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僕の彼女はサイボーグ

2008-06-02 | 劇場映画れびゅー
今度の“彼女”は、チョン・ジヒョンから綾瀬はるかに交代、しかも未来から来たサイボーグという設定。
どことなく『猟奇的な彼女』の劇中劇を思い出すSFな設定に、そういやあの劇中劇を映画化する話や、『猟奇的な彼女2』の話はどうなったんだろうなんて思いながら、今度こそはと期待して『僕の彼女はサイボーグ』を観てきました。
★★

僕の彼女を紹介します』にも増して、今回もクァク・ジェヨン監督はヤリ過ぎてしまった。
猟奇的な彼女 ディレクターズカット版』にガッカリした“蛇足”感が映画全体に漂い、全てのシークエンスがダラダラと長くてテンポが変。
この監督の映画は、時間や予算の制約で追い詰めたり、編集を別人に任せて思い切った事をする方が、秀作に仕上がる思うんですよねぇ。
猟奇的な彼女 劇場版』と、『ラブストーリー』は、何度観てもその度に面白さが増す映画だったけど、あれは描きすぎないテンポの速さで感情を何転もさせ、翻弄させられるところが良かった訳だし。

今回は韓国を離れて日本での映画作り。
スタッフもキャストも、ほぼ全員日本の映画人の中での撮影だったので、そういう点で何かハンデが有ったというのなら仕方が無いで済むんだろうが、根本的にそうじゃないところでの印象が酷かった。

さてさて、愚痴はこの位にして、映画の中身は破綻してましたが、素材はやっぱり良かったので、誰かイランとこ削りまくって再編集バージョン作ってくれないかなぁ…、ってまた愚痴ってるし(汗)
もう、今回は愚痴ばっかです。

綾瀬はるかの“彼女”は、これだけを取って見ると結構面白い。
“彼女”を冠するキャラクターなので、チョン・ジヒョンと比べてしまうと物足りないですが、綾瀬はるかのどこか抜けた浮世離れした整った顔に猟奇的な面が加わると、意外な魅力が発見できる。
クァク・ジェヨンは女性をキュートに撮らせると、きっと世界一なんじゃないかな、タイプの女優に限るんだろうけど。
チョン・ジヒョンの大ファンなので、彼女が“彼女”役じゃなくなったのは寂しいし残念だけど、クァク・ジェヨンとのコンビは回を重ねるごとに劣化してたから、もう充分。

一方の小出恵介は、キャラクター作りが『猟奇的な彼女』でのチャ・テヒョンのコピー。
表情なんか、まんまキョヌです。
はじめこそ「お?やるね」なんてニヤニヤして観てたんだけど、なんかエスカレートして変なヤツに。
途中からこれはアリなのか、それとも…?と微妙な男になってました。
良い俳優なのに、これまでにどんな映画やドラマで観た小出恵介よりも微妙。

レビューを書く前、久しぶりに『猟奇的な彼女』を観直してみました。
やっぱりあの映画は良いわ、全体の構成と言い、台詞の間と言いスキが無い。
何より、主人公と一緒に、観てる側も感情を弄ばれてる感覚に囚われる変化球の連続が、どこで切っても途中から観なおせる。
で、最後は毎回ホロっと来るんよねぇ。

あ、この記事で書いてる『猟奇的な彼女』っつうのは、韓国の映画版のことであって、断じて田中麗奈をもったいない使い方で潰してる日本のテレビドラマ版(ショボ過ぎw)のことじゃないですよ。

ネタバレ
最初に現れた“彼女”と、1年後に現れた“彼女”が厳密に言えば別人だったというオチ。
これは上手くやったら素晴らしい映画になる着想だったと思うんですよね、上手くやったら。
はじめから明らかに1年後の彼女の方には感情の無い見せ方はしていて、でも台詞や行動は共通していて、一体どういうことなのかとずっと想像しながら観れたのはこの映画の狙い通り。
後で思い返せば、1年後の登場場面からタイトルが出て来たり、1年後だけいかにも生身の人間じゃないタイムスリップ(サイボーグの名前からして『T-2』パロディだけどw)を描いていたり、この辺りは凄くクオリティーが高く丁寧に情報が詰め込んである。

でも、中盤(具体的には過去の村に行く辺り)からオチに至るまでのテンポの悪さにウンザリ。
ウンザリしつつも、中途半端に“サイボーグ”である“彼女”に対して“個人”として感情移入した後、急展開で時間が進み、突拍子も無く“人間”の彼女が降って沸いてきて摩り替わったって、別人に感情移入もなにもあったもんじゃない。
その後の“彼女”の視点からの過去の描き方は、急に元のペースに戻って「また観せられるの?」てな具合で、「もっとコンパクトにせいよ」って。
上手くやれば、サイコーに良い映画に成り得るのに。

そう言えばロトクジの話はどうなったんだ?当選に喜ぶ場面なんて無かったけど。
つか、時間軸を戻そうとする力でジローに危険が迫るなんて言ってた件はどうなったの?大地震の発生がそれ?
いくら平和な時期に人を救おうと、ジローのせいで大地震が起きたんだとしたら酷くない?
ジローのせいじゃなくて元々起きるべくして起きた地震だとしたら、この時こそ事前に勧告するなりでもっと救うべきでは?
つか地震乗り切ってもジローには一生危険が付きまとうでしょうに、ボディーガード居なくなってこの先大丈夫なの?
なんていう考えが浮かぶ間も無いくらいに、チャッチャとテンポ良く描いてくれたらねぇ。

観終わって、鶏が先か卵が先か的なところを悩む事になるかと思いきや、結果惜しむばかりで納得のいかない事がどんどん浮かんでくる。

あ!
そうだ。
彼女との日々の部分を細かく編集するよりのは面倒だし技術が要るので、イグアナ食った後から、大地震が発生する直前までを全部カットすれば、台詞の矛盾も全部吹っ飛んでそれなりの映画になるのではw

韓国と日本の文化の違いからくるものなのか、それともオタク青年を意識したのか、途中から感情の無いサイボーグを「僕の彼女」と言い出すジローの感覚に違和感を感じまくり。
つか、アキバ系なら“嫁”と言え、それはそれで怖い映画になるけど、タイトルも『僕の嫁はサイボーグ』でいいじゃないかw
そうすれば、略しても『僕カノ』と被らず、『僕ヨメ』……誰も観ないなw

きっとね、この映画って本当は日本の『猟奇的な彼女』ファンに向けた監督からのプレゼントみたいな意味合いも有ったんだと思うんですよ。
デイジー』では脚本だけ書いて香港に丸投げしてたのに、今回は本人が監督してるし。
チョン・ジヒョンがヒロインの時のようなセルフパロディーは無くても、『猟奇的な彼女』や『僕の彼女を紹介します』を彷彿とする場面がたくさん有ったし。
何より日本を舞台に日本の俳優を使って撮ってくれたし。
なだけに、残念度が半端じゃない。

『猟奇的な彼女2』はどんな映画になってしまうんだろう…。
期待よりも、嫌な予感がw



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