ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

小倉清『思春期の臨床-小倉清著作集2』2006・岩崎学術出版社-子どもの精神科医のていねいな面接に学ぶ

2024年09月27日 | 子どもの臨床に学ぶ

 たぶん2015年ころのブログです

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 小倉清さんの『思春期の臨床-小倉清著作集2』(2006・岩崎学術出版社)を再読しました。

 この本もずいぶん久しぶりで、ところどころにアンダーラインや付箋があったのですが、例のごとく(?)ほとんど覚えておらず、またまた新鮮な気持ちで読ませていただきました。

 思春期の患者さんに対する小倉さんの思いもとても「熱く」、生半可な気持ちで関わることを戒められている箇所が多くあり、襟をただされる思いでした。

 また、この本では懐かしい論文に出合うことができました。

 例によって覚えてはいなかったのですが(?)、まずは「弱い父親-臨床ケースをとおして」という論文。

 これはずいぶん前に出た『父親の深層』(1984・有斐閣)という論文集に載っていたらしいのですが、まったく気がつきませんでした(小倉さん、ごめんなさい)。

 この本は、じーじが家庭裁判所で仕事をするようになって少したった頃の本で、日本の深層というシリーズの一冊でした。

 他に『母親の深層』や『子どもの深層』などという、どれもすばらしい執筆陣による、すばらしい内容のシリーズで、当時、熱中して読んだ記憶があります。

 そこに執筆されていたというのはさすが小倉さんです。

 もう一つの論文は、「過食の治療」。

 この論文は下坂幸三さんの編集した『過食の病理と治療』(1991・金剛出版)に収められていたらしいのですが、これも気がつきませんでした(小倉さん、またまたごめんなさい)。

 『過食の病理と治療』という本もとてもいい本で、何度か読んでいますが、この当時、下坂さんは摂食障害に関する本をたくさん出されていて、どの本も奥が深く、とても勉強になりました。

 特に、家族面接の記述がすばらしく、じーじも家庭裁判所で親子面接の時に参考にさせてもらったりしていました。

 親子面接や夫婦面接はその後も続けていますので、ずいぶんお世話になっていることになります。

 小倉さんのこの本を読むと、現場でその時にていねいな仕事をすることが即学問になるのだなと感心をさせられます。

 同じようなことはとてもできませんが、少しくらいは真似てもいいのかもしれません。

 さらに勉強を深めたいと思います。           (2015?記)

 

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堀江敏幸『雪沼とその周辺』2008・新潮文庫-のんびりと懐かしい感じの物語

2024年09月27日 | 小説を読む

 2019年のブログです

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 堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』(2008・新潮文庫)を読みました。

 夏休みに東川町にいる時に、なんとなく堀江さんの世界にはまってしまい、ずいぶん小説やエッセイを読んでしまったのですが、今もその余韻が続いていて、またまた読んでしまいました。

 特別大きな出来事もなく、ドラマチックでもなく、淡々とした日常が綴られるのですが、きれいな映像を見ているかのように、気持ちが落ちつきます。

 懐かしさ、のんびり、おっとりとした世界、なんとなく心が澄んでくるような世界、しかし、一方で、切なさや寂しさ、哀しみがにじんでいるような世界。

 おおげさではないものの、生きることのいろいろな場面がめぐります。

 大きくはないけれど、小さい喜び、しかし、哀しみや苦しみも伴ないます。

 基本にあるのは愚直な真面目さ。

 真面目さだけが取り柄の真摯な人生、そして、それは喜怒哀楽、清濁を合わせた大きな世界です。

 語彙不足もありますが、今のじーじのちからでは、読んだ感じをこれ以上、言葉にするのは難しいです。

 本書は、川端康成文学賞と谷崎潤一郎賞を受賞していますが、それにふさわしいおとなの良質な小説だと思います。     (2019.9 記)

 

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