最終日はフリーだ。
特にどこかへ行きたいということもなかったので、
最近できたという巨大マーケット、「アジアティーク ザ リバーフロント」へ行こうということになった。
最近行ってきた息子も「よかったよ」と言っていた。
水上バスが便利とガイドブックに書いてあったので、BTSで最寄りのサパーンタクシン駅まで行く。
降りて少し歩くと、サトーン船着き場だ。
チケット売りのおじさんが見えたので、そこで尋ねると、
チケットは250バーツだという。
え、高い!と思ったけれど、おじさんにせかせられて言われるままに払ってしまった。
そして連れて行かれて一艘のボートへ乗せられた。
船長さんは細身ながらも逞しいおばさん。
カメラを向けると、にっこり笑顔をつくってくれた。
乗客は私たち二人だけ。
このあたりでおかしいと思うべきだったのだけれど・・・
エンジン音を響かせて船は走る。
5分かそこらで着くはずなのに、一向に着かない。
頭の中には???がチカチカしていたけれど、まだ、いつか着くと信じていた。
そのうち右手にシャングリラ、マンダリンとタイの有名ホテルが見えては通り過ぎる。
そこで、やっと気づいた。
逆方向だ!
どうしよう、方向転換してもらおうか。
といっても、エンジン音が大き過ぎて、とても話ができる状態じゃない。
でも、もうはっきりした。
私たちは観光用の遊覧ボート、しかも白タクのようなボートに乗ってしまったのだと思う。
だいたい水上バスで250バーツ(750円くらい)はおかしいよね。
こうなったら最後まで行くしかないわ。
1時間近くも乗っただろうか、ボートは目的地に着いた。
私たちの本来の目的地ではないけれど。
左に王宮、右にワットポー(暁の寺院)、どちらでも好きなほうへ降ろしてくれると言う。
そこで第二の間違い。左の王宮へ降りた。
降りたと同時に、王宮へのチケットを買う羽目になった。
おととい来たのよね~と言っても、もう遅い。
王宮内をうろうろした挙句、案内かかりのおじさんに地図を広げて尋ねてみたところ、
「アジアティーク ザ リバーフロント」へ行くには、船で川を渡るしかないとか。
やれやれ、せめてワットポー側に降りていたら良かったのに。
今度は15バーツで小さな渡し船で対岸に渡る。
そこから、また水上バスにのる。
チケットは15バーツ、もしかしてどこまで乗っても15バーツなのかしら?
学生さんか、若い女性がオレンジ色の旗を立てたボートに乗るようにと教えてくれた。
観光船も、水上バスも、すべての船が同じ船着き場に停まるのかも知れない。
少し待つと、オレンジ色の旗を立てた船がやって来た。
30人くらいは乗れそうな船で、中はほんとうにバスのようだ。
その女性が、「同じ方向に行くから降りるところを教えてあげる」と言ってくれたので、
安心して乗っていた。
やがて、彼女のおかげで無事下船。
本来の目的地「アジアティーク ザ リバーフロント」目指して
地図に見ながら歩き始めた。
ところが、そう遠くないはずなのに、なかなかつかない。
大きなショッピングバッグを持った人々にすれ違いそうなものなのに、
そもそも通行人自体がまばらにしかいない。
そんなことってある?
今話題のニュースポットで、観光客が押し寄せているはずなのだ。
おかしい!
そこで、地元のお店の人に訊いてみたら、英語が殆ど通じない。
意思疎通にかなり苦労したけれど、通りすがりの欧米人らしき年配紳士の加勢もあって
そのマーケットはナイトマーケットで、夜しかやっていないことが判明した。
は~~、疲れた。
あとで、トラベルガイドを読んでみたら、ナイトマーケットと、ちゃんと書いてある。
何故先に読まないの?
自業自得だ。
その通りすがりの紳士、私の勘ではオランダ人(笑)が、これからどうするのか?と訊いてくる。
「私たちは今夜日本へ帰るので、4時までにホテルへ戻らなければならないの。
だから、ホテルの近くまで行って、少し買い物をして戻ります」と答えた。
実は6時までに戻れば良かったのだけれど、その紳士、
街を案内したそうな雰囲気だったので、時間がないことにしたかった。
別に彼が怪しかったわけではないのよ。
そのあたりの町並みに魅力を感じられなくて、面倒くさかっただけ。
「それじゃ、ついでだから近くの駅まで案内するよ」
あ、いえ、案内してくれなくても・・・
まあいいわ、というわけで、三人で来た道を戻る。
「ここは古くていい街だよ」
そうなんだろうな~、きっと。
彼は住いは別の地域だけれど、この辺には時々仕事で来るそうだ。
別れ際に、「一つお奨めするとしたら、リバークルーズだね。きっと良い思い出になるよ」と、
アドバイスをしてくれた。
つい笑ってしまう私たち。
"We have already done it on this morning.
"You have done it? This morning?"
間違えて乗ってしまったのだと言ったら、丸い目を更に丸くする。
でも、彼のリアクションが何となく違うような気がして、後でよく考えてみたら、
彼はランチのついた本格的なリバークルーズのことを言ったのかも知れない。
それで、this morning が不思議だったのじゃないだろうか。
もっとも、その時12時は過ぎていたので、ランチクルーズに間に合ったのかは疑問だけれど。
その親切な紳士と別れてから、M子さんが、ガイドブックを見ながら
「アフタヌーンティーをしましょうよ」と提案した。
近くにあるマンダリンオリエンタルホテルのアフタヌーンティーが割と安いのだそうだ。
1700バーツと聞いて、「いいわね」と答えたけれど、ちょっと待って、
何と、5000円以上じゃない!
一般に、本格的アフタヌーンティーは高いもので、日本でも3000円くらいはする。
でも、マンダリンオリエンタルとはいえ、サンドイッチやケーキに5000円はね~
クロテッドクリームで食べるスコーンは魅力だけど・・・
タイ風味かもしれないし・・・
とにかく、マンダリンオリエンタルホテルまで行ってみた。
さすが5つ星ホテル、古さは感じさせるが、豪華な花があちこちに飾られて、いかにも高級。
ロビーはあまり人気がなかったけれど、カメラを持ち出す雰囲気じゃない。
アフタヌーンティーは2階のレストランらしかった。
でも、私たち二人とも、なんとなくその気がなくなっていた。
私はもともと乗り気じゃなかったし、M子さんもホテルの雰囲気が想像とは違っていたらしい。
とにかく私たちが泊まっているホテルの近くまで帰ることにした。
今までの時間、何だったのかな~
アソーク駅について、ホッ。
昼食もまだだったので、昼夜兼ねて、何度も通った「ターミナル21」で食べることにした。
M子さんはラーメン、私はおうどん、日本人だな~。
ホテルに帰って軽くシャワー、荷造りしたらちょうどチェックアウトの6時になった。
お迎えは8時15分なので、それまでスーツケースを預かってもらう。
ホテルの敷地内にある祭壇。
氏神様というところかしらね。
この時のためにとっておいたウエルカムドリンクチケットを使って
一階のバーでオレンジジュースを いただいた。
フカフカのソファでクッションにうずまって、ロビーを行き交う人たちを眺めながら、
ガイドさんの車を待った。
あっという間の4日間、明日の朝は札幌だ。