先日案内させていただいたのは、某県から修学旅行に来ていた高校生の一団だった。
総勢約30名。
対して、ガイドの方も10名以上が集まっていた。
2、3名に一人でちょうどよいと思ったら、4人グループになっているとのことで、
ガイドが余ってしまった。
新米の私は余り組だったけれど、せっかくなので、
ベテランの補助につかせていただいた。
相手が高校生となれば、何を話しても反応はないだろうと予想していた。
相槌を打たなきゃガイドさんに悪いなんて気遣いはないだろう。
高校生の頃って、そういうものよ。それで普通。
でも、その中でしゃべり続けるってけっこう辛そう。
それをベテランはどう乗り切るか、お手本をみせていただきたかった。
始まってみると、さすがベテランだ。
相手がどうだろうと、悠々とマイペースで進めて行く。
予想通り反応がないとはいえ、彼らはとてもお行儀が良い。
私語もなく、ちゃんと聞いている・・・ように見える。
オータムフェストの会場に足を踏み入れた時でさえ、後でラーメン食べようと、
小さな声でささやきあっていた程度だ。
ところが、そんな彼らが大興奮した場面があった。
それは、私たちにとってはあまりにも意外なもの。
観光馬車が、ちょうどお客さんを載せて出発しようというところに行き合わせた時、
一人の子が突然声を上げた。
「あれ何?生きてる?」
何のことをいっているのかわからず、
「あれって?」
「ほら、あれ、あれ」
指さす先は、観光馬車をひく馬だ。
一瞬、馬という言葉が出てこなかったらしい。
「生きてるよ、これからお客さんを乗せて街を回るの、ギンタ2世っていうんだよ」
それを聞くなり大興奮。
「えええ~本物なの!スゲー!」
「ほんとだ、スゲー!」
「スゲー!スゲー!」
今どきの高校生らしく、ボキャ不足は仕方がない。
とにかくこちらがビックリするほどの大興奮。
よほど嬉しかったのだろう、目がキラキラだ。
なんとも微笑ましい。
ここぞとばかりに、ベテランガイドさんが銀太2世について語っているうちに
お客さんを乗せた馬車は出発し、彼らの目の前を通り過ぎて行った。
名残惜し気に見送る彼ら、一番の土産話は観光馬車を引く銀太2世のことかもね。
でも、確かに、銀太2世は、大きくて逞しいのに、
王子様が乗っても恥ずかしくないくらい
きれいな白馬なのだ。
そして、考えてみれば、最も交通量の多い中心街を
行きかう車をものともせず、お客様を乗せて闊歩しているのだ。
それって、けっこうスゴイことかも知れない。
見慣れていてなんとも思わなかったけれど、
少年たちのおかげで、見直しちゃったわ。
さて、ガイド終了後、彼らはオータムフェストへと、速攻で去って行った。
「お店はたくさんあるから、よく見て吟味してね」とアドバイスしておいたけれど、
美味しいラーメンが食べられたかしら。