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TOKYO TRIBE

2014-09-01 | 劇場映画れびゅー
このところ製作の間隔を狭めながら精力的に作風の振り幅を広げ、一作ごとに違う一面を見せ続ける園子温監督。今度はラップヒップポップ・ミュージカルだと?『TOKYO TRIBE』を観てきました。
★★★

映画の演出も、ラッパー達の歌詞にしても、普段やり慣れてない事をやってる人たちの集まりで、序盤は実験的過ぎて痛々しいくらい外してしまっている。
映画のテーマに沿って歌詞を書いたりしてるんだと思うけど、アメリカンヒップホップのようにRワードを羅列させて雰囲気出そうと言うところからちょっと違う感を漂わせちゃってる。集めた歌手のキャラクターは立ってて面白いのに勿体無い。
染谷将太がストーリーテラーになっているのは面白いけど、序盤に時々出てくるオノヨーコのように空気を読まないDJ婆ちゃんはには違和感しか感じない。

ところが物語が回り始めて、展開の方向性が定まってきた辺りからが面白く化けていく。具体的にはサガタウン辺りのくだりから。
この辺りから下品なジョークを盛り込み始め、それまで築いたキャラクターを崩壊させ、トンデモ映画な趣が強まっていく。
序盤でやらかしちゃったけど、やり直せないから、方向転換させてなんとか成立させようとしている感覚。全然成立してないんだけど。
曲に関しては、日本のヒップホップが本来得意とするような情熱と仲間と女がいつの間にか中心になって違和感が無くなっていく。

後半になると、せっかく無理して築き上げたノワールな空気は完全にどこかに行って、ひたすら爽快でカッコいい。
ちょっと監督冒険しすぎたかな?と、凡人な俺は感じてしまったのですが、それもこれも全て狙い通りなのだろうか。

格闘シーンにおいては、直後に観た『ルパン三世』なんかより全然迫力アリ、見やすい、カッコいいの三拍子揃ってます。それだけなんだけど。
無駄にワイヤーアクションでジャンプしながらクルクル回るカンフーが含まれてるのは、監督がやってみたかったから取り入れてみただけなんでしょう。

役柄としてじゃなく、役者に注目してこの映画の出演者達を観た場合、YOUNG DAISがなんかわからん惹きつけるオーラを持っていて今後が気になるのと、鈴木亮平がイメージを壊していく度に株を上げていってるところ、染谷将太がやっぱり今回も上手くて関心させられるところが目立つ。
あと、今回園子温が見つけたヒロインが超絶綺麗でアクションもばっちり出来て、今まで無かったタイプとして今後また売れっ子になりそうなのと、ツレの少年みたいな女の子もアクションが凄くて今後映画で見かけそうな気がする。
ツレの少年みたいな子はヒロイン役の子と同じ道場の女子高生で、ヒロイン役の子が決まってから道場を視察に行った監督がその場でスカウトして、急遽この映画オリジナルの役を創作したのだそうで、園子温の眼力はほんま凄い。

ネタバレ
終盤になって、邪魔になったキャラクター達をみんな粉砕機でバラバラにしちゃったのは、本当に邪魔になって無かった事にしたかったのかな。
結果スムーズにクライマックスを迎えて、完全に奴らは居なかった事になって大団円。



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