2週間ほど前から、目の前に黒い糸くずを丸めたようなものが見えるようになった。
正確に言うと、視界の右端に見える。
視線を変えてもついてくる。
糸くずばかりでなく、黒い点も見える。
そうか、これが噂の飛蚊症か。
飛蚊症については、早い話が老化現象で、夫や友人や、すでに発症している人が周りにいる。
老化現象だから、「来るべきものが来た」という感じで、さほどショックでもない。
自覚症状はなくても、40代から始まっているそうだ。
数年前、目の前に画像の修正に使われるような白いギザギザが現れた時はショックだった。
あの時は、「失明か!」という恐怖で、翌日眼科に駆け込んだ。
結果はただの眼精疲労で拍子抜けだったけれど、
たまたま軽い動脈硬化があることがわかった。
目は、人間の体の中で唯一血管が見える器官なのだそうだ。
おかげで、真面目に内科の定期検診に通い、動脈硬化は悪化していない。
飛蚊症には老化のほかに、深刻な病気が隠れている場合があるというから、
一応病院へ行った。
結果は、思った通り、ただの飛蚊症だった。
ほっ
でも、ごく稀に眼底出血を起こしたりする人もいるから、気を付けるように
ということだった。
要するに、悪化しなければ大丈夫ということらしい。
黒い糸くずや点は、少しずつ減ってくるそうだ。
先生が、「5年ぶりですね」と、おっしゃったけれど、
だいたい5,6年ごとに何かかにかあって、行っているようだ。
初めて行ったときは、開業したばかりで
先生も若くてふさふさの黒髪がうっとうしいほどだった。
その黒髪はほとんど真っ白になっている。
そうよね、25年は経っているものね。
今は近くに新しい眼科ができているけれど、やはりそこへ行ってしまう。
私の目の記録がずっとそこにあると思うと、簡単には変えられない。