2020年初夏のブログです
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今江祥智さんの『牧歌』(「ぼんぼん」第四部・1988・理論社)を初めて読みました。
この名作を今ごろ読むなんて、今江さんの大ファンだった今は亡き弟に笑われそうです。
弟は高校時代くらいから児童文学を読んでいて、その本棚には児童文学がいっぱい並んでいました。
じーじはそのころ、児童文学の良さがさっぱりわからずにいて、今考えるともったいないことをしました(弟はフォークもよく聴いていて、じーじは、かぐや姫やイルカさんは弟から教えてもらいました)。
じーじが家裁に就職をして、先輩から灰谷健次郎さんの『兔の眼』を教えていただき、さらに、河合隼雄さんが児童文学を勧めておられて、すこしずつ児童文学を読むようになりました。
灰谷健次郎さんの『ろくべえまってろよ』は大好きな本で、今もちょうど、灰谷さんの『ワルのぽけっと』を読んでいる最中です。
今江さんの本は、だいぶ前に『ぼんぼん』と『兄貴』は文庫本で読んだのですが、『牧歌』はなかなか読まないままで、本書はだいぶ前に古本屋さんで購入したのを、今回やっと読むことができました。
いい物語です。
あらすじはあえて書きませんが、内容は昭和版「坊ちゃん」という感じです。
図工の臨時教員である主人公が、いろいろな失敗を経験して成長をしていくという物語ですが、在日の問題や貧困の問題、学校の管理体制の問題なども描かれます。
最後は、真摯に絵を描くことで主人公が精神的に救われるシーンがありますが、きれいごとでない、泥だらけの教師の姿が小気味いいです。
良質の小説に出合えました。これだから、読書はいくつになってもやめられません。 (2020.6 記)
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2021年1月の追記です
河合隼雄さんが『青春の夢と遊び』の中で本書について述べていることをすっかり忘れていました(河合さん、ごめんなさい)。
河合さんのご指摘は鋭く、こころにしみます。 (2021.1 記)
大好きです
もう一度読みたくなりました📚
「ろくべえまってろよ」はじーじも大好きです。
児童文学はこころを豊かに、やわらかく、優しくしてくれるような気がします。