たぶん2014年ころのブログです
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岩宮恵子さんの『生きにくい子どもたち-カウンセリング日誌から』(2009・岩波現代文庫)を久しぶりに再読しました。
文庫本は2009年以来の2回目だと思うのですが、だいぶご無沙汰をしていました(岩宮さん、ごめんなさい)。
もっとも、1997年に出た単行本も何回か読んでいるので、この本にはずいぶん勉強をさせてもらっている本です(岩宮さん、ありがとうございます)。
本の中では、とても丁寧な心理療法の様子が、たいへんこまやかに描かれていて、すごく参考になります。
事例のひとつは、過剰適応の小学男子のケース。
チックとおねしょという症状で来談をしますが、箱庭をする中で、自らのこころの無意識の部分をうまく統合して、生き生きとした自分を取り戻します。
もうひとつは、拒食症の小学女子のケース。
食事だけなく、唾も飲みこめないという重症例で、心理療法も難航をしますが、箱庭や絵画をやる中で、治療者との信頼関係を深め、少しずつ外界との接触を増やして、ついには病いを克服します。
最後にすばらしいかぐや姫の絵を描いてカウンセリングルームを去っていくのですが、岩宮さんは彼女が本当にかぐや姫のような世界に生きていたことを理解して治療は終結します。
いずれも感動的なケースで、岩宮さんは多少の失敗場面も正直に提示をし、それらも含めて心理療法の全体を丁寧に細やかに検討しています。
とても勉強になるいい本です。
丁寧な心理療法は、読む人のこころまでを、豊かに、優しく、温かくしてくれるものだと思います。 (2014?記)
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2018年秋の追記です
今日、新潟で開催される箱庭療法学会で岩宮さんの講義があるので、じーじも参加を申し込みました。
どんなお話が聞けるか、とても楽しみです。 (2018. 10 記)
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同日夕方の追記です
箱庭療法学会に行ってきました。
岩宮さんのワークショップ、よかったです。
若手治療者の事例を検討したのですが、岩宮さんならではの見立てがいろいろ聞けて、勉強になりました。
印象に残ったのは、直接、現実に触れられないクライエントさんの象徴的な物語についていくことの大切さ。
事例ではアニメの世界に付き合うことで、クライエントさんが元気になる過程がすごいと思いましたし、それをわかりやすくお話してくださる岩宮さんの力量に改めで感心させられました。
さらに勉強をしていこうと思います。 (2018. 10 記)
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2021年秋の追記です
岩宮さんもこの本で失敗場面をきちんと提示して、事例全体と心理療法について検討をされておられます。
すごいことだと思います、本当に。 (2021.9記)
岩宮さんとは同じ県士会メンバーで、彼女の病院時代からよく知っています。河合隼雄先生との出会いが今の業績に繋がりました。
超忙しい中でもSCを続けているところが臨床家の姿勢として好感が持てます
冬ソナやジャニーズにはまったり楽しい人です
小村さんのブログ、いつも拝見させてもらっています。
味のある、素敵なブログで、楽しく読まさせていただいています。美人秘書さんがうらやましいです。
今後ともよろしくお願いいたします。