1週間くらい前、お友達で同僚だったOさんから電話がかかってきた。
「変なこと聞くけど、いい?」
「良いよ、何?」と私。
でも、別に変なことでもない、私の母の葬儀費用のことだった。
定期預金だか何だかが満期になったので、それで、葬儀費用用の保険に入ろうと思うけれど、
幾らくらいはいったらいいかわからないので、母の費用を参考にしたいというのだった。
えええ~~と唖然とした私。
なぜかといえば、Oさんは、私とほぼ同時期にパートとして入社、
辞めたのも彼女のほうが半年ほど早いだけ、
その間の自分の収入はすべて預金していた、という人なのだ。
ほとんど海外旅行に使っていた私と大違い。
その上、ご主人は定年後もお給料が減額されることなく再雇用されているというラッキーさ。
聞いたことはないけれど、預金通帳の額は、おそらく我が家の2倍か3倍かというお宅だ。
それに、自分の時は家族葬だよね、といつも言っている。
それが、葬儀費用の心配とは。
取りあえず100万あれば大丈夫だよ、と言いながらも、
呆れ顔で、どうして、そんな必要があるのー?
電話だったから、顔は見えないけれど、声で飽きれていることはわかっただろう。
「え、だって、子供に負担をかけたくないから・・・」
「あなた、預金通帳をだいて棺桶に入るの?子供たちに残すんでしょ?
それなら、そこから出してもらえばいいじゃない」
「それはそうだけど・・・、みんなお葬式代って、そうしてるんじゃないの?」
完全に保険会社のCMに毒されている。
「みんな、お葬式の費用位残したいよね」という、あれだ。
だけど、保険金が出るには2週間くらいはかかる。
葬儀費用を払う時には間に合わないのよ。
「ええ、そうなの!」とOさん。
私は、お葬式は家族葬、お墓もいらない。
多少のお金は残ると思うから、費用はそこから出していいようにして、と言ってある。
取りあえず、立替払いはしてもらわなければならないけどね。
子供たちの経済状態でそれができそうもないなら、私が危なくなったら引き出しなさいと、
前もってキャッシュカードを渡しておくという手もある。
とにかく、年金生活で葬儀費用のための保険なんて冗談じゃないわと思う。
もちろん、Oさんのお宅が、葬儀費用も残せないような経済状態なら、
保険に入ったほうが良い、いや、入るべきだと思うけど。
全然そうじゃないのだから、満期になったお金は、Oさんとご主人のために使ったほうがいいと
私は思う。
昨日、Oさんとお茶をした。
会った途端、「やめたよ~」と、Oさん。
「考えたら珊瑚さんの言う通りだよ~、CMにのせられるとこだったわ」と、笑う。
そして、「婦人部の部長になっちゃったから、少しお洒落にをすることにしたわ 」
そうよそうよ、その意気よ。
健康寿命は長くない、
楽しまなくちゃ。