11月の舞台三本目は黒柳徹子。
一度観てみたかったんです。
“女優黒柳徹子”の姿を。
今年の“月に一本は観劇”という訳のわからん目標が無ければ、一生観る機会が無かったかもしれません。
正確なタイトルは黒柳徹子主演海外コメディ第21作『リグレッツ・オンリー ~万障お繰り合わせの上お越しください~』。
俺くらいの世代だと、黒柳徹子が女優らしい活動をしている姿を目にした事はほぼ無くて、司会者としての姿しか知らないのですが、このシリーズは毎年恒例のもので実に21回目。
毎年舞台をやっているのは知っていましたが、こんなに長くシリーズとして続けてられた事は知りませんでした。ちょっと反省。
拝見した感想、素直にカッコいい。
実は、昨年たまたま東京で遊んでた時に日本橋高島屋で開催されていた“徹子の部屋物語”展(後日難波の高島屋でも開催されていてショック、そーれりぽーとのプロフィール写真はその際に撮った合成写真です)にも立ち寄ったくらいに好きな芸能人だったのですが、好きな芸能人から大好きな女優さんに変りました。
こんな一面を普段は表に出さずに活動してるなんてもったいない。
近頃、テレビでは視聴者を笑わせるプロフェッショナルではなくて、間違えたら恥なはずの一般教養を問題にしたクイズ番組で、自分のアフォさ加減を晒して笑われて喜んでいる中身空っぽのタレントが多いけど、あんなの見てても自分の質が下がるだけなので、俺は見る気が起きません。
アフォ見て笑って優越感に浸るのってどう?上見て生きなきゃ。
彼女が“世界ふしぎ発見!”に出演しているのは、いろんな知識を身に付けたい目的が先にあって、収録前に図書館などでテーマに沿った勉強してから挑んでるっつうから凄いよね。(本当かどうかは知らないけどw)
そう思ってあのクイズ番組を見ると、低俗なクイズ番組とは違う何かが見えてくる気がする。
浮世離れした感の有る人だから、テレビでは数々の勘違いやせっかちな発言が面白い印象な人だけど、プロフェッショナルとしての努力は惜しまない人だったんだなぁ。
劇場においてもポスターやパンフレットで精力的にユニセフのPRもしてられるし、奥の深い人だと改めて実感。
舞台でも喋る喋る。
台詞の発音も声量も、ご高齢とは思えない程見事。
ひょっとしたら体力的な関係で上演時間の短い芝居を選んでるのかな?なんて思ってましたが、休憩も含めて2時間半とハードルは決して低くない。
この間、ヒロインとしてずっと出っ放しなのには驚き。
でも、如何せん聞き取りづらい音がある。
数年前に変えた歯のせいで、発音を端折っている音が有るんですよね。
もうちょっと良い歯にすれば良いのにと、以前より大きくなった歯をテレビで見ていていつも思っていたんですけど、舞台になると余計顕著になる。
マンハッタン社交界の女王“ティビー”という役。
黒柳徹子の演じる社交界の女王は、年齢的に映画『ファースト・ワイフ・クラブ』でマギー・スミスが演じていたガニラの趣かとも期待していたのですが、清楚さよりも彼女を地で行く早口でお転婆な感じ。
もうちょっと歯切れの良い台詞回しだともっと楽しめたのに、細かい発音がしづらそうなのが気になりました。
他のキャストは、石田ひかり、古谷一行、大森博史、新橋耐子、加藤美津子。
石田ひかりは、まあまあ相変わらずとして、他のキャストの方々は、安心して観れる重鎮ばかり。
原作は、ポール・ラドニックのブロードウェイ上演作品。
演出は、近年黒柳徹子主演海外コメディをずっと手がけている高橋昌也。
この先ネタバレです。
NYの高級アパートに暮らすセレブな弁護士一家と、家族ぐるみで付き合いのあるカリスマファッションデザイナーの男性。
彼は最近ゲイのパートナーを失ったばかり。
ある日、弁護士の娘の結婚が決まり、同時に父親には大統領から一本の電話が。
電話の内容は、“結婚制度についての法改正”を彼に手伝って欲しいというもの。
浮かれた父と娘は、デザイナーに対して意図せず屈辱的な質問を浴びせかけ、相手の心情を気にもとめずに出かけてしまう。
その時、弁護士の妻であり、デザイナーの親友である事を自負するディビーは…。
アメリカの大都市からゲイが居なくなったらどうなるのかという後半の展開も見所ですが、本来この舞台で魅力的なのはブロードウェイやハリウッドのゲイネタを散りばめた台詞。
好きな人には存分に楽しめるような名前があちこちで登場するので、俺は楽しめたのですが、年齢層高目の客層で、どれだけの人が理解しながら聞いていたのかはちょっと疑問。
原作の脚本をそのまま日本語に翻訳しただけな感じなので、もうちょっとご高齢の方や、ブロードウェイやハリウッドの事情に詳しくない方に配慮をしてあげても良かったのでは?と感じました。
一応、パンフレットにはざっとネタ元の説明が書かれてはいますが、舞台を観終わった後に読んで意味を知っても笑えないですよねぇ。
そのキーワードがどこで使われていたのかなんて、聞き流してるから覚えてないでしょうし。
非常に魅力的な脚本を書いたポール・ラドニックは、自身がゲイなのでこういう話を書くのには嫌味が無いし、彼が書いた映画のタイトルを見てもデリケートな問題をジョークにして笑い飛ばすセンスに長けているのが見て取れる。
大森博史演じるハンクが、男と男の関係について生々しく語っているシーンが前半では特に面白い。
ただ、あれが全てだと言い切るのもおかしいと思いますが。
テレビをつければいくらでもゲイ能人が出ているのに、“オネェキャラ”なんてオブラートに包んだ表現で誤魔化し(キャラって必要?)、オネェじゃないゲイが誤解を受けても仕方の無い、テレビでは未だにキワモノ扱いしかされていないこの日本で、こんな舞台をやろうと思うなんて。
しかも、ゲイに対しての理解がまだまだ遅れていそうな年齢層が大半の場でやるなんて、なんという思い切った発想。
その点については凄いと思う。
知らずに観た人はびっくりしたんじゃないでしょうか。
日本で、もしもこの芝居で描かれているような呼びかけが有ったら…、大半がカミングアウトしていない、出来ない国だから何も起きないでしょうねw
今はまだ。
一度観てみたかったんです。
“女優黒柳徹子”の姿を。
今年の“月に一本は観劇”という訳のわからん目標が無ければ、一生観る機会が無かったかもしれません。
正確なタイトルは黒柳徹子主演海外コメディ第21作『リグレッツ・オンリー ~万障お繰り合わせの上お越しください~』。
俺くらいの世代だと、黒柳徹子が女優らしい活動をしている姿を目にした事はほぼ無くて、司会者としての姿しか知らないのですが、このシリーズは毎年恒例のもので実に21回目。
毎年舞台をやっているのは知っていましたが、こんなに長くシリーズとして続けてられた事は知りませんでした。ちょっと反省。
拝見した感想、素直にカッコいい。
実は、昨年たまたま東京で遊んでた時に日本橋高島屋で開催されていた“徹子の部屋物語”展(後日難波の高島屋でも開催されていてショック、そーれりぽーとのプロフィール写真はその際に撮った合成写真です)にも立ち寄ったくらいに好きな芸能人だったのですが、好きな芸能人から大好きな女優さんに変りました。
こんな一面を普段は表に出さずに活動してるなんてもったいない。
近頃、テレビでは視聴者を笑わせるプロフェッショナルではなくて、間違えたら恥なはずの一般教養を問題にしたクイズ番組で、自分のアフォさ加減を晒して笑われて喜んでいる中身空っぽのタレントが多いけど、あんなの見てても自分の質が下がるだけなので、俺は見る気が起きません。
アフォ見て笑って優越感に浸るのってどう?上見て生きなきゃ。
彼女が“世界ふしぎ発見!”に出演しているのは、いろんな知識を身に付けたい目的が先にあって、収録前に図書館などでテーマに沿った勉強してから挑んでるっつうから凄いよね。(本当かどうかは知らないけどw)
そう思ってあのクイズ番組を見ると、低俗なクイズ番組とは違う何かが見えてくる気がする。
浮世離れした感の有る人だから、テレビでは数々の勘違いやせっかちな発言が面白い印象な人だけど、プロフェッショナルとしての努力は惜しまない人だったんだなぁ。
劇場においてもポスターやパンフレットで精力的にユニセフのPRもしてられるし、奥の深い人だと改めて実感。
舞台でも喋る喋る。
台詞の発音も声量も、ご高齢とは思えない程見事。
ひょっとしたら体力的な関係で上演時間の短い芝居を選んでるのかな?なんて思ってましたが、休憩も含めて2時間半とハードルは決して低くない。
この間、ヒロインとしてずっと出っ放しなのには驚き。
でも、如何せん聞き取りづらい音がある。
数年前に変えた歯のせいで、発音を端折っている音が有るんですよね。
もうちょっと良い歯にすれば良いのにと、以前より大きくなった歯をテレビで見ていていつも思っていたんですけど、舞台になると余計顕著になる。
マンハッタン社交界の女王“ティビー”という役。
黒柳徹子の演じる社交界の女王は、年齢的に映画『ファースト・ワイフ・クラブ』でマギー・スミスが演じていたガニラの趣かとも期待していたのですが、清楚さよりも彼女を地で行く早口でお転婆な感じ。
もうちょっと歯切れの良い台詞回しだともっと楽しめたのに、細かい発音がしづらそうなのが気になりました。
他のキャストは、石田ひかり、古谷一行、大森博史、新橋耐子、加藤美津子。
石田ひかりは、まあまあ相変わらずとして、他のキャストの方々は、安心して観れる重鎮ばかり。
原作は、ポール・ラドニックのブロードウェイ上演作品。
演出は、近年黒柳徹子主演海外コメディをずっと手がけている高橋昌也。
この先ネタバレです。
NYの高級アパートに暮らすセレブな弁護士一家と、家族ぐるみで付き合いのあるカリスマファッションデザイナーの男性。
彼は最近ゲイのパートナーを失ったばかり。
ある日、弁護士の娘の結婚が決まり、同時に父親には大統領から一本の電話が。
電話の内容は、“結婚制度についての法改正”を彼に手伝って欲しいというもの。
浮かれた父と娘は、デザイナーに対して意図せず屈辱的な質問を浴びせかけ、相手の心情を気にもとめずに出かけてしまう。
その時、弁護士の妻であり、デザイナーの親友である事を自負するディビーは…。
アメリカの大都市からゲイが居なくなったらどうなるのかという後半の展開も見所ですが、本来この舞台で魅力的なのはブロードウェイやハリウッドのゲイネタを散りばめた台詞。
好きな人には存分に楽しめるような名前があちこちで登場するので、俺は楽しめたのですが、年齢層高目の客層で、どれだけの人が理解しながら聞いていたのかはちょっと疑問。
原作の脚本をそのまま日本語に翻訳しただけな感じなので、もうちょっとご高齢の方や、ブロードウェイやハリウッドの事情に詳しくない方に配慮をしてあげても良かったのでは?と感じました。
一応、パンフレットにはざっとネタ元の説明が書かれてはいますが、舞台を観終わった後に読んで意味を知っても笑えないですよねぇ。
そのキーワードがどこで使われていたのかなんて、聞き流してるから覚えてないでしょうし。
非常に魅力的な脚本を書いたポール・ラドニックは、自身がゲイなのでこういう話を書くのには嫌味が無いし、彼が書いた映画のタイトルを見てもデリケートな問題をジョークにして笑い飛ばすセンスに長けているのが見て取れる。
大森博史演じるハンクが、男と男の関係について生々しく語っているシーンが前半では特に面白い。
ただ、あれが全てだと言い切るのもおかしいと思いますが。
テレビをつければいくらでもゲイ能人が出ているのに、“オネェキャラ”なんてオブラートに包んだ表現で誤魔化し(キャラって必要?)、オネェじゃないゲイが誤解を受けても仕方の無い、テレビでは未だにキワモノ扱いしかされていないこの日本で、こんな舞台をやろうと思うなんて。
しかも、ゲイに対しての理解がまだまだ遅れていそうな年齢層が大半の場でやるなんて、なんという思い切った発想。
その点については凄いと思う。
知らずに観た人はびっくりしたんじゃないでしょうか。
日本で、もしもこの芝居で描かれているような呼びかけが有ったら…、大半がカミングアウトしていない、出来ない国だから何も起きないでしょうねw
今はまだ。
ごめんなさい、せっかくコメントを一度書いて頂いたのに、認証制なので反映されていないと思われたのか、書き直して頂いたようで、お手を煩わせました。
記事にも書いたのですが、笑いのネタが日本の風土に全く合ってないんですよね、この舞台。
現地のゴシップネタがふんだんに使われたブロードウェイ版の脚本を、ほぼ忠実に日本語に訳した台詞なので、観客のほとんどが笑いどころがわからなかったのではないかと感じました。
私はたまたま映画好きだったり、海外のゴシップが好きだったりするのでまだ救われましたが、そうでない観客達に対して不親切過ぎますね。
かといって、日本のゲイ能人事情はほとんど秘密に包まれているので、そこをネタにしてもバッシングされるので使えない。
ようは、評判の脚本だから喜んでくれると思ってやってみたけれど、観客の事を考えていなかった。
もうひとつのネタ、ゲイ事情について。
隣人がゲイなんて環境の無い国で笑わせようと誇張して語ったところで、想像ばかり膨らんで誤解される一方ですよね。
“ゲイだから仕事を放棄する”のではなくて、例えばその昔男性に蔑視されていた女性達が立ち上がった、とか、社会的マイノリティー達が結束して立ち上がるのと同じように捕らえるべきなんでしょうけれど、周りにそういう人が居ないとそういう発想にはならないでしょう。
黒柳徹子は歯がどうにも…、フガフガ言ってましたね(笑)