娘のところへ行っている間、連日の猛暑で、どこにも出かけたくなかった。
「でも、せっかく東京まで来たのに勿体ないじゃない」と娘が言うので、
久しぶりに弥生美術館へ行ってみた。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
弥生美術館はもともとは高畠華宵の作品を展示するために作られたそうだが、
大正、昭和の挿絵画家たちの作品も展示している。
隣には竹久夢二美術館があって、こちらは夢二の作品を集めてある。
ちょうど弥生美術館のほうで「村上芳正展」が開催中だという。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
村上芳正さんという名は存じ上げなかったけれど、ネットで調べてみたら
絵には見た覚えがあった。かなりメジャーな方だ。
猛暑の東京は、北国育ちの私には余りに辛い。
根津駅から、ゆるい上り坂を10分ほど歩いただけで精も根も尽き果てる。
日傘をさしていても汗がだらだら、髪は額に張り付き、全身汗でびっしょりだ。
でも道行く人は、意外と涼しい顔の人が多い。
娘にそう言うと、「そうなんだよね~、東京の人って。慣れって凄いよね~」と、いう返事。
そうか、やっぱり慣れなんだ、なんとなく納得する。
でもそうなるのに何年かかるのかしら・・・
ただただ汗だくになりながら歩いて行くと、
間もなく、住宅街の中に品よく建っている弥生美術館に着いた。
とりあえずチケットを買って、隣接している「カフェ港屋」へ。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/
アイスコーヒーで一息ついて、少し涼しい気分になってから見学しようというわけだ。
先にチケットを買ったのは、チケットを見せるとコーヒー代が100円引きになるから。
2階の窓から美術館の玄関辺りを眺めていると、何と、団体さんがやって来た。
かなり年配の団体さんで、40人以上いたと思う。
弥生美術館に団体客、なんとなく似合わないような気がするけれど、
年代を考えてみると、展示されている作品と合っているかな。
女の子なら高畠華宵、中原淳一、男の子なら 伊藤彦造、etc、テレビのない時代に
子供時代を送った人は、こういった画家さんたちの絵本や子供向け雑誌で育ったのだろうと思う。
私はもう少し後の時代だけれど、子供時代に読んで好きだった本の挿絵は
高畠華宵が多かった。もちろん、大人になってわかったことだ。
小さな美術館だから、団体さんたちとぶつからないよう、30分ほど待って入館した。
皆さんすでにあらかた見学し終わって、売店の辺りにたむろしていた。
そこをすり抜けて、「村上芳正展」へ。
「家畜人ヤプー」の装丁と挿絵がメインだった。
「家畜人ヤプー」は、戦後最大の奇書と呼ばれているそうで、
発行当時、30年くらい前だろうか、作者不明ということもあって、随分と話題になっていた。
その頃、どういう状況でだか覚えていないけれど、たぶん本屋さんで立ち読みでもしたのだろう、
2~3ページ読んで、凡人の私はついて行けなくなった。
挿絵の印象もない。
今回の村上さんの絵は素敵だった。
でも、残念なことに細かい部分が多くて老眼の私にはよくわからない。
眼鏡をかけると更にぼやけてわからない。
驚いたのは、村上さんと、やはり後に 「家畜人ヤプー」の装丁を手掛けられた宇野亜喜良氏との
トークショーが9月に企画されていることだった。
年表によると、村上さんはたしか90歳を過ぎている。
宇野亜喜良さんは80歳くらいかしら。
失礼ながら、スゴいトークショーになりそうだ。
札幌でやってくれるなら行ってみたいけれど・・・残念だわ。
最後に高畠華宵と竹久夢二の常設展を見ると、気楽に眺められてほっとした気分になった。
帰りに、夢二がデザインの模様の扇子と、母へのお土産にハンカチを買った。
そういえば、前に来た時には扇子と同じ模様のポーチを買ったんだっけ。
私、この模様、好きなのかしら