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WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~

2014-05-11 | 劇場映画れびゅー
様々な業界に焦点を当て、完璧なリサーチで確実に面白い映画を撮ってくれる矢口史靖監督作、『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』を観てきました。
★★★★★

おもしれー!

大学受験に失敗し、興味も無いのに軽い気持ちで林業の研修に参加した青年が、大人として、社会人として、大自然を前に成長して行く話ですが、何も考えてなかった学生と、林業と自然と真摯に向き合ってる村人たちとのギャップの描写がリアルで、青年の目を透して青年の驚きと同調して目からウロコがポロポロと。
俺自身も大阪の都会に生まれて育ち、林業や山奥の村の生活がどういうものなのか上辺だけで知ろうともして来なかったので、観終わってからの林業へのリスペクトが半端ないです。俺はよーやらんけど(ディスってる訳ではないです)。

劇中で都会のスローライフに憧れる青年達が上辺で「マジ感謝っす」的な事を言って逆に挑発する事になっていましたが、いや、でも、住んでいる人達の気持ちなんて全くわかってなかったし俺も。
みんな交通の便が良い場所に住めば良いのになんて、いつも仕事で田舎道を車で通る時になんとなく考えてた。
主人公の青年も住んでみて経験してみて、そうやって今まで無かった感情と感性が生まれてくる。それを映画を観ているだけの観客にも感じさせてくれる、なんて素晴らしい映画なんだろう。
林業自体の描写に関しても、上辺の撮影じゃなく役者さん達を山にほおり出し、木の上での作業だとかどこまでがリアルな撮影なのか分からないレベルで現実を観せてくれる。
矢口史靖監督の映画がここに極まった感じ。

それを支えるキャスティングが超絶に上手いから余計に観ていてハマる。
多分映画好きがみんな注目している染谷将太が主人公の青年。
彼の場合は上手いと言うか、役と完全にシンクロし、やり過ぎにも思える表情の誇張と押しの強さを見せたり、引いてみせたりのバランスがいつも絶妙。
本作ではチャラい青年が成長して良い奴に変わっていく様子を全力で演じていますが、こう言う正統派の主人公を演じるのは恐らく初めてなんじゃないかな?
個性的過ぎる役ばかり演じてステップアップして来ていたけど、その集大成としてここでさらに大躍進したように思う。

他のキャスティングも全員上手い。
この人がこんな役?と思うような思い切ったキャスティングばかりで、でもそれが全部見事に成功している。
特に伊藤英明の演じる「大人になった野生児」を絵に描いたような役は、この人まだこんなにこう言う役をイキイキと演じられるんだと関心しました。

誰が演じても良いような村長役に柄本明をキャスティングしているところにも上手い。
ぶっちゃけ無名のおじいちゃんでも良いところを補強して、そんなに重要でも無い局面でも彼の表情に注目させる事で村人達の気持ちを際立たせている。

ネタバレ
最後に実家の前まで帰ってきた時の染谷将太の表情が凄く良い。
憑き物が落ちたような、凄くピュアな素の表情。
まだまだ底の知れない彼に今後も注目しよう。



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