの懸案である北方領土問題について、柔道家として「引き分け」という日本語を使い、相互に受け入れ可能な妥協点を探り、「最終決着させたい」と表明した。

 プーチン氏が日本について本格的に語るのは、2009年5月に首相として訪日した時以来となる。大統領1期目の00年9月には、ロシアの最高指導者として初めて、歯舞・色丹の2島引き渡しに言及した1956年の日ソ共同宣言の有効性を認めている。

 プーチン氏は、この日も56年宣言に言及し、「我々はゴルバチョフ・ソ連大統領が遂行を拒否した56年宣言に戻る用意をしたが、日本側が『四島』を言い出して全てが最初の地点に戻った」と指摘。その上で、「我々が前進できるような接点が見つかることを期待する」と述べた。

 さらに、「日本との領土問題を最終決着させたいと強く望む」とも主張。解決策は、貿易や投資といった経済分野などの相互協力を拡大する中で見つかるとし、領土問題が後ろに引っ込むような状況が必要だと強調した。
http://www.asahi.com/international/update/0302/TKY201203020160.html






●時事ドットコム:北方領土問題解決に意欲=ロシア大統領選前にプーチン氏 (2012/03/02-11:58)

【モスクワ時事】4日投開票のロシア大統領選で復帰を目指すプーチン首相(前大統領)は2日までに、一部外国メディアと会見し、「日本との領土問題に終止符を打ち、双方に受け入れ可能な形で解決したい」と述べ、北方領土問題の解決に意欲を示した。インタファクス通信が伝えた。
 プーチン氏は「日ロの共同活動を拡大することで解決を見いだせる」と強調。両国が「単なる隣人でなく、経済発展に利害関係を持つ真の友人として相互理解する」ことが重要だとした上で、「この文脈の中で妥協が容易になるだろう」と語った。 
 また、平和条約締結後の色丹、歯舞2島引き渡しをうたった1956年の日ソ共同宣言に触れ、ロシアは2001年の首脳会談で、日本が求めてきた共同宣言の有効性を認めたが、日本側はさらに「2島ではなく、4島が欲しい」と要求してきたと指摘。「これはもはや日ソ共同宣言ではない」と振り返り、日本の4島返還論をけん制した。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012030200322






●プーチン首相会見 領土問題「引き分け」の可能性がある: The Voice of Russia

4日に投票日を迎える大統領選に立候補しているプーチン首相は、日本との領土問題について、両国間の経済関係発展を基盤にしてこの問題の解決法を見つけることが可能だとの見方を示した。
プーチン首相は1日夜、モスクワ郊外の首相公邸で外国の主要紙編集責任者らと会見した中で「我々は、日本との間にある領土問題を最終的に終わらせたいと強く願っており、両国にとって又両国民にとって受け入れられるような形で、それをしたいと欲している」と述べた。 リア・ノーヴォスチ通信によれば、会見でこの問題提起をしたのは、朝日新聞の若宮啓文(よしぶみ)主筆。

又、プーチン首相は領土問題解決に向けた鍵となるのは、より密接な経済協力であり、ロ中の同様の問題を例に挙げることが出来ると強調した。ロシアと中国は、国家間貿易を新しいレベルに引き上げて初めて、問題調整に成功したということだ。

さらにプーチン首相は、領土問題それ自体の調整において以前同様、係争中の4島のうち2島の返還と、その後の平和条約締結を前提とする1956年の宣言に戻ることを提案している。

なおこの問題をめぐる応答で、若宮主筆が柔道用語「引き分け」を使い「もし我々(ロシアと日本)が引き分けを欲しても、2島では不十分だ」と指摘したのに対し、プーチン首相は「若宮さんは今のところ外務省で働いておられないし、私自身も大統領ではない」と答えたうえで、大統領選挙後にまたこの問題を話そうと提案した。
http://japanese.ruvr.ru/2012_03_02/67292538/






●北方領土は「不法占拠」じゃない? 政府答弁書 - MSN産経ニュース 2012.3.2 14:23

 政府は2日午前、北方領土について、ロシアに「不法占拠」されているとの表現を使わず「法的根拠のない形で占拠されている」とする答弁書を閣議決定した。自民党の今津寛衆院議員の質問主意書に答えた。

 政府は平成22年の8月10日に閣議決定した答弁書で「不法に占拠」としていたが、表現を変更した。答弁書は理由について「どのような表現を使うかについては、領土問題は相手国との交渉を通じて解決すべきものであること、相手国との関係全般を考慮した結果として行われる」と説明した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120302/plc12030214250012-n1.htm






●政府、北方領土「不法占拠」の表現変更 露メディア「放棄」と報道 - MSN産経ニュース 2012.3.2 23:19

 政府は2日、北方領土にについて「ロシアに法的根拠のない形で占拠されている」とする答弁書を閣議決定した。政府は平成22年の8月10日の答弁書で「不法に占拠」としたが、表現を変更した。

 これを受け、ロシア国営ラジオ「ロシアの声」(旧モスクワ放送)は2日、「日本政府は不法占拠という用語を放棄した。表現はより控えめなバージョンに変えられた」と報じた。

 答弁書は今津寛衆院議員(自民)の質問主意書に答えた。不法占拠との表現を使わない理由を「どのような表現を使うかについては相手国との関係全般を考慮した結果」と説明。「政府の法的評価は一貫している」と強調した。

 北方領土をめぐっては21年10月、前原誠司沖縄・北方対策相(当時)が「終戦のどさくさに紛れて不法占拠した。そのことは言い続けなくてはいけない」と発言し、ロシア側が激しく反発。前原氏は22年9月に外相に就任すると「不法占拠」の表現を封印したが、11月にメドベージェフ大統領は国後島を訪問した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120302/plc12030223190020-n1.htm






●ムネオ日記

2012年3月3日(土) 鈴 木 宗 男
 昨夜、釧路からの最終便で東京に戻り、新聞チェックをしていると3月1日のプーチン会見をどこも扱っている。
 プーチン次期大統領の「引き分け」「はじめ」は日ロ関係の発展、北方領土問題解決に向けての大きな一言、発信である。プーチン次期大統領の勇気ある発言に、日本国首相がしっかり応えていくと必ず道は拓ける。野田首相の裂帛の気合いを期待したい。
 12時半から第2回ウォーク&トーク。有楽町マリオン前で演説をし、ウォークしながら有楽町交番前で締めくくりの演説。佐藤優さんも前回に引き続き参加してくれ、プーチン会見の解説もしてもらった。
 多くの人が立ち止り耳を傾けて下さり、有難い限りだった。天気も良く沢山の人から握手、写メと要望があり喜んで応じた。来月は上野か渋谷か新宿か季節的にどこが良いのか考えて決定したい。
 14時半発で千歳に向かい、17時半より新党大地・町川ジュンコ代表代行が主催する。「第2回HANA宗会、1周年記念講演&祝賀パーティー。話そう!未来のにっぽん」に出席。
 昨日の朝刊、夕刊各紙に又TVで小沢一郎元民主党代表の陸山会事件で東京地検は虚偽報告書を1年前に把握しておきながら、問題ないと放置、不問にしていたことが明らかになった。
 検察側はデタラメな事実でない捜査報告書を検察審査会に資料として提出している。2月27日東京地検は石川知裕代議士の供述調書をすべて証拠採用しなかった。読者の皆さんに私は訴えたい。
 検察は自分達のシナリオ、ストーリーを作り、最初から「鈴木ありき」「小沢ありき」で動いていたのである。
 私の場合「ムネオハウス」「北方領土人道支援・三井物産ジィーゼル発電入札」で捕まえようとしたが出来ず、更にはアフリカのODA(海外経済協力)でやろうとしたが出来なかった。それでも上げた拳を下すわけにはいかず、4年前に釧路地方検察庁が立件出来なかった、やまりん事件をぶり返してきたのである。
 自分たちの面子(めんつ)、出世、自己保身の検察の姿であり、公平・公正とはほど遠いのである。私は丸1年収監されたが、今でも真実を求めて元林野庁長官と国土交通省北海道開発局の元港湾部長を民事で訴えている。
 検察に誘導され事実でない、真実でないことを述べているからである。私は悪しき権力とはとことん戦って行く。
 検察の密室での強圧的な取り調べで、誘導で検察の都合の良い、正しくない調書を鵜呑みにして判決を下した裁判官にも問題がある。
 私は賄賂などもらっていない。正直者が馬鹿を見ない社会にする為に、私は命ある限り戦っていく。権力に打ちのめされ挫折や失望を経験しながらも声を出せない、立ち上がれない人の分まで私は戦わなければならない。
 読者の皆さんのご理解ご支援を心からお願いしたい。


2012年3月2日(金) 鈴 木 宗 男
 昨日、モスクワで行われた若宮啓文「朝日新聞」主筆とプーチン露首相の会見の様子が今朝、関係者より伝わってきた。朝日新聞の夕刊1面トップで取り上げられており、読者の皆さんに概要をお伝えしたい。


 我々は、ゴルバチョフ・ソ連大統領が遂行を拒否した56年宣言に戻る用意をしたが、日本側が「四島」を言い出して全てが最初の地点に戻った。
 我々が、前進できるような接点が見つかることを期待する。日本との領土問題を最終決着させたいと強く望む。
 我々の関係のでこぼこをならし、前向きで建設的な対話に戻すべきだ。
 柔道家は勝つためではなく、負けないために勇気ある一歩を踏み出さなければならない。我々は勝利ではなく、受け入れ可能な妥協に至らなければならない。「引き分け」のようなものだ。
 私が大統領になれば、一方に我々の外務省、一方には日本の外務省を座らせ、「始め」の号令をかけよう。



 大統領選挙投票日の3日前に、プーチン首相がこれだけの発言をするということは、日ロ関係の発展、領土問題の解決を大統領になったら動かそうという明確なメッセージだと私は受け止めている。特に日本語で「引き分け」「はじめ」と表現するところに、プーチン首相の頭づくりがあると私は見ている。また、話の内容からして大きなリスクを伴う発言であり、プーチン首相のトップリーダーとしてのなみなみならぬ思いが伝わってくる。このプーチン首相の発言を受けて、野田首相はプーチン首相に届くメッセージを発することが大事である。

 今日の北海道新聞1面に「2島先行」排除せず、北方領土交渉外務省幹部が言及という記事がある。北海道新聞の記事を一部お知らせしたい。


 外務省幹部は1日、北方領土交渉に関し、歯舞、色丹2島の引き渡しを受けた後に、国後、択捉両島の帰属問題について協議を続ける「2島先行返還論」を排除せず、柔軟に臨む意向を明らかにした。4島の日本への帰属確認を最優先するとしてきたこれまでの方針の見直しにつながる可能性がある。



 外務省もプーチン氏の動き、発言に相当アンテナを張っていることが感じられる。私は、北方領土問題については現実的解決論を強く提唱してきた。4島問題を解決するには、どうしたらよいか、どういうアプローチが4島問題の解決に繋がるのか、この事を考え、日本国政府の方針に基づいて、私なりにやってきたのである。
 過去の外交的積み重ねを勉強せず、頭に入っていなかった当時の小泉首相、田中真紀子外務大臣によって、橋本、小渕、森政権で築かれてきた良好な日ロ関係が空白の10年と言われるようになったことが、国益の観点からも、とっても不幸な事であった。
 昨日のプーチン首相の発言、また、外務省幹部の意向を聞きながら日ロ関係のダイナミックな発展と領土問題解決に向けての動きが加速されることを期待してやまない。
http://www.muneo.gr.jp/html/diary201203.html





●5月のプーチン大統領誕生で北方領土問題は動くか。キーマンは「日本通」ロシア首相府官房長官だ/歳川 隆雄 (現代ビジネス) - Yahoo!ニュース 現代ビジネス 3月3日(土)8時5分配信

3月4日に実施されるロシア大統領選で与党「統一ロシア」推薦候補のウラジーミル・プーチン首相が勝利し、再び大統領の座に就くのは間違いない。焦点は、第1回投票でジュガーノフ共産党党首など対立候補にどれだけの差をつけて勝利するのかである。圧勝するのか、それとも得票が50%台前半に留まる辛勝なのか---どちらの勝利なのかによってプーチン新体制の行く末が変わってくる。

 ナショナリストであり、ポピュリストでもあるプーチン氏の目指す「大ロシア」再建の成否を見るうえでの着目点4つを指摘したい。外務省のロシアンスクール出身幹部などから聞いた話をまとめると、以下の通りである。1.大統領選後、経済における近代化、政治における民主化は進むのか?  2.大統領選後、米国を始めとする欧州諸国とは協調路線か、対立路線か?  3.大統領選後、アジア太平洋地域への外交ベクトルは強化されるのか?  4.プーチン体制の終焉の序章か、一時的な不調なのか? 

<中略>

次に3だが、これはプーチン氏の対日政策を含むアジア太平洋地域志向についてである。同氏は08年8月~11年12月までに極東・東シベリア地域の26ヵ所を視察している。本年9月には極東最大の都市ウラジオストックでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議が開催される。06年7月にサンクトペテルブルグでG8サミットが開かれた時と同じく、プーチン氏が大統領としてホスト役を務める。

 ロシア・ウォッチャーの現在の関心事は、昨年末に首相府官房長官に抜擢されたアントン・バイノ氏が、プーチン氏の5月7日のクレムリン(大統領府)入りと同時に大統領府副長官、大統領補佐官(外交担当)など、どのポストに就くのかにある。というのも、プーチン氏が傾注する東シベリアやサハリンのガス田・油田開発などで日本の経済協力を期待するロシアが日本の北方領土返還交渉でそれなりの"譲歩"を見せるのかどうかが注目されているからだ。

 因みに、外務省時代に日本勤務経験があるバイノ氏は流暢な日本語を話すだけでなく、「2島(歯舞・色丹)先行返還論」に理解を示しているという。プーチン次期大統領の外交ベクトルが日本に向けられているのかどうかは、5月のシカゴG8サミットをはさんで行われる野田佳彦首相との日露首脳会談で判明する。
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120303-00000001-gendaibiz-int





【3月12日追記】
●プーチンも本気!「シベリア鉄道北海道延伸」わが計画 飯島 勲 「リーダーの掟」: プレジデント 2012年 3月 5日 (月)

プーチン、欧州……世界中が大絶賛!
「シベリア鉄道北海道延伸」に向けて、とうとう世界が動き始めた。

ロシアのプーチン首相は15日、大統領選を控えて国民と行ったテレビ会見で、極東のタタール海峡(間宮海峡)に架橋して本土からサハリンへ鉄道を通す計画に関し「(サハリンから)日本までトンネルを建設することも可能で、われわれは検討中だ」と語った。

サハリンへの架橋は経済面で「重要な計画」と指摘。その上で、計画は「シベリア鉄道を日本の貨物で満載することにつながる」と期待感を示し、日ロ間をトンネルでつなげる構想に言及した。(モスクワ時事 2011年12月16日0時30分配信)

)この連載「リーダーの掟」で以前掲載した「シベリア鉄道北海道延伸」私案(プレジデント11年11月14日号)をご記憶だろうか。もし、その記事を覚えている方がいれば、前述のニュースを目にしてさぞかし驚かれたことだろう。私は、その記事のなかで、

私の残りの人生のすべてをかけて実現させようと考えている「飯島プラン」を明かそうと思う。それは、シベリア鉄道を北海道まで延伸させる事業である。もし実現すれば、停滞する日本の経済を大きく変える起爆剤となる。(中略)私は評論家ではない。この「飯島プラン」を机上の空論で終わらせるつもりはまったくない。

と、述べた。プレジデントでこの記事が掲載されるとき、私はプーチン側近に、この記事の内容について事前連絡をしていた。そして、プレジデントの発売後、記事がきわめて大きな反響を呼んだことから、東京で側近とこの計画に関して意見交換をしたのだ。そして、12月15日、プーチンが大統領選挙に向けて行った、きわめて重要なテレビ会見で、この計画への言及があった。プーチンは、慎重に言葉を選びながらも、(インテリジェンス用語で)「打ち返し」をしたのだ。

このモスクワ時事には、詳細が述べられていないが、インターネットサイト「THE VOICE OF RUSSIA」には、テレビ会見のプーチン発言の詳細が掲載されている。

「日本へのトンネルを建設する可能性についても考えることができる(中略)重要かつ良いプロジェクトだ。(プロジェクトの収益性に関して)経済性を計算する必要がある(中略)。われわれがもしそれを現実のものとすれば、シベリア横断鉄道やバム鉄道を本格的に十分利用できるようになる。日本からの荷の積み替えを組織できるし、トンネルを使ってのものも含め、日本への直接輸送もできるからだ。われわれは日本側とこの件について討議している。これは、わが国が持つ中継輸送力利用の可能性を本質的な形で高めるほどの、壮大なプロジェクトである」

TGVはモスクワに。新幹線をパリへ
このテレビ会見が行われた直後、私はパリに向かった。12月18日、フランスの運輸大臣と私は会食をしたのだが、そのときもこのプーチンのテレビ会見が話題になった。フランスの運輸関係者は一様に驚きを見せていたが、運輸大臣とのやりとりが印象に残っている。

「飯島、オレたちのほうが早いぞ」

一瞬、なんのことかよくわからなかったのだが、彼がその言葉に続けて、

「パリとモスクワでは、もうTGV(フランスの新幹線)がダイヤを編成して走っている」

と言ったので合点した。そこで私は、

「では、JRとシベリア鉄道をつなげて、新幹線をパリまで走らせよう」

と言い返した。その後、ベルギーのブリュッセルに飛んで欧州連合の要人と相次いで会食した。そこでの話題もすべてこれだった。

世界中が日本のポテンシャルに期待しているのだ。それは欧州・ロシアだけではない。愛知万博で冷凍マンモスを展示したサハ共和国、ここはダイヤモンドの産地として有名だ。そのサハの要人や、さらにはモンゴルの政府要人からも、直接この計画についての称賛と激励を受けた。

私は、この計画の成功の鍵は、日本政府を通さない形のまま持っていくことに尽きると考えている。ロシアはプーチン、日本は経団連が中心になって構築すること。工事費用は、民間レベルの投資でも可能な範囲に収めることができる。弱体化した日本政治に付き合っていると、100年かかってもできないだろう。お互いのメリットが理解できれば、プーチンが次の大統領の任期の間(最大12年)で、計画は完成すると考えている。

もたもたしていると、中国が目論むカザフスタンへのシベリア鉄道南北延伸計画に先を越されることになるだろう。日本は、ここが踏ん張りどころだ。

ここで、わが国固有の領土たる北方領土の返還がこの計画の最終章であることも付け加えておきたい。

プーチンを悪の権化のように言う反体制派がロシア国内にいるが、その正体は、マフィア上がりの得体の知れない連中ではないだろうか。ソ連崩壊後、無政府状態になり、ロシア国内は新興宗教やマフィアが跋扈した。現在のロシアの「民主化」運動は、ロシアを立て直したプーチンに既得権益を奪われた側が「民主主義」「自由」の名を騙り、攻撃を加えているにすぎない。

天気晴朗なれど波高し!
また、ロシアに対するわが国の歴史的感情も解決しなくてはいけない。明治維新後からお互いの権益がぶつかってきた。日露戦争では、203高地の激戦、バルチック艦隊を破った日本海海戦など、両国の兵隊がたくさん死んだ。さらには太平洋戦争末期のソ連軍満州侵攻、北方領土の不法占拠など、ロシアは、日本に数限りない狼藉を働いてきた。しかし、ロシアとうまく棲み分けながら共存することは本当に不可能なのだろうか。

太平洋戦争で殺戮し合ったアメリカと日本は、戦後、最高の同盟関係を築き上げることができた。同じレベルとまではいかないかもしれないが、信頼関係を醸成し、経済的な相互依存を達成できるのではないだろうか。その先に、北方領土の返還が必ずある。

さて、もう一つ、ロシアと日本を結ぶ計画について述べたい。


(PIXTA=写真)それは海運だ。福井県の敦賀湾を拠点に、ロシアとの貿易を活発化させるのだ。日本海側の港というと新潟港をまず想起する人も多いが、実は、新潟港は海底が浅く大きな船の出入りができない。その点、敦賀湾であれば問題はない。敦賀は、橋下徹大阪市長率いる阪神経済圏、トヨタの名古屋経済圏とも近い。日本海側の玄関として最高の立地だ。敦賀とウラジオストクとを結ぶ海運事業を拡大していきたい。

今年のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)は、ウラジオストクで開かれる。ロシアにとってウラジオストクは、太平洋への玄関口。お世辞にも発展を遂げているとはいえないこの地域を、プーチンはAPECを足がかりに繁栄させていこうとしている。日本は、敦賀湾口の整備・発展を通してプーチンに貸しをつくるのがいい。

いま私は、プーチンに直談判するべく調整中だ。その模様は、この場で読者諸賢に必ずご報告したいと思う。まだまだ公にしていない私の計画の発表とともにお待ちいただければ幸いだ。

これからの日本人には、ユーラシア大陸の一員となる覚悟が求められる。今回述べた計画は、長いスパンで進めてきた私の人生の集大成である。シベリア鉄道とJRを意地でもつないでみせたいと考えている。そのための報酬は、一円も要らない。

天気晴朗なれど波高し。皇国の興廃、この「一線」にあり。

いまは、そんな気持ちだ。
http://president.jp/articles/-/5682






【私のコメント】
本日(2012年3月4日)はロシアの大統領選挙の投開票が行われる。世論調査ではプーチン前大統領・現首相の大統領への返り咲きが確実視されている。このプーチン新大統領が3月1日に北方領土問題の最終解決への意欲を示した。引き分けという言葉を使っており、日露両国が互いの主張で譲歩する形での解決を目指しているようだ。また、1956年の日ソ共同宣言に言及していることから、2島返還という解決策が一つのたたき台になるものと思われる。そして、その直後に行われた国会での答弁書で日本政府は従来の「不法に占拠」という表現を改め、「ロシアに法的根拠のない形で占拠されている」としている。これは何を意味しているのだろうか?

このブログで繰り返し述べてきたことだが、北方領土問題とは日露間の問題では無く日米間の問題である。1953年にベリヤによるスターリン暗殺とその直後のベリヤとカガノビッチがジューコフによって逮捕・処刑される政変が起こりソ連はユダヤ人独裁から解放されてロシアを中心とする国民国家になった。この新生ソ連が日本との友好関係樹立を目指して交渉を行い、両国はシベリアに抑留されていた日本軍人を日本に帰国させ、サンフランシスコ条約で日本が放棄した千島列島に歯舞色丹は含まれないというソ連側の譲歩によって2島返還で合意した。しかし、日本とソ連が友好関係になると米国は日本への影響力が低下してしまう。それを恐れたダレス国防長官は日本政府に対して「2島返還で合意するならば沖縄を返還しないぞ」と脅迫した。事実上米国の軍事占領下にある日本は米国のこの恫喝を拒否することができず、住民が全て日本に脱出した国後択捉よりも100万人近い住民の居住する沖縄を選択したのだ。ただ、ダレスが日本の敵であるかどうかは微妙である。当時のアイゼンハワー大統領は第二次大戦中の欧州戦線の最高司令官であり、太平洋戦線の最高司令官でありその後朝鮮戦争で中国への核攻撃を主張して解任され、その後「第二次大戦は日本にとって自衛戦争であった」と証言したマッカーサーの立場を反映していると思われるからだ。更に、1953年1月のアイゼンハワー大統領の就任は1913年のFRB設立以降に米国政府を事実上支配してきた国際金融資本が一時的に米軍に主導権を奪われたことを意味する。スターリン暗殺は謀反を恐れる国際金融資本の命令でベリヤが実行し、米軍の支援のもとにソ連軍欧州戦線最高司令官であったジューコフがそれに反撃したというのが真相だと思われる。

このような経緯を考えれば、プーチンの主張は全く妥当である。また、日本政府の答弁は、近未来に日本が米軍の支配から脱して独立を回復し、北方領土問題の解決が可能になる見込みがあることを示している。人口もそれほど多くない日本は軍事力では無く国際法に基づいて自国を防衛するのが有益である。2島返還は国際法に基づいておりたたき台として唯一無二の存在である。ただ、日露間の歴史的経緯、日本人の対露感情を考えれば、日本政府が何らかの対価を支払って国後択捉をロシアから買収するのが日露両国にとって有益であると思われる。その対価として最も適切なのは、宗谷海峡トンネルの建設とシベリア鉄道の日本への延伸である。日本とロシアを結ぶ大動脈が通過することでサハリン州の住民には鉄道関連の職場が生まれ、現地住民の返還反対論を抑制することが可能になるだろう。




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Unknown (Unknown)
2012-03-04 08:24:49
日本側の譲歩は天然ガスの購入と今現在北方領土にいるロシア系住民の生活保証でしょう。
返信する
Unknown (princeofwales1941)
2012-03-04 08:49:20
>日本側の譲歩は天然ガスの購入と今現在北方領土にいるロシア系住民の生活保証でしょう。

天然ガスの購入は商取引に過ぎず、日本の譲歩にはなりません。ロシアは日本が買わなければ中国に売るだけです。

北方領土のロシア系住民の生活保証は当然のことです。

ロシアが最も恐れるのは、4000kmの陸上国境を越えて中国人あるいは中国軍がシベリアになだれ込みシベリアが中国の植民地あるいは領土に転落することです。従って、中国人不法移民に依存しない国作りのための日本の政治的・経済的支援と、日露の軍事同盟関係樹立(非公式でよい)が必要です。「中国の脅威に日露両国で対抗する」という言葉でロシア国民を説得すれば、国防に強い関心を持つロシア人は同意するでしょう。
返信する
揉めたら半分こ (Unknown)
2012-03-04 11:08:24
引き分け=面積二等分(3.5島)ではないか?
元々、ラブロフが持ち掛けた案だし、現実的だ。
中露国境確定スキームとして「実績・前例」があるから、ロシア国民も納得しやすいだろう。
世の中の基本は「揉めたら半分こ」だよ。
返信する
ロシア系住民 (Unknown)
2012-03-04 11:14:02
北方領土のロシア系住民の年金、健康保険、教育(在日の朝鮮学校ならぬロシア学校を作るのか?)など、具体案が全然見えない。
返信する
ロシア系の在日 (Unknown)
2012-03-04 11:23:54
日本には既に、厄介な韓国系(70万人)や中国系(100万人)が居住している。
サハリン州のロシア人(50万人)を全て受けいれて、二重国籍を認めても良いだろう。
韓国系や中国系(むしろ、こちらは出ていって欲しいくらいだ)のように、日本を乗っ取ろうとする野心も少ない。
返信する
Unknown (Unknown)
2012-03-04 13:38:33
>宗谷海峡トンネルの建設とシベリア鉄道の日本への延伸

現在でも北海道はロシア人の犯罪が多いのに、そんな事したら完全に乗っ取られます
よ。

そもそもそこまでして北方領土を取り返さなければならない理由はなんですか?

ロシアとは付かず離れずの現在の様な関係が良いのではないでしょうか?
返信する
Unknown (Unknown)
2012-03-04 14:45:17
日本に「アル&ニダ」は不要、替わりにロシア人を入れれば良い。
パチンコを禁止すれば「ニダ」は潰せる。
問題は「アル」だ。こいつらはしぶといから荒療治が必要だ。
返信する
>揉めたら半分こ (princeofwales1941)
2012-03-04 20:15:24
>揉めたら半分こ

私はその案には反対です。日本側の要求は国際法に合致していないので、これを国際法に合致した形に変更することが重要です。また、面積二等分では日本側に領土を奪われたという対露被害感情が残り、日本の対露感情が改善しません。日本としては、シベリア鉄道の延伸工事を全額日本の資金と技術で行う、場合によってはシベリア鉄道の改良工事や高速化も行うといった大きな対価を支払うことで4島全部を返還して貰えるようにロシアを説得するべきです。
返信する
Unkownさんへ (princeofwales1941)
2012-03-04 20:20:11
>現在でも北海道はロシア人の犯罪が多いのに、そんな事したら完全に乗っ取られますよ。

延伸されるシベリア鉄道は主に貨物鉄道であり、旅客の多くは飛行機での移動になると思います。また、サハリン州の人口は50万人程度でたかがしれています。犯罪者の取り締まりについてはロシアの警察と協力すべきでしょう。

>そもそもそこまでして北方領土を取り返さなければならない理由はなんですか?

北方領土返還がないと日本人の対露感情は最悪のままです。しかし、それでは日本とロシアが協力して中国の潜在的脅威に対抗する事が不可能になります。また、人口が少ないシベリアが中国に領有されることは日本が北から中国に包囲されることになり日本の国益に反します。シベリアがロシア領であり続けるように日本はロシアを支援していく必要があるのです。
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Unknown (Unknown)
2012-03-04 20:30:42
中国の脅威について強調されておられる様ですが、このまま中国が拡張路線を続けら
れるとお思いなのでしょうか?
かつてアメリカが日本を脅威としてバッシングしていましたが、現在ではこの有様で
す。
中国もどの時点かで崩壊するのでしょう。
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