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韓国医療の崩壊が止まらない…ドラマ『トラウマコード』が突きつける絶望的なリアル。
新たな傑作韓国ドラマが誕生した。『トラウマコード』が面白い。
本作は、破天荒な外科医ペク・カンヒョクが周囲を巻き込みながら、“お荷物”だった大学病院の重傷外傷センターを再建させていくという物語。主人公をチュ・ジフンが担当し、チュ・ヨンウ、ハヨンなどの期待の若手、ユン・ギョンホなど個性豊かな俳優が脇を固める。
全8話と短く、恋愛要素も省かれているので、普段韓国ドラマを見ないという男性にもオススメだ。
『トラウマコード』だが、韓国では単なるドラマとして楽しめない人も多いと思われる。というのも、劇中で描かれた患者の“たらいまわし”は、実際に韓国で起きていることだからだ。
まず前提として、韓国は現在、深刻な医療危機に直面している。
そもそも韓国は医師の数が少ない。2021年のデータによると、人口1000人あたりの医師数は2.6人、看護師数は4.6人で、OECD加盟国の平均である医師数3.7人、看護師数8.4人を遥かに下回る。特に、外科、外傷など命にかかわる分野の医師が不足している。地域格差も酷く、首都圏のソウルに一極集中している。
理由は、美容整形など命に関わらない分野の方が高報酬だからだ。また、命にかかわることから訴訟リスクが高いことも理由の一つとして挙げられる。
大学病院では救急医療の負担が極めて大きく、重傷外傷センターは採算が合わないため、多くの病院が運営を敬遠する傾向にある。その結果、緊急を要する患者が受け入れを拒否される事態が頻繁に発生するのだ。
このような状況を打破すべく、政府は2024年2月に医学部増員政策を実施することを発表。2025年度の入試から大学医学部の定員を2000人増やすことで、未来の医師数の増加を狙った。だが、これに医師団体が反発。低賃金・激務の専攻医(研修医)たちがストライキを決行し、集団辞職すると、専門医たちも政府の対応に反発し、声明を発表するなど抗議の意思を示した。政府が待遇や報酬の引き上げではなく、単純な医師数の増加を掲げたことに対する抵抗だった。医師の卵である医大生たちは休学し、1年が経った現在も大多数の医大生が休学を続けている。
こうした背景があるため、『トラウマコード』のリアルな描写は、多くの韓国視聴者にとって単なるフィクションではなく、現実の問題と重なって見えるのだ。また海外の視聴者にとっても、人命にかかわる医療崩壊は決して他人ごとではなく映るのだろう。そのため、ドラマが描くストーリーが社会問題への関心を高めるきっかけとなっている。
このように、『トラウマコード』は単なるエンタメ作品ではなく、韓国社会の医療問題をしっかりと描いた作品でもある。作者が現役医師(耳鼻咽喉科)であることも、作品に説得力を与える要素となっている。
ただ、医学部定員増員を主導した尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率が低迷しており、医療改革の行方にも不透明感が漂っている。
このような動乱の時代に登場した『トラウマコード』が、韓国社会にどのような影響を与えるのか、今後の展開を注視したい。 (文=スポーツソウル日本版編集部X)
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