たぶん2015年ころのブログです
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小倉清さんの『子どもの臨床-小倉清著作集1』(2006・岩崎学術出版社)を再読しました。
この本も前に何回か読んでいますが、今回はたぶん5年ぶりくらいです。
いつものことながら(?)、多少の記憶はあったのですが、内容をほとんど忘れていて、時々、アンダ-ラインのところや付箋のところに出合うと、懐かしさを覚えながらも、また新鮮な気持ちになって読ませてもらいました。
論文集なので、いつもの「熱い」小倉さんが、それを内に秘めながらも、冷静に論述しているところが印象的です。
巻頭論文は精神分析学会の学会賞受賞記念講演の論文。
しかし、臨床現場第一主義の小倉さんらしく、ほとんどを事例のお話で通しているところがすごいなと思いました。
論文はいずれもていねいな面接風景の描写とそれへの具体的な治療者・患者関係の考察で、とても勉強になります。
そしてここでも治療者が生き残ることというテーマが出てきました。
統合失調症の治療の例で、その困難さとそこで治療者が何があっても生き残ることの治療的重要さを強調されています。
ふだん精神科デイケアでボランティアをさせていただいていて、少しずつ感じたり、考えたりしていることに、理論的なバックボーンを与えていただいている感じで、とても力になりました。
今後もていねいに読み込んでいきたいなと思いました。 (2015?記)
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2018年の追記です
去年秋の精神分析学会で、久しぶりに小倉さんのお姿を拝見しました。
とてもお元気そうで、司会までされていました。
最近は母子のデイケアで活動をされているそうで、その成果を学べる日も近そうです。
そこからいろいろと深く学べることを楽しみにして、日々の勉強や生活を頑張りたいと思います。 (2018.10 記)