そーれりぽーと

映画、旅行、植物など気の向くまま

新作映画の満足度は最高★5つで表示

『ビューティ・クイーン・オブ・リナーン』 <長塚圭史版>@シアタードラマシティー

2008-01-06 | ステージれびゅー
大竹しのぶと白石加代子、二人の怪女優の共演が面白くないわけが無い。
2008年のステージ、二本目は長塚圭史演出の『ビューティー・クイーン・オブ・リナーン』。

原作はマーティン・マクドナー(とかいう人気劇作家らしいけど知りませんw)で、長塚圭史は彼の戯曲をこれまでにもいくつか日本で演出してるのだとか。

アイルランドの田舎町“リナーン”を舞台に、70歳の母と40歳の娘が二人っきりで罵り合って暮らしているという設定で、ホラーとブラックコメディーが上手い具合にミックスされていて、無茶苦茶面白い。

この先ネタバレ含みます。

娘の留守の間に青年が伝言を伝えに訪れても、意地悪な母親は青年が去った後伝言を書いた紙を焼き捨ててしまう。
娘は娘で青年が帰る途中で出会い、伝言の内容や、母に言付けた事を聞いていてるのに、何も知らないフリをして母親の意地悪に付き合い、その後真実を告げて母親を罵る、そんな日々
娘の方は、一見母親の意地悪に反発するマトモな女性なのだけど、次第に恐ろしい本性が見え始め…。

大竹しのぶと白石加代子、二人の鬼気迫る罵りあいが観客の笑いに変わっていくところが不思議。
こういう作風は、映画でも観たことがない初めての経験でした。
ミュージカル『スウィーニー・トッド』のような娯楽色は殆ど感じない。

大竹しのぶを舞台で観るのは昨年の『スウィーニー・トッド』から二度目。
前回の怪演も面白かったけど、今回は前の方の席だったのでじっくり堪能する事が出来ました。
耐える演技から、気が変になってしまった演技まで、一本で堪能。

一方の白石加代子の老婆も怖いのなんの。
まず、顔が怖い。
娘をこき使い、イビリ、幸せを奪う事が生きがいというのが顔に表れていた。

田中哲司は、なんというかフツー。
何度か噛んでた印象しか残ってなかったり。

公演の直前に病気で降板した黒田勇樹に代わって入ったのは、演出の長塚圭史。
20歳の役とのことで、見た目をカバーする為に若さを強調しようとしていたんだろうと思うけれど、若っぽいというよりもバカっぽさが出すぎていたように思う。
本来こんな風な演技プランを黒田勇樹に求めていたわけじゃないのでは?
飄々としていて、他人を傷つけた事に気づいていない、若さ故の未熟な青年の役だと思うんだけど、イライラするというよりも憎らしく感じた。

というか、4人のキャストの内3人までが映画『遠くの空に消えた』と被っていたので、必死過ぎる長塚圭史の演技が『遠くの空に消えた』の時の知的障害者役と被って見えてしまったのも残念。

カーテンコールでスタンディングオベーションの中、背筋が真っ直ぐに伸びた笑顔の白石加代子を見て、芝居での化けっぷりにギョッとした。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« のだめカンタービレ in ヨー... | トップ | 再会の街で »