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荻原浩『月の上の観覧車』2014・新潮文庫-人生と家族を見つめる小説たち

2024年09月23日 | 小説を読む

 2020年8月のブログです

     *

 またまた荻原浩さんを読んでしまいました。

 短編集『月の上の観覧車』(2014・新潮文庫)。

 思わず、うまいな!と思ってしまいます。

 座布団三枚!です。

 人生を半分くらい過ぎたおとなの小説、という感じ。

 決して明るいだけの小説ではないのですが、しかし、かといって、暗いだけでもない。

 明るさを見据えて生きようとしながらも、しかし、どうしようもないこともある、といったところ。

 あえていえば、やはり、いつものくりかえしになってしまいますが、生きることの哀しみ、ということでしょうか。

 人生には楽しいこともたくさんありますが、それと同じくらい哀しいこともある、いや、むしろ、哀しいことのほうが多いかもしれない。

 そんな感じでしょうか。

 八つの短編からなりますが、いずれもがセピア色の写真のような味わいがあります。

 じーじが好きなのは、「レシピ」。

 中年女性の回想ですが、ちょっとユーモアが効いて、読んでいて楽しくなります。いい小説です。

 離れて暮らす娘との面会交流を描く、「チョコチップミントをダブルで」もいいです。

 面会交流で張り切りすぎちゃうお父さんの姿は、家裁の面会交流の時を思い出します。

 普通、のままが一番いいのですが…。

 いろいろなことを考えさせられる、人生と家族を見つめる小説たちです。           (2020.8 記)

 


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