2012年最初の記事は旅行に続いてステージ、いまだ映画を観ていないお気楽映画ブロガーです。
日曜に舞台『8人の女たち』の大阪公演を観てきました。
大好き過ぎて10回は軽く超えて観た『8人の女たち』の原作戯曲の日本語版ってだけでアガるのに加え、『8人の女たち』に相応しい豪華女優達のキャスティングで、暫く芝居は観ないと決めてたのに上演を知って即席を押さえ、心待ちにしていた大注目作なんですよね。
はじまる前から大興奮です。
舞台セットはとても簡素。
中央には間をおいて円形状に置かれたソファーと、2階に上がる金属製の螺旋階段。
階上には短い通路とパパの部屋の扉があるだけで、全体的に装飾は全く無し。
舞台を挟んだ奥側にも観客席が設けられていて、前後の客席から家での出来事を覗き込んでいるような構図になっています。
観客席サイドと接していない面には役者さん達が座る為の椅子が置かれ、出番ではない女優さんも出ずっぱりで観客の目に触れる椅子に座る仕組み。
最初に舞台セットを観た時の印象は、あの階段じゃ「ちょっと美しくなりたくて」って名台詞が映えないやん!ってとこ。
そう、わたくし、この舞台版にもフランソワ・オゾンのオカマセンスをガンガン求めて楽しみにしておりました。
エマニュエル・ベアールの過剰なまでのセクシーアピールや、カトリーヌ・ドヌーヴとファニー・アルダンのわけのわからんキスシーン、フィルミーヌ・リシャールの愚図で鈍間過ぎる動きに対するクスリ笑い…。
当然無駄に古いフレンチPOPを歌って踊りだすわけの意味不明なミュージカルパートも、日本語でどう演出するのかなぁと。
しかしですね、これが違うんですよ。
この日本語舞台版『8人の女たち』は、映画版を舞台化したわけじゃなくて、元々の舞台がベースになっている模様。
そこにG2らしい面白い演出、それとおそらくは映画ファンの為に全く同じ台詞を使うクダリを数箇所加えて仕上げた感覚。
いや、元の舞台は全く知らないので、映画版でも元の舞台と全く同じクダリのパートが有ってそれを踏襲しただけなのかもしれませんけれど。
という事で、舞台セットを観た時に一瞬感じた失望感は、芝居が始まってからの空気を読んで「これはちょっと違うと思ったほうが良い」と頭を切り替えた事で一気に面白くなりました。
模倣じゃないなら比較せず純粋に違うパターンとして楽しめるわけですから。
基本プロットは映画版と隅々まで全く同じ、台詞のニュアンスもところどころ似ているけれど、こちらの舞台版の方が上演時間も長いし無駄に歌う場面が無い分かなり濃く深く仕上がっているので、何度も映画を観て知ってる話とは言ってもとても新鮮。
台詞やシチュエーションで笑いをとるところも、日本語芝居らしい間合いでツボを突いてくるのが楽しい。
それを支えるのは大女優達。いやもう感服です。
加賀まりこ様の演じるおばあちゃん、映画版より若い加賀まりこ様はこの役よりもギャビーじゃない?と戸惑いながら観劇当日まで気になってたんですが、逆に映画でカトリーヌ・ドヌーヴが実年齢よりも若い役をやってただけで、娘たちの年齢考えたら加賀まりこはおばあちゃん役で良かったんよね。
映画版のほんわかしたおばあちゃんに比べると毒っ気の強いババアでしたけど、加賀まりこらしさが加わっているような感覚で楽しませてくれました。
ギャビー役の大地真央、もう凄い頭ちっさいわ実物美し過ぎるわ、芝居も舞台栄えしまくりで、豪華な衣装と合わさって誰よりも燦然と輝いてんの。
こりゃカトリーヌ・ドヌーヴの位置で大正解、つか、舞台スターってほんまこの人のことやなぁと思った。
輝きすぎててピエレット役の浅野温子が酷いの何の、最近はドラマで見てても変な杉本彩みたいな場末声作ってばかりでどうよと思ってたんだけど、実はあれ地声やったんやね(汗)舞台だと声を張るから余計強調されてた。
ピエレットはオカマ顔で豪華な大女優ファニー・アルダンのイメージだったのが、今の浅野温子には全く華やかさが無くて、ただ声が野太いおっさんが品の無い女装して混じってる感覚(失言)
ルイーズ役の牧瀬里穂はエマニュエル・ベアールと雰囲気もろ被りでイイんだけど、過剰な位のなセクシーさもセクシーな演技も殆ど無かったのは残念。
映画版は従順な淑女のようでアバズレだったとこが面白かったけど、こちらは最初からアバい空気出しちゃってたし。
荻野目慶子は愚鈍なシャネルの役というよりも献身的で気が利いて、率先してちょこまか動くシャネル。
誰よりも小柄なのでぴったりな演出だったけど、映画とは役柄自体が全く違って序盤は物語を支える役として舞台中を動き回って芝居してはりました。
この人も物凄く芝居が上手いから面白い。
オイシイ役のオーギュスティーヌは戸田恵子。
そらもう映画が好きなら戸田恵子の実力は何をか言わんやで、本領が感じられる舞台芝居もこれまでに拝見したことが有るけど、やっぱり安定してるし誰よりも声が通るし、この芝居の中では若干浮き気味な程にプロ舞台女優っぷりを発揮してはりました。
そんな彼女が道化役なもんだから、面白くないわけが無い。
キャラクターは映画の自虐的なタイプから光浦靖子みたいなタイプに変わってたけど、これはこれで面白い。
一つだけ難を言うとしたら、大変身する場面でのドレスをもっとマトモで美しくて豪華にして欲しかった。なんやあのヘンテコリンなデザインのドレスは。
残る二人、シュゾン役のマイコと、カトリーヌ役の南沢奈央。
映画版を観てた限りではテキトーに芝居が出来て可愛かったら誰でも出来そうな役だと思ってたんだけど意外と上手くて、要所要所を押さえてくれてた。
重要な所で必ず絡んでくるから下手だと締まらない舞台になるとこだったと思うと、凄く頑張って貢献してくれてた思う。
そんなこんなで浅野温子以外に関しては凄く良い芝居でした。
日曜に舞台『8人の女たち』の大阪公演を観てきました。
大好き過ぎて10回は軽く超えて観た『8人の女たち』の原作戯曲の日本語版ってだけでアガるのに加え、『8人の女たち』に相応しい豪華女優達のキャスティングで、暫く芝居は観ないと決めてたのに上演を知って即席を押さえ、心待ちにしていた大注目作なんですよね。
はじまる前から大興奮です。
舞台セットはとても簡素。
中央には間をおいて円形状に置かれたソファーと、2階に上がる金属製の螺旋階段。
階上には短い通路とパパの部屋の扉があるだけで、全体的に装飾は全く無し。
舞台を挟んだ奥側にも観客席が設けられていて、前後の客席から家での出来事を覗き込んでいるような構図になっています。
観客席サイドと接していない面には役者さん達が座る為の椅子が置かれ、出番ではない女優さんも出ずっぱりで観客の目に触れる椅子に座る仕組み。
最初に舞台セットを観た時の印象は、あの階段じゃ「ちょっと美しくなりたくて」って名台詞が映えないやん!ってとこ。
そう、わたくし、この舞台版にもフランソワ・オゾンのオカマセンスをガンガン求めて楽しみにしておりました。
エマニュエル・ベアールの過剰なまでのセクシーアピールや、カトリーヌ・ドヌーヴとファニー・アルダンのわけのわからんキスシーン、フィルミーヌ・リシャールの愚図で鈍間過ぎる動きに対するクスリ笑い…。
当然無駄に古いフレンチPOPを歌って踊りだすわけの意味不明なミュージカルパートも、日本語でどう演出するのかなぁと。
しかしですね、これが違うんですよ。
この日本語舞台版『8人の女たち』は、映画版を舞台化したわけじゃなくて、元々の舞台がベースになっている模様。
そこにG2らしい面白い演出、それとおそらくは映画ファンの為に全く同じ台詞を使うクダリを数箇所加えて仕上げた感覚。
いや、元の舞台は全く知らないので、映画版でも元の舞台と全く同じクダリのパートが有ってそれを踏襲しただけなのかもしれませんけれど。
という事で、舞台セットを観た時に一瞬感じた失望感は、芝居が始まってからの空気を読んで「これはちょっと違うと思ったほうが良い」と頭を切り替えた事で一気に面白くなりました。
模倣じゃないなら比較せず純粋に違うパターンとして楽しめるわけですから。
基本プロットは映画版と隅々まで全く同じ、台詞のニュアンスもところどころ似ているけれど、こちらの舞台版の方が上演時間も長いし無駄に歌う場面が無い分かなり濃く深く仕上がっているので、何度も映画を観て知ってる話とは言ってもとても新鮮。
台詞やシチュエーションで笑いをとるところも、日本語芝居らしい間合いでツボを突いてくるのが楽しい。
それを支えるのは大女優達。いやもう感服です。
加賀まりこ様の演じるおばあちゃん、映画版より若い加賀まりこ様はこの役よりもギャビーじゃない?と戸惑いながら観劇当日まで気になってたんですが、逆に映画でカトリーヌ・ドヌーヴが実年齢よりも若い役をやってただけで、娘たちの年齢考えたら加賀まりこはおばあちゃん役で良かったんよね。
映画版のほんわかしたおばあちゃんに比べると毒っ気の強いババアでしたけど、加賀まりこらしさが加わっているような感覚で楽しませてくれました。
ギャビー役の大地真央、もう凄い頭ちっさいわ実物美し過ぎるわ、芝居も舞台栄えしまくりで、豪華な衣装と合わさって誰よりも燦然と輝いてんの。
こりゃカトリーヌ・ドヌーヴの位置で大正解、つか、舞台スターってほんまこの人のことやなぁと思った。
輝きすぎててピエレット役の浅野温子が酷いの何の、最近はドラマで見てても変な杉本彩みたいな場末声作ってばかりでどうよと思ってたんだけど、実はあれ地声やったんやね(汗)舞台だと声を張るから余計強調されてた。
ピエレットはオカマ顔で豪華な大女優ファニー・アルダンのイメージだったのが、今の浅野温子には全く華やかさが無くて、ただ声が野太いおっさんが品の無い女装して混じってる感覚(失言)
ルイーズ役の牧瀬里穂はエマニュエル・ベアールと雰囲気もろ被りでイイんだけど、過剰な位のなセクシーさもセクシーな演技も殆ど無かったのは残念。
映画版は従順な淑女のようでアバズレだったとこが面白かったけど、こちらは最初からアバい空気出しちゃってたし。
荻野目慶子は愚鈍なシャネルの役というよりも献身的で気が利いて、率先してちょこまか動くシャネル。
誰よりも小柄なのでぴったりな演出だったけど、映画とは役柄自体が全く違って序盤は物語を支える役として舞台中を動き回って芝居してはりました。
この人も物凄く芝居が上手いから面白い。
オイシイ役のオーギュスティーヌは戸田恵子。
そらもう映画が好きなら戸田恵子の実力は何をか言わんやで、本領が感じられる舞台芝居もこれまでに拝見したことが有るけど、やっぱり安定してるし誰よりも声が通るし、この芝居の中では若干浮き気味な程にプロ舞台女優っぷりを発揮してはりました。
そんな彼女が道化役なもんだから、面白くないわけが無い。
キャラクターは映画の自虐的なタイプから光浦靖子みたいなタイプに変わってたけど、これはこれで面白い。
一つだけ難を言うとしたら、大変身する場面でのドレスをもっとマトモで美しくて豪華にして欲しかった。なんやあのヘンテコリンなデザインのドレスは。
残る二人、シュゾン役のマイコと、カトリーヌ役の南沢奈央。
映画版を観てた限りではテキトーに芝居が出来て可愛かったら誰でも出来そうな役だと思ってたんだけど意外と上手くて、要所要所を押さえてくれてた。
重要な所で必ず絡んでくるから下手だと締まらない舞台になるとこだったと思うと、凄く頑張って貢献してくれてた思う。
そんなこんなで浅野温子以外に関しては凄く良い芝居でした。