11月の観劇4本目。もう疲れたのでしばらく観劇は…と思いながらも、同じ日この前後に映画を2本観たわけで俺はどこに向かっているんだろう。
結構芸歴長いのに最近になって“上手い”と話題になる事が多い永作博美主演、本谷有希子による作/演出の『幸せ最高ありがとうマジで!』。
映画版『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の組み合わせですね。
今年のそーれりぽーと日本映画助演女優賞は、この映画の永作博美だったっけ。
「主演女優の二人、佐藤江梨子と、佐津川愛美をサポートして尚余りある演技力」なんていつものように高いところからの書き方で後で読み返すと自分で引きますが、そうそう、どうせなら彼女にあの自己性愛型人格障害キャラ演じてほしいなぁなんて思ってたんでした。
それが今回実現して観れるわけです。
今度も中央寄り10列目での観劇、永作博美って顔ちっさいから近くて嬉しい。
つか、正直ファンなので生永作嬉しいw
舞台セットは二階建ての日本家屋がズドーンと一軒舞台上にあるだけ。
一階部分の3分の2はガラス張りの新聞屋で二階が住居、残りの簡素な増築部分は住み込みの従業員が住むスペース。
ガラス張りの部分以外には壁があるので中が覗けない状況だけれど、芝居が行われる時はギミックに壁がスライドして覗くことが出来るようになっていました。
この先はネタバレです。
何気ない日常も、一皮剥けばあっという間に修羅場へと変貌してしまう…。
芝居が始まっても、しばらくは新聞屋の業務が行われているのを眺めることになった。
ただ淡々と、この新聞屋で行われているであろういつもと変わらない作業、平々凡々とした日常がいつまで続くのだろうかと思いながら…。
そうこうしているところにヤツが現れ、日常から非日常へとこの一家が一気にドン底に突き落とされるのを目の当たりにすることとなります。
何でしょうかこのショッキングな芝居は、ただ登場人物の心理状況を描いているだけではなくて、観客の心理情況の変化まで全て計算づく。
舞台上で起きている恐ろしい出来事やら、呆気にとられてしまう彼女たちの思考回路、それら表面上のことだけを観ていてもサイコーに楽しめる芝居ではあるけれど、一時流行ったプロファイルブームに乗って本を読み漁ったことのある人なら、分析官気取りで好き勝手分析して楽しむ事の出来る登場人物達のユニークさ。
でも、きっと一番楽しんでるのは本谷有希子自身だと俺は確信してるわけですが。
絶対彼女こうやって中途半端に心理学を勉強したことがある訳でもない観客(にわか分析官)が、ブログで「ああでもないこうでもない」と持論を展開するところまで想定してこの舞台やってますよね。
そして、そうやって誘導しておいて、後々ググって出てきたブログを一人「あはwバッカじゃないの?www」なんて缶チューハイ片手に高笑いしながらチェックしてそう。
そんな風に思いながらも、「なら乗ってやろうじゃないか」的な気分になったので、素人のプロファイリングw
永作博美(明里)
生来の自己性愛型人格障害に加え妄想性人格障害で、それを本人も理解した上で誰よりも優れた別次元の妄想性人格障害だと思いたがっているからタチが悪い。
この芝居の中での役割は、ドが過ぎたイタズラ好きの小悪魔(つーかド悪魔)であり、無差別テロで自分の存在を示そうとする究極の“かまってちゃん”。
登場人物達を支配して手駒として操るところは、本谷有希子の化身であり、観客たちをも支配する本谷有希子の笑みが脳裏に浮かぶ。
曽根新聞店の人々
吉本菜穂子(山里、住み込みの従業員)
他人よりも優れた点が何も無いと思い込んでいる彼女にとっては、不幸であることが一番の生きるモチベーション。
もともとそんな女だったのだろうが、新聞屋の主人と関係を持ってしまった事が不幸をアピールする手段となり、さらなる悪い性癖が開発されてしまった。
広岡由美子(美十里、奥さん)
二度の離婚を経験して本音を押し殺す術と、他人に理想を求めては上手くいかないという悟りを得た。
しかし、実は人の弱みを握っては一人ほくそ笑み、自分自身に実害のあることは許さない。
梶原善(曽根、旦那)
ただの脳筋。
知恵も勇気も無いのに住み込みの山里と関係を持ってしまい、恐怖に怯える日々を過ごす。
近藤公園(功一、息子、兄)
脳筋オヤジのプレッシャーか、本当に新聞屋の息子なせいだけなのか卑屈に育ってしまい、成人してからも自分を素直に出した事が無く空回りの連続、一番の爆弾を抱えている青年。
卑屈な性格が祟り童貞のまま20歳を軽く超え、親の再婚で歳の近い妹が出来たため性的にも鬱憤が溜まっていく一方。
前田亜季(紗登子、娘、妹)
美十里の連れ子。
母親の二度の再婚を見てきて、美十里の本当の性格を知っているだけに自分らしく無くなっていく母親を本当は悲しい気持ちで見つめている。
自分はああなりたくないと言う考えから、悪ぶって好き勝手しようと努めているけれど、本来は優しく素直な性格なので無理をしようとしているように見える。
功一に対しては妹と仲良くしたいという考えで、気を許した接し方をしすぎ、混乱させてしまう。
そんな曽根家に訪れた無差別テロの悲劇。
一皮剥けば次から次へと出てくる衝撃的な事実と思わぬ反撃に、テロリスト永作博美もびっくりして本性が見え隠れ、それも芝居なのかもしれない面白さ。
男なんて単純だけど、女は根が深いねぇ。
東京公演の長丁場を終えての大阪千秋楽だったおかげか、映画を観ているかのような完璧に仕上がった舞台。
あぁ、面白かった。
是非とも映画化の際は全員同じ俳優さんでお願いします!
最後に、タイトル『幸せ最高ありがとうホンタニ!』にすりゃ良かったのにと思ったとか思わなかったとか。
ようやく怒涛の観劇月間だった11月は終わり。
12月は『七人は僕の恋人』。
1月は『グッドナイトスリイプタイト』。
2月は『パンク侍』、『冬物語』を無事ゲット。
結構芸歴長いのに最近になって“上手い”と話題になる事が多い永作博美主演、本谷有希子による作/演出の『幸せ最高ありがとうマジで!』。
映画版『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の組み合わせですね。
今年のそーれりぽーと日本映画助演女優賞は、この映画の永作博美だったっけ。
「主演女優の二人、佐藤江梨子と、佐津川愛美をサポートして尚余りある演技力」なんていつものように高いところからの書き方で後で読み返すと自分で引きますが、そうそう、どうせなら彼女にあの自己性愛型人格障害キャラ演じてほしいなぁなんて思ってたんでした。
それが今回実現して観れるわけです。
今度も中央寄り10列目での観劇、永作博美って顔ちっさいから近くて嬉しい。
つか、正直ファンなので生永作嬉しいw
舞台セットは二階建ての日本家屋がズドーンと一軒舞台上にあるだけ。
一階部分の3分の2はガラス張りの新聞屋で二階が住居、残りの簡素な増築部分は住み込みの従業員が住むスペース。
ガラス張りの部分以外には壁があるので中が覗けない状況だけれど、芝居が行われる時はギミックに壁がスライドして覗くことが出来るようになっていました。
この先はネタバレです。
何気ない日常も、一皮剥けばあっという間に修羅場へと変貌してしまう…。
芝居が始まっても、しばらくは新聞屋の業務が行われているのを眺めることになった。
ただ淡々と、この新聞屋で行われているであろういつもと変わらない作業、平々凡々とした日常がいつまで続くのだろうかと思いながら…。
そうこうしているところにヤツが現れ、日常から非日常へとこの一家が一気にドン底に突き落とされるのを目の当たりにすることとなります。
何でしょうかこのショッキングな芝居は、ただ登場人物の心理状況を描いているだけではなくて、観客の心理情況の変化まで全て計算づく。
舞台上で起きている恐ろしい出来事やら、呆気にとられてしまう彼女たちの思考回路、それら表面上のことだけを観ていてもサイコーに楽しめる芝居ではあるけれど、一時流行ったプロファイルブームに乗って本を読み漁ったことのある人なら、分析官気取りで好き勝手分析して楽しむ事の出来る登場人物達のユニークさ。
でも、きっと一番楽しんでるのは本谷有希子自身だと俺は確信してるわけですが。
絶対彼女こうやって中途半端に心理学を勉強したことがある訳でもない観客(にわか分析官)が、ブログで「ああでもないこうでもない」と持論を展開するところまで想定してこの舞台やってますよね。
そして、そうやって誘導しておいて、後々ググって出てきたブログを一人「あはwバッカじゃないの?www」なんて缶チューハイ片手に高笑いしながらチェックしてそう。
そんな風に思いながらも、「なら乗ってやろうじゃないか」的な気分になったので、素人のプロファイリングw
永作博美(明里)
生来の自己性愛型人格障害に加え妄想性人格障害で、それを本人も理解した上で誰よりも優れた別次元の妄想性人格障害だと思いたがっているからタチが悪い。
この芝居の中での役割は、ドが過ぎたイタズラ好きの小悪魔(つーかド悪魔)であり、無差別テロで自分の存在を示そうとする究極の“かまってちゃん”。
登場人物達を支配して手駒として操るところは、本谷有希子の化身であり、観客たちをも支配する本谷有希子の笑みが脳裏に浮かぶ。
曽根新聞店の人々
吉本菜穂子(山里、住み込みの従業員)
他人よりも優れた点が何も無いと思い込んでいる彼女にとっては、不幸であることが一番の生きるモチベーション。
もともとそんな女だったのだろうが、新聞屋の主人と関係を持ってしまった事が不幸をアピールする手段となり、さらなる悪い性癖が開発されてしまった。
広岡由美子(美十里、奥さん)
二度の離婚を経験して本音を押し殺す術と、他人に理想を求めては上手くいかないという悟りを得た。
しかし、実は人の弱みを握っては一人ほくそ笑み、自分自身に実害のあることは許さない。
梶原善(曽根、旦那)
ただの脳筋。
知恵も勇気も無いのに住み込みの山里と関係を持ってしまい、恐怖に怯える日々を過ごす。
近藤公園(功一、息子、兄)
脳筋オヤジのプレッシャーか、本当に新聞屋の息子なせいだけなのか卑屈に育ってしまい、成人してからも自分を素直に出した事が無く空回りの連続、一番の爆弾を抱えている青年。
卑屈な性格が祟り童貞のまま20歳を軽く超え、親の再婚で歳の近い妹が出来たため性的にも鬱憤が溜まっていく一方。
前田亜季(紗登子、娘、妹)
美十里の連れ子。
母親の二度の再婚を見てきて、美十里の本当の性格を知っているだけに自分らしく無くなっていく母親を本当は悲しい気持ちで見つめている。
自分はああなりたくないと言う考えから、悪ぶって好き勝手しようと努めているけれど、本来は優しく素直な性格なので無理をしようとしているように見える。
功一に対しては妹と仲良くしたいという考えで、気を許した接し方をしすぎ、混乱させてしまう。
そんな曽根家に訪れた無差別テロの悲劇。
一皮剥けば次から次へと出てくる衝撃的な事実と思わぬ反撃に、テロリスト永作博美もびっくりして本性が見え隠れ、それも芝居なのかもしれない面白さ。
男なんて単純だけど、女は根が深いねぇ。
東京公演の長丁場を終えての大阪千秋楽だったおかげか、映画を観ているかのような完璧に仕上がった舞台。
あぁ、面白かった。
是非とも映画化の際は全員同じ俳優さんでお願いします!
最後に、タイトル『幸せ最高ありがとうホンタニ!』にすりゃ良かったのにと思ったとか思わなかったとか。
ようやく怒涛の観劇月間だった11月は終わり。
12月は『七人は僕の恋人』。
1月は『グッドナイトスリイプタイト』。
2月は『パンク侍』、『冬物語』を無事ゲット。