母を伯母のところへ送り届けた後、私達の宿泊する朱鞠内湖へ向かった。
朱鞠内湖は、水力発電用ダムのため、3本の川を一つに集めてせき止めて作った人造湖だ。
そのせいか、自然の湖、摩周湖や阿寒湖などに比べると、知名度はぐっと落ちる。
でも、複雑な地形がたくさんの島を作って、知らなければ、とても人造湖とは思えない景色だ。
平日だからだろう、観光客もほとんどいない。
釣りをしていた人たちも帰り支度をしていた。
遊覧船が見えたのでいってみると、船長さんが所在無さげに文庫本を読んでいた。
「今日はお休みですか?」
と、声をかけてみると、
「いえいえ、やってますよ」
と言う返事が帰ってきた。
「でも、二人じゃ船はだせないでしょうね~」
ときくと、
「何人でも出しますよ」
と、言うので、乗ることにした。
20人くらいは乗れそうな遊覧船を貸切だ。
その日は、雨こそ降っていないものの、どんよりとした曇り空だった。
それでも、目の前に開ける幻想的な景色に飽きることがない。
まるで、「天空の城ラピュタ」の空に浮かぶお城。
千と千尋の神隠しで、千と顔無しの乗ったバスが走った一本道。
神様がお出ましになりそうな森。
不思議な世界に迷い込んだよう。
夕闇を運ぶ白い馬。
お天気が良かったら、素晴らしい夕焼けが見られただろうな。
湖水に一番近いレークハウスという、宿泊施設に予約していた。
夕食はダッチオーブン料理だというので、楽しみにしていた。
大きな鉄鍋のふたを開けると、鶏が丸々1羽。
ポテト、人参、タマネギ、ピーマンが取り囲んでいる。
ああ、美味しそう~~
それにフランスの何とかいうお塩を振りかけるだけ。
ほんとうに美味しかった
ずっと禁ビールしていたのだけれど、つい飲んでしまった
ま、いいか
伯母を訪ねるために仕方なく訪れた朱鞠内湖だったけれど、良い意味で予想を大きく外れた。
ほんとうに素晴らしくて、来年母を連れて伯母を訪ねるのが、私達もとても楽しみになった。