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『嫌われ松子の一生』では重い原作からキラキラポップな大泣き映画を生み出した中島哲也監督。
今度も問題作をどう料理するのか、『告白』を観てきました。
あ、原作は未読です。
★★★★★
怪傑作!!
とある中学校、三学期の最終日、騒がしい教室。
進級を前にこのクラスを去る女教師が淡々と語り始めた。
内容は娘の死に関する衝撃的過ぎる告白!
女教師の告白から先80分、ショックの連続に呼吸を忘れそうになりながらの鑑賞。
教育の場が直面してるであろう問題を提起しつつ、目に見える痛みはいかにも問題として描きながら、見えていない心の闇の部分、問題の本質を告白というカタチで少しずつ暴いていく作り。
人物が変わる度描かれる視点が変わり、新たな事実が発覚してストーリーが回っていくところが面白すぎる。
目に見えている物、理解していると思っていた事が真実だなんて誰が教えた?
多くの人は性善説に基づいて生きているけれど、自分の周囲にある物、人間関係や環境の全てが実は虚構に満ちていて、自分の思い込みが歪みを産んでいないか?、
知らず知らず誰かを傷つけていないか?
人の心の中は本人にしかわからない。
そんな風に人間不信になりそうなネガティブな気持ちに落ちていきながら構えて観ていても、“告白”と称して登場人物の本性が顕になっていく度に唖然とさせられる。
それが大人だけではなくて、大半が多感な中学生だってところが余計に怖いんよね。
集団の心理、いじめ、虚栄、無関心、自己主張、欺瞞、妄想、正当化、猜疑心、失望、裏切り、劣等感、優越感、偽善、過保護、放任、離婚、ネットの功罪、孤独、恨み、悲しみ、余命、殺人衝動、支配欲、傀儡、恐怖、絶望、ありとあらゆるドロドロとした人間の闇の部分を描きながら、理解していない世界で振りかざす間違った正義感の怖さ…、最後に観せてくれるのは正真正銘の正義の光なのか?
最愛の娘を奪われ復讐の鬼と化したのか、あくまで教師としての行動だったのか、中島監督のドS目線で精神的に犯人を追い詰めていく女教師を演じる松たか子。
突然豹変した息子との接し方に悩み、疲れ、病んでいく利己的な母親を演じる木村佳乃。
この二人をキャスティング出来た時点でこの映画の成功は決まった。
今回キラキラポップ色は薄めで社会派とは言え、中島監督ワールドを感じるのは題材に反したコントラストキツメな面白い映像&編集と、ずっと音楽に乗せて描いているように感じるテンポの良さ。
そしてこんなテーマの映画じゃ絶対合わないからやらないような演出の連続。
不潔にする事で生を感じる場面で『松子』的なPOP過ぎる演出を持ってきてる辺りが憎い。
この人は基本的にどうしたら観客が喜ぶのか知ってる。
「命は軽い」と言いながらパソコンに打ち込まれた告白のテキストを消去する“なんて事無さそうな場面“なんて、秘密の告白文なんかDeleteキー一つでどんなに重要な告白も無かったことになる。
こんな“なんて事無い場面”にイチイチ深みがあるんです、全編通して、で、毎回観る度に細かいところに気付くんですよきっと。
これはもうあと10回は観なければ。
ネタバレ
松たか子にエール!
『sisters』で見せてくれた狂気に満ちた表情なんて霞むくらいの怪演に背筋がゾクゾク。
あの女教師は教師として“本当の更生”を狙ってああいう行動をしたんだろうか。
もしかしたら本人はそう自分に言い聞かせていたのが、最後についつい少年の言葉を借りて「なーんてね」なんて本音がポロッと。
一言が全てを打ち消し、単に復讐の鬼と化して少年Aを追い詰め、達成したことに快感を感じていたようにしか思えなくなる。
それでも幾通りにも想像できて、こえーわマジでw
今度も問題作をどう料理するのか、『告白』を観てきました。
あ、原作は未読です。
★★★★★
怪傑作!!
とある中学校、三学期の最終日、騒がしい教室。
進級を前にこのクラスを去る女教師が淡々と語り始めた。
内容は娘の死に関する衝撃的過ぎる告白!
女教師の告白から先80分、ショックの連続に呼吸を忘れそうになりながらの鑑賞。
教育の場が直面してるであろう問題を提起しつつ、目に見える痛みはいかにも問題として描きながら、見えていない心の闇の部分、問題の本質を告白というカタチで少しずつ暴いていく作り。
人物が変わる度描かれる視点が変わり、新たな事実が発覚してストーリーが回っていくところが面白すぎる。
目に見えている物、理解していると思っていた事が真実だなんて誰が教えた?
多くの人は性善説に基づいて生きているけれど、自分の周囲にある物、人間関係や環境の全てが実は虚構に満ちていて、自分の思い込みが歪みを産んでいないか?、
知らず知らず誰かを傷つけていないか?
人の心の中は本人にしかわからない。
そんな風に人間不信になりそうなネガティブな気持ちに落ちていきながら構えて観ていても、“告白”と称して登場人物の本性が顕になっていく度に唖然とさせられる。
それが大人だけではなくて、大半が多感な中学生だってところが余計に怖いんよね。
集団の心理、いじめ、虚栄、無関心、自己主張、欺瞞、妄想、正当化、猜疑心、失望、裏切り、劣等感、優越感、偽善、過保護、放任、離婚、ネットの功罪、孤独、恨み、悲しみ、余命、殺人衝動、支配欲、傀儡、恐怖、絶望、ありとあらゆるドロドロとした人間の闇の部分を描きながら、理解していない世界で振りかざす間違った正義感の怖さ…、最後に観せてくれるのは正真正銘の正義の光なのか?
最愛の娘を奪われ復讐の鬼と化したのか、あくまで教師としての行動だったのか、中島監督のドS目線で精神的に犯人を追い詰めていく女教師を演じる松たか子。
突然豹変した息子との接し方に悩み、疲れ、病んでいく利己的な母親を演じる木村佳乃。
この二人をキャスティング出来た時点でこの映画の成功は決まった。
今回キラキラポップ色は薄めで社会派とは言え、中島監督ワールドを感じるのは題材に反したコントラストキツメな面白い映像&編集と、ずっと音楽に乗せて描いているように感じるテンポの良さ。
そしてこんなテーマの映画じゃ絶対合わないからやらないような演出の連続。
不潔にする事で生を感じる場面で『松子』的なPOP過ぎる演出を持ってきてる辺りが憎い。
この人は基本的にどうしたら観客が喜ぶのか知ってる。
「命は軽い」と言いながらパソコンに打ち込まれた告白のテキストを消去する“なんて事無さそうな場面“なんて、秘密の告白文なんかDeleteキー一つでどんなに重要な告白も無かったことになる。
こんな“なんて事無い場面”にイチイチ深みがあるんです、全編通して、で、毎回観る度に細かいところに気付くんですよきっと。
これはもうあと10回は観なければ。
ネタバレ
松たか子にエール!
『sisters』で見せてくれた狂気に満ちた表情なんて霞むくらいの怪演に背筋がゾクゾク。
あの女教師は教師として“本当の更生”を狙ってああいう行動をしたんだろうか。
もしかしたら本人はそう自分に言い聞かせていたのが、最後についつい少年の言葉を借りて「なーんてね」なんて本音がポロッと。
一言が全てを打ち消し、単に復讐の鬼と化して少年Aを追い詰め、達成したことに快感を感じていたようにしか思えなくなる。
それでも幾通りにも想像できて、こえーわマジでw
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しかし韓流が人間臭いのに対して、中島監督は徹底して人間の負の感情だけに純化したようにすら感じます。だから余計怖かった。
ちょっと原作読んでみないけませんね、これは。
そう、衝撃の連続だけど、とてもドライなんですよね。
韓流だと人間臭さから感情移入して、どこかで泣けたり恐怖で引きつってしまうんですけど、これにはそれが無い分一つ一つの告白を客観的に、殺人が起きても動じずに集中して闇の中の問題点を考えながら観れてしまう。
考えてるんだけど、次の瞬間にはもっと深い闇が待っていて負の感情にどこまでも迫って、迫るほどに話自体がどんどん面白くなっていく。
私も原作気になるなぁ。
人が本来隠し持っている思いの全てを
バンバン表沙汰にするんだけど
話がものすごくテンポよくすすんで
話は最悪なのに
ジメジメした陰鬱さや暗さがないの。むしろ面白かった…ただこういう言い方すると人間性疑われる(^_^;)
母親の立場で見たら
自分の子供の現在は
あんたが育てた結果やとつきつけられた気分で
別の意味でもさらにどんより(*´Д`)=з
ですよね、話は最悪で救いようが無い展開の連続なのに、観てて落ちるんじゃなくて面白すぎて上がって行く感覚。
大人になってから観たら話の面白さに引き込まれ、問題についても考える機会に。
でも、既に性格がひん曲がってる子供が観たら、「最後までバレなきゃ正義」って感想抱いて性格余計に悪くなりそうで怖いw