2020年9月のブログです
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本棚を眺めていたら、読んで、読んで、と言っている本があった、ような気がして、新井満さんの『尋ね人の時間』(1991・文春文庫)を読む。
新井さんは新潟市出身の作詞家で、小説家。
今は北海道に住んでいるらしい(なんだか身近な感じ)。
『尋ね人の時間』は1988年の芥川賞受賞作。
おそらく20数年ぶりに読んだが、例によって、当然、あらすじも忘れていて、新刊同様に読む。
これがなかなかいい。
落ちついたおとなの小説という感じ。
びっくりしたのだが(一度読んでいて、びっくりした、もないが)、離婚で別れた小学生の娘との面会交流の場面が出てくる。
面会交流の場面が出てくる小説としては、かなり早いほうではないだろうか。
父娘の派手ではないが、しんみりとした交流がとてもいい。
小説全体もおとなの哀しさがよく描けていて、いいと思う。
新井さんの他の小説も読みたくなったが、見つけ出せるかどうか。
こちらも年末までのお楽しみかもしれない。 (2020.9 記)
「ワインカラーのときめき」とか。
新井満さんの歌う「千の風になって」もいいです👍
新井さんの、哀しみを知ったうえでの生きることの美しさ、はいいですね。