2019年の日記です
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シェイクスピア(福田恆存訳)『ハムレット』(1967・新潮文庫)を読了。
緊張感のあるすごい物語。
文章がすばらしく(翻訳のうまさもあると思うが…)、行間にただよってくる雰囲気がすごいと思う。
じっくりと味わう物語。
いろいろな感想を持ったが、今どきの世相のせいか、組織人のことを考える。
出てくる家来たちのうちで、王様にへつらって死んでしまう者もいれば、最後を看取る者もいる。
連想をしたのは国家公務員。
いい大学を出て、いいお役所に入ったのに、出世のためか、言いなりになって、不正をしてしまう者。黙って見ている者。
地方公務員も、市民や弱い者、子どもを守れずに、悪しきおとなに負けてしまう者。
時代は変わっても、人は変わらないのか。
いや、今のほうが節操がないというか…。
どっちを向いて仕事をしているんだろう、と思う。
権力か、暴力か、それとも、弱い立場の人々か。
公務員は採用の時に、国民のために、あるいは、住民のために働く、と宣誓をしたはず。
組織や権力に振り回されるあわれな人々の姿をシェイクスピアさんはすでに描いているが、それを糧にできないのは悲しい。
こころして読んでいきたい。 (2019.2 記)