19日は母の一周忌だった。
といっても、弟の都合で法要は16日に行った。
参列者は、弟夫婦と一人息子、私たち夫婦とで5人だけ。
弟のお嫁さんのSちゃんの実家が料理屋さんを営んでいるので、
そこのお座敷をお借りしてこじんまりと執り行った。
滞りなく法要も済み、お坊さんにお帰り頂いた後、
Sさんのご両親の心尽くしのお料理をいただきながら、
母の思い出など語り合っていたら、「そう言えば」と弟が言いだした。
法要の一週間ほど前、母の位牌を何気なく手に取って見ると、命日が10日に見える。
あれ、へんだなと思ってよくよく見ると、やっぱり10日になっている。
大変だ!
位牌をお願いしたのは、1年前に葬儀を取り行ってもらった業者。
急いで連絡を取ると、平謝りで、大急ぎで新しく作り直して届けてくれたのだそうだ。
「へ~、そんなことあるんだ~、それにしても、良く気づいたね」
「虫の知らせだったのかな、何となく見たんだよね」
「でも、出来上がったら見るでしょ、普通」
「いや、意外と見ないもんだよ、信じてるもん」
「とにかく良かったよ、命日の間違った位牌じゃなくて」
なんて、4人で口々に言っていたら、弟が、
「あ、でも魂入れはどうなるんだろう?
魂入れしてもらったのは、間違ってた位牌ってことになるよね」
「そ、そう・・・だね~」と、私。
「古い位牌、もう、処分しちゃってるよね・・・」とSちゃん。
「魂はどうなったんだ?」と弟。
・・・・・
一瞬、全員無言になった。
すると、 夫が、「でも、本当の魂はお墓にいるんじゃないの、お盆に帰ってくるっていうんだから」
「そうそう、そうだよね、お墓にいるんだもん、大丈夫じゃない」と、元気づいた私。
「そうだな、そういうことだよなと」と弟。
お坊さんにお参りしていただいている間に思いだせば良いものを、と心の中で
思ったが、面倒なことを全部引き受けて手配してくれた弟を責められない。
私が思うに、お仏壇の中の位牌は間違っていたのだから、
きっと母は、位牌に入らず、弟が間違いに気づくのを待っていたんじゃないだろうか。
一周忌が近づいて、弟が位牌を手に取ったのは、偶然じゃなかったのかも。
今度は間違いのないお位牌、まあ、良かったんじゃないかしら。
19日、本当の命日にお墓参りに行ってきた私。
母に、「ごめん、母さん、自力で入ってね」と、お願いしてきた。