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フランケンウィニー 3D

2012-12-21 | 劇場映画れびゅー
なんとティム・バートン監督ディズニー時代幻の短編映画が、本人によりストップモーション・アニメとしてメイク!
フランケンウィニー』を観てきました。
★★★★★

ストップモーション・アニメの質が恐ろしく高い。
殆ど特有カクカク感を感じないので、知らずに観た人はストップモーション風のCGアニメだと感じてしまうんじゃないだろうか。
これまでにティム・バートンが携わってきたストップモーション・アニメも大概凄かったのに、ここまでの完成度。

人形を一コマずつ手作業で動かすストップモーション・アニメの場合、CGアニメとは違って根本的な技術革新に関してやりようが無く、どれだけ手間をかけて質を上げていくかというところ以外に“見た目での進化”を見せようがない。
エフェクトとして足していたアニメがCGに変わったり、コンピュータ制御で人形とカメラを動かすゴー・モーションが生まれた以外、技術は映画創世記の頃から何も変わっていないのが現実。
※しかも80年代に生まれたゴー・モーション技術に至っては、花開きかけた90年代に入ってCGに取って代わられ既に廃れてしまった。

それを前作の『コープス・ブライド』からここまで違いを見せてくるという事は、想像を絶する時間と労力。そして、表情豊かな人形のパーツの数もどれだけの数用意したのか…。

映画の中身は、もう完全にティム・バートンの趣味の世界でやりたかった事を全部詰め込んだような仕上がり。
本人が大好きな数々のモンスター映画へのオマージュと、愛すべき醜いクリーチャーと、人間の心の中にある醜い部分に焦点を当て、久々にティム・バートン節完全全開でマニアックに魅せてくれます。

最近こういうノリの映画撮ってくれなかったから、ちょっと寂しかった分大いに楽しみました。

彼が自ら深く携わったストップモーション・アニメ映画には、必ず愛嬌たっぷりの不気味なわんこが登場するね。

ネタバレ
メインテーマの『フランケンシュタイン』をはじめ、あらゆるモンスター映画のパロディーが満載で、ドラキュラに至ってはもうストップモーション・アニメじゃなく往年のフィルムを劇中のテレビで流す荒技。
そう、往年のドラキュラ映画と言えば、監督がファン過ぎて彼の映画の常連役者となったクリストファー・リー本人ですよ。
今回は何の役で登場するのかと思いきや、とうとうまんま実写フィルムで登場させるとは、ティム・バートンの彼への憧れは本物。
クリストファー・リー自身の近影は、同日公開の『ホビット』で白のサルマンとして出てますので、そちらで。
それにしても、監督に救われてなかったらヴァンパイア役者として完全に消えてたやろなぁこの人。

他、登場人物達のネーミングがモンスター映画に因んだものだったり、フランケンシュタインの花嫁のヘアスタイルを真似た演出や、リアルフランケンシュタインの怪物やせむし男のような同級生、グレムリンもどきのシーモンキー&コウモリ猫。
ネズミの狼男が『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』に出てたのと造形が似ていたり、墓場からは今にもZEROやジャックが現れそう。移動遊園地や墓掘りのシーンは『ビートルジュース』を彷彿とさせる。
『ビートルジュース』と言えば、今回はジョニー・デップもヘレナ・ボナム=カーターも声を当てておらず、『ビートルジュース』前後でティム・バートン映画の花形だったキャサリン・オハラとウィノナ・ライダーをはじめ、昔のティム・バートン映画に出演経験のある俳優らがキャスティングされているのも要チェック。
クライマックスの燃える風車小屋もフランケンシュタインへのオマージュも含め、全体的に細かいところを何度でも観たい映画だ。

もう一つ注目して観ていたのは、昔撮り逃した『ゴジラ』の代わりか腹いせなのか、思いっきり『ガメラ』が登場する。
ほんと日本の怪獣映画への愛を感じまくり。
是非とももう一度『ゴジラ』のチャンスを差し上げて。

音楽は当然ダニー・エルフマン、エンドロールの歌は『マーズ・アタック』のクライマックスを思わせる頭破裂しそうな歌と、最後までティム・バートン節炸裂な原点回帰の映画でした。



↓旧作は『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』と同時公開され、DVDやBlu-rayに特典として収録されています。
ナイトメアー・ビフォア・クリスマス コレクターズ・エディション(デジタルリマスター版) [Blu-ray]
クリエーター情報なし
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